看護師が人間関係に疲れた時の解決策。ストレスが及ぼす影響を解説

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上司や同僚、患者さんや家族、他の医療職種などかかわる人が多い看護師。人間関係に悩みやストレスを抱えている人も多いでしょう。この記事では、人間関係に疲れた時やつらいと感じた時の解決策、人間関係を良好にするコツなどをお伝えします。

看護師は人間関係のどんなことで悩んでいる?

看護師の多くは、人間関係にストレスや悩みを感じています。2年目以降の看護師を対象に行ったアンケートでは、「転職を検討した理由」の1位が人間関係。また、「日々の業務で感じるストレスの理由」は、人間関係に関するストレスが上位を占めており、看護師の多くは人間関係の問題で悩みやストレスを抱えていることがわかります。

看護師の「人間関係」の悩み具体例

では、具体的に人間関係のどのようなことに悩んでいるのでしょうか。

例1:上司によるパワハラ・いじめ

ナース専科が行ったアンケートによると、職場においてパワハラの被害にあったことがある看護師は4割近くにのぼります。

職場でパワハラ被害にあったことがありますか?

具体的な内容としては、

  • 上司や先輩から理不尽な理由で怒られる
  • 業務の忙しさから八つ当たりされる

などの回答が多くみられました。上司や先輩に対しては意見が言いづらい状況であることが多いため、結果としてストレスをためてしまうことにつながります。

例2:同僚とのチームワークの悪さ

看護師にとってチームワークは必要不可欠。チームメンバーに不満を抱えながら働くとおのずとミスも増え、さらなる人間関係の悪化につながります。忙しい中イライラしている同僚の顔色をうかがいながら業務にあたるなど、働きづらい環境にストレスを感じ悩んでいる看護師も多いようです。

例3:他の医療職(医師)とのトラブル

他の医療職の中には、看護師に対して横柄な態度を取るなどコミュニケーションが取りづらい人も存在します。そのような対応をされた看護師は萎縮し、仕事がしづらい状況に。スムーズな連携が取れないと、患者の回復や、十分な看護の提供にも影響を及ぼします。

看護師の人間関係が悪くなりやすい原因

では、これほどまで人間関係で悩む看護師が多いのはなぜでしょうか。理由は以下の3つがあげられます。

理由1:女性の数が多い

看護師をはじめ、女性が多い職場では以下のような特徴があります。

  • 家庭と仕事の両立によりストレスを抱えやすい
  • 他者と自分を比較することで嫉妬の対象になりやすい

女性は出産や子育てなど、さまざまなライフイベントをこなしながら仕事を両立させています。プライベートに加えさらに仕事でのストレスが重なると、女性特有のドロドロな人間関係に陥りやすいといえるでしょう。

理由2:閉鎖的な職場環境

看護師の職場は閉鎖的です。クリニックなどの小規模施設はもちろんですが、病棟勤務であっても、ある程度配置人数が決まっています。決して多いとはいえないスタッフ数のなか、性格の合わない人やきつく当たる人がいるだけで萎縮してしまい、仕事がしづらくなる原因につながります。

理由3:業務量が多く忙しい

看護師の職場は人手不足であることがほとんどです。一人当たりの業務負担も大きく、結果として余裕がなくなりイライラしてしまう看護師も多いでしょう。そのような状況で同僚に八つ当たりをしてしまうと、人間関係が悪化するのは当然です。忙しい時こそ、お互いに思いやる気持ちが大切です。

職場の人間関係悪化が看護師に及ぼす影響

ここからは、人間関係の悪化が看護師に及ぼす影響について3つにわけて解説します。

影響1:疲れが取れない

人間関係の悪化は、精神面だけでなく身体面にも影響をもたらします。家に帰っても悩みが消えなかったり、上手にストレスを解消できなかったりすると、不眠や食欲不振などの原因に。疲れが取れず、仕事のパフォーマンス低下につながります。

影響2:ストレスにより心身を壊す

ストレスによる心身へのダメージが蓄積すると、ストレスが原因で起こりやすい病気や、うつや適応障害などの精神疾患を発症する原因になります。症状が強く業務に支障が出る場合は休職が必要になる場合もあります。異変を感じたら早めに休みを取ることが大切です。

影響3:インシデントを招く可能性がある

人間関係が悪い職場では意見が言いづらい傾向があります。相手の顔色ばかりを伺っているうちに報告のタイミングが遅くなることは、インシデントやアクシデントにつながる可能性も高まります。ミスが許されない看護師の職場では、患者のためにも良好な人間関係を築くことが重要といえるでしょう。

人間関係に疲れた場合の解決策

人間関係の問題は、自分の努力だけでは解決が難しいこともあります。自ら働きかけても人間関係が好転しなかった場合、心身に支障をきたす前に以下の3つを参考にして、今の職場から距離を置くことも視野に入れてみてください。

解決策1:部署異動を相談する

総合病院など中〜大規模な職場の場合、複数の部署があるため、異動が可能かどうかを上司に相談してみましょう。配属部署が変わるだけで、人間関係の悩みが減らせる可能性もあります。ただ、クリニックや介護施設などの小規模な職場では配置人数の関係で難しい場合もあります。

解決策2:転職を検討する

行動してもなかなか環境が変化せず、悩みが改善されない場合は、転職を検討するのも良いでしょう。ただし、転職するときは後悔しないよう準備することが大切です。勢いで決めてしまわないよう、周囲にも相談するなど客観的な意見も踏まえてことをおすすめします。

また、退職に関しては、就業規定によって退職の申し出の期間が決められている場合があります。退職を考えたら「何ヶ月前までに申し出る必要があるのか」早めに確認しておきましょう。

解決策3:休職する

身体に以下のような異変が確認される場合は、一旦休職することを視野に入れましょう。

  • 夜眠れない
  • 食欲がない
  • 疲れが取れない
  • 気分の落ち込みがひどい

一旦職場を離れて、転職するべきかを考えてみるのも一つの方法です。ただ、休職すると逆に復帰しづらくなる、収入がなくなるなどのデメリットがあります。休職明けの復帰プログラムが整っているかチェックしてみても良いでしょう。

看護師の人間関係を良好にするコツとは

人間関係で悩む看護師が多いなかで、その悩みをゼロにするのは難しいかもしれません。しかし、トラブルに巻き込まれないようにしたり、悩みを最小限にしたりすることは可能です。

次に、看護師の人間関係を良好にするコツをお伝えします。

挨拶をする

相手のことが苦手だからといって挨拶をしないでいると、こちらが悪い印象を持たれてしまい、逆に不利な立場になります。挨拶だけでなく、社会人として常識的な行動を心がけましょう。

信頼を得られる仕事をする

信頼される仕事をすることは、結果として人間関係を良好にすることにつながります。理不尽に怒られることで悩んでいる人は、まず自分のできることを懸命に行い、頼られる存在を目指しましよう。

決められた時間を守る

時間通りに業務を進められないと、周囲をイライラさせてしまう原因になります。決められた時間を守って行動することで信頼獲得につながり、人間関係にも良い影響をもたらします。メモなどを利用して、今一度時間管理を見直してみましょう。

報連相を徹底する

チームで業務を行うことが多い看護師にとって、報連相が欠かせません。トラブルを避けるために情報の共有は徹底し、相談や報告がしづらい環境であっても報告のタイミングや伝え方を工夫するなど、報連相を怠らないようにしましょう

悪口や噂話などには参加しない

仕事中、同僚の噂話や悪口などが嫌でも耳に入ってくることがあります。このような話題で盛り上がると、同調したもの同士で仲良くなった錯覚に陥りますが、決してそうではありません。人間関係のトラブルにつながることは明確です。悪口や噂話に参加することは避け、中立の立場を取ることが大切です

看護師の人間関係が良い職場の特徴

看護師の人間関係が良い職場の特徴をまとめました。

リーダーシップがあり、相談しやすい上司がいる

指導力があり、頼れる存在としてスタッフに認められている上司がいる職場は安心です。万が一、人間関係のトラブルがあった場合でも悩みを聞いてくれたり、何らかの解決策を提示してくれたりする可能性があるからです。

職場の雰囲気が明るい

人間関係が良好な職場は雰囲気が明るく、挨拶の習慣も身についています。

また、整理整頓ができているのも重要なポイントです。整理整頓が行き届いていないと不潔なだけでなく、物品を探す手間も増えます。業務がスムーズに進まない原因となります。当たり前の行動ができている職場は、スタッフの無駄なストレスがなく、働きやすい雰囲気の象徴ともいえるでしょう。

チームワークが整っている

どんなに忙しい業務であっても、お互いに協力し合うことで業務がスムーズに進むため、イライラの軽減につながります。手が空いていたら、忙しい人のフォローするのが当然になっている職場は、気持ちよく仕事ができるはずです。

お互いの立場を尊重しあっている

看護師は患者さんや看護師同士だけでなく、様々な職種の人とかかわる仕事です。相手の立場を尊重する姿勢を忘れず、思いやる気持ちを持って接することが根付いている職場は、自然と人間関係も良好になるでしょう。

心身の健康を第一に。自分にできることから実践してみる

多くの看護師が人間関係に悩みを抱えています。しかし、チームで仕事をする看護師にとって、良好な人間関係を築くことは医療ミスを防ぐためにも不可欠です。心身を壊すほどつらい場合は、部署移動や転職、休職などその環境から距離を置くことも検討しましょう。勢いで行動して後悔しないよう周囲に相談するなど、自分自身で対策できることから実践してみてください。

伊藤雪乃
この記事を書いた人
伊藤雪乃
2003年に看護師免許取得後、北海道の公立病院に5年間勤務し、地域医療をに携わる。その後埼玉県の介護施設(ショートステイ)で3年、整形外科病院に10年勤務。 2018年ごろから副業でライターをはじめ、現在はウェブと書籍に携わるフリーライターとして活動中。 2022年11月発売「私立文章女学院」編集協力

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