大事にしていること
平成四年以来、京都の下鴨にある真宗大谷派の妙誓寺の住職を務めてきました。
「一人暮らしで、これからのことが不安だけれど、どこか入れる施設とかが本山にはないでしょうか?」
「これから先自分がボケるのが心配や、後見人とかになってもらえませんか?」
ここ10年ほど、ご門徒さんと接する中で、よく聞くようになりました。
しばらくすると実際にその言葉通りになり、入院されたり、音信不通になってしまう事も稀ではありません。
親鸞聖人の語録『歎異抄(たんにしょう)』に、「慈悲に聖道・浄土のかわりめあり」という言葉があるように、お念仏こそが我々門徒の行うべき慈悲行であり、お念仏に出会うためにも、こうして不安を抱えるご門徒に、同朋として何か力になれないかという気持ちは常にありました。
平成二十五年の秋に、訪問看護ということを一般法人でも行えることを知り、仏教精神に基づいた終末期医療、(「ビハーラ」と呼ばれます)を行えるのではないかと思い、お寺、妙誓寺を基盤とした、「カノンしもがも訪問看護ステーション」を平成二十六年五月に開設いたしました。
その後、平成二十七年に居宅介護支援事業所、平成二十八年にはグループホームと看護小規模多機能施設を開設し現在に至っています。
ちなみに「アミタカノン」「カノンしもがも」のカノンは、観音菩薩から名前を頂きました。
仏教精神を基礎に、人間一人ひとりの尊厳が保たれ、生まれてきたことを喜び生きていることに感謝することができる日々が創造されることを念じながら各事業所を運営しております。