なぜ、新人看護師はいじめられやすい?いじめの例や職場でいじめや嫌がらせに合わないための対処法!

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【新人ナース必見!】職場でいじめられないための対処法

看護の仕事は上下関係が厳しく、陰湿ないじめ・パワハラが存在する職場もあるといいます。とくにいじめの標的となりやすいのが新人看護師で、仕事に影響を与えるばかりか、精神や体調に異変をきたし、退職に追い込まれるケースもあります。

今回は「看護師のいじめ」をテーマに、職場でのいじめの実態や対処法についてご紹介します。

現在いじめに悩んでいる方も、いじめを受けている同僚を助けたいと考えている方も、ぜひ参考にしていただければと思います。

ナースの職場はいじめが多い?

いじめやパワハラは、単なる悪ふざけや悪口にとどまらず、相手の人格や存在を否定することで尊厳を傷つけ、精神的ダメージを与える行為です。ハラスメントの種類には下図のようなものがありますが、とくに新人看護師が受けやすいのが「パワハラ」「モラハラ」ではないでしょうか。

【新人ナース必見!】職場でいじめられないための対処法_画像①

引用:看護職の働き方改革の推進-職場のハラスメント対策(公益社団法人 日本看護協会)

看護師の職場は上下関係が厳しく、筆者も現役時代、一部の看護師が「指導・教育」として新人看護師にきつく当たる場面を目にすることがありました。

いじめやパワハラの怖いところは、いじめの加害者が「いじめ」と自覚していなかったり、被害者自身も「自分のせいだ」と思っていたりすることです。

いじめている方は「指導の一環」として、いじめを受ける方も「自分の未熟さ」を理由に、いじめを“仕方のないこと”と考えてしまうと、行為がエスカレートすることもあり非常に危険です。

2017年の日本医療労働組合連合会(医労連)の報告によると、職場のパワハラが「ある」と回答した看護職は約3割にのぼります。

注目すべきは、パワハラを受けた相手でもっとも多いのが「看護部門の上司(57.8%)」であることと、「年齢の若い看護師ほどパワハラを受けている」という点です。本来であれば、味方となり導いてくれるはずの上司や先輩からいじめを受けるという事実があります。

【新人ナース必見!】職場でいじめられないための対処法_画像②

引用:2017年看護職員の労働実態調査結果報告-ハラスメント(医労連)

看護師のいじめについて、「女性の職場はいじめが多い」「看護師は気が強いから」という声もありますが、激務によるストレスや、自分が新人時代に受けた教育を後輩に繰り返しているケースもあるなど、一概に「女性だから」「看護師だから」と結論づけることはできません。

看護師の職場で起こるいじめの具体例

看護師の職場で起こるいじめの具体例を紹介します。身の回りでこのような場面を見たことはないか、振り返ってみてください。

名前を呼んでもすぐに反応しない

たとえば、何か質問をしたい・確認をしたいと思ったとき「◯◯さん」と声をかけたとします。そのときに、至近距離にいるにも関わらず無視することはいじめです。

何度か名前を呼び、ようやく反応してくれたと思ったら「今じゃなきゃダメ?」「ほかの人じゃダメ?」など、あからさまに『声をかけないでほしい』という雰囲気を醸し出す人も。看護師間のスムーズな報告・連絡・相談は必要不可欠です。無視は業務に差し支えるだけでなく、患者さんの命にもかかわります。

目を見て話さない

会話中、相手の目を見て話すことはコミュニケーションにおいては基本的なことです。しかし、会話中に目を合わせない・ほかの業務をしながら話を聞くなど、しっかり向き合おうとしない看護師は要注意です。

馬鹿にする

やたらと大きな声で話し、「そんなこともわからないの?」と相手を見下すような話し方をする看護師はいませんか?自分の看護に自信を持つことは大切ですが、過剰になっている人が稀にいます。

「自分の考えが絶対に正しい」「新人は何もわかってない」といった態度の人は、自分にも新人時代があったことを忘れがちです。

このタイプは努力家であることも多いのですが、その努力を他人にも強要したり、自分と同じレベルの知識・技術を求めたりすることが多く、強い口調で叱責する人もいます。

些細なことをすぐに指摘する

業務的にはほとんど支障のないようなミスを、重箱の隅をつつくように指摘してくる看護師もいるでしょう。別の見方をすれば「細かいところに気がつく几帳面な看護師」ということになりますが、業務上ほとんど影響のないことをわざわざ指摘したり、新人看護師や中途入職で日の浅い看護師など、立場の弱いスタッフを標的にしたりするようなら要注意です。

他人の悪口を言う

本人のいないところで、コソコソと悪口を言う職場もあります。「◯◯さんって、ほんと仕事遅いよね。そう思わない?」と同意を求めてきたり、悪口の会話に入らないことで仲間外れに発展するケースも。

人によって態度が変わる

「医者と看護師で態度が変わる」「師長とスタッフで態度が変わる」など人によって態度が変わる看護師は意外と多いのではないでしょうか。

新人看護師には、しかめ面をして「それで?」と低音ボイスなのに対し、上司には満面の笑顔で「おつかれさまで〜す」と柔らかな声音…明らかに違うので、わかりやすいと言えばわかりやすいですね。

いじめにあわないための対処法

今、いじめにあっている方の中にはいじめられる原因は自分にあると思っている方もいるかもしれません。いじめの原因は被害者にあるわけではありません。ここでは、いじめにあわないようにするための対処法をいくつかご紹介します。

挨拶をする

基本的なことですが、始業・終業時や休憩の前後には、しっかりと挨拶をしましょう。相手が無視をしても関係ありません。反応がなくても「ま、いっか」と割り切りましょう。

はっきり話す・返事をする

いじめの標的になりやすい新人看護師は、職場の環境に慣れておらず、仕事でもわからないことがあって当然です。わからないことは「わかりません」とはっきり言う、教えてほしいことは「◯◯について教えて下さい」と意思表示するだけでも、相手の受け取る印象は変わってきます。

自分から率先して質問する

いじめは「自分より弱い立場」をターゲットにするため、新人看護師特有の「弱さ」をあまり見せないことが大切です。

「聞きにくいな」と思っても勇気を出して質問する、曖昧な部分はしっかり確認するなど、声を出してしっかり意思表示をすることは、いじめ対策において非常に重要です。学ぶ姿勢をアピールすることも、良い印象を与えます。

きちんとお礼を言う

これも基本的なことですが、質問したことに答えてもらったり、業務で教えてもらったりすることがあれば、きちんとお礼を言いましょう。普段は良い印象がなくても、助けてもらったときには感謝の気持を伝えることが大切です。

笑顔を忘れない

いつも笑顔でいることは、自分だけでなく周囲にいる人の気分を明るくします。あなたが楽しそうにしていると、周囲もその気持ちに引っ張られる効果があるため、自然といじめの対象から逃れることができるでしょう。

もしもいじめにあったら

いろんな対策を講じたにもかかわらず、いじめの対象となってしまった場合はどうすればいいのでしょうか?

絶対に忘れてならないのは、いじめやハラスメントは『自分のせいではない』ということです。

世間では「いじめられる方にも原因がある」といった声も聞きますが、原因が何であれ、相手を不快な気分にさせたり、尊厳を傷つけたりする行為は決して許されるものではありません。

もし職場でいじめにあったら、まずは上司に相談しましょう。その上で、職員専用の相談窓口を利用するか、職場以外の場所に相談してもいいでしょう。いじめを受けていることを無理に隠す必要はありません。

「職場にいづらい」「仕事に行きたくない」「心身の不調がある」といった場合は、休職や退職を検討するのもひとつの方法です。

看護の仕事はどこでもできますから、今の職場にこだわらず、転職先を探して環境を変えるのもいいと思います。看護師人生はまだまだ先が長いのですから、ゆっくり少しずつ進んでいきましょう。

■この記事を書いた人:遠藤愛(えんどうあい)
関東の病院で外科・内科・地域包括ケア病棟、地域連携室に勤務。
その後、介護施設、訪問看護に従事。看護学校での外科看護臨時講師の経験あり。

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