看護師のオンコール対応とは?勤務内容や過ごし方、ストレス、待機手当の相場は?

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24時間体制で医療・看護ケアを提供する病院・介護施設・事業所で働く場合、当番制でオンコール勤務をすることがあります。求人情報に“オンコールあり”と記載があると、「大変そう」と不安に感じる方もいることでしょう。今回は、オンコール勤務の過ごし方や手当など、その実態をご紹介します。

看護師のオンコール勤務とは

オンコール勤務とは、緊急対応に備えて看護師が自宅で待機し、必要に応じて職場や利用者宅に向かって業務を行うことです。病院の手術室・産科・特別養護老人ホーム・訪問看護ステーションなどでよく見られます。

24時間体制の職場では、看護師が不在となる夜間・休日に当番制でオンコールを担当します。職場にもよりますが、当番の職員はオンコール専用の携帯電話を持ち、緊急の連絡にいつでも対応できるようにしています。

月当たりの当番回数や、オンコール件数は職場によってさまざまです。終末期や医療依存度の高い利用者さんを多く抱える介護施設・訪問看護ステーションでは、月あたりのオンコール件数も多くなる傾向にあります。

大変なイメージのあるオンコール勤務ですが、緊急連絡のすべてに直接対応するわけではありません。手術室や産科の場合は「緊急連絡=出勤」がほとんどですが、介護施設や訪問看護ステーションの場合、介護スタッフ・家族からの報告内容によっては電話で指示を出し、様子をみることもあります。もちろん、「直接対応したほうが良い」と判断した場合は、職場や利用者宅に行って必要な措置をとります。

いずれにせよ、いつ・どこで連絡を受けるかわからない緊張感や、真夜中に出勤する可能性もあると考えると、心理的ストレスを感じる人もいるでしょう。

看護師のオンコール勤務中の過ごし方

オンコール勤務は、いつ・どこで連絡を受けるか予測できません。そのため、「当番日の過ごし方には気をつかう」という声も聞かれます。ここからは、オンコール勤務の過ごし方や注意点についてご紹介します。

常に携帯電話が手放せない

職場によっては、オンコール勤務の際に専用の携帯電話を持ちます。緊急連絡にすぐ対応できるよう、当番日は常に携帯電話を持ち歩き、「着信音を最大にしておく」「入浴時もすぐ手の届く場所に置いておく」という人もいるほど。それほど、電話対応には神経を使うということですね。

お酒が飲めない

いつ緊急出勤になるかわからないため、当然ですがオンコール勤務の日はお酒が飲めません。

遠出ができない

オンコール勤務は職場から30分圏内で待機する必要があり、休日でも遠出はNGです。職場によっては自宅と職場が近い人にオンコールを依頼することもあるようです。

十分な休息がとれないまま出勤になることも

多くの職場では、通常勤務の前後にオンコール勤務が割り当てられます。そのため、「日勤終了後にオンコール対応。さらに翌朝も通常勤務」ということが珍しくありません。

オンコール対応の翌日を代休にしたり、時差出勤を認めたりする職場もあるようですが、すべての職場がそのような対応をしているわけではなく、体力的な負担を伴います。

転職を検討しているものの、「突然の呼び出しに対応できない」という子育て中の方・ご家族を自宅で介護中の方などは、事前に「オンコールがあるかどうか」「オンコールを免除してもらえるか」など確認しておくとよいでしょう。

看護師のオンコール手当

オンコール勤務は、あくまでも緊急時に備えた「待機」であり、所定労働時間(週40時間)に含まれません。しかし、体力的な負担や心理的なストレスが大きいことから、ほとんどの職場では「オンコール手当」が支給されます。

訪問看護師を対象とした調査では、1回あたりのオンコール手当の相場は1000〜2000円未満が34.2%、2000〜3000未満が31.0%という結果でした*1。さらに、呼び出しによって実際に仕事をした場合は、「時間外勤務」として時間数に応じた割増賃金が支払われます。

意外ですが、オンコール手当の法的な支給義務はありません。そのため、もし「オンコールあり」の職場に転職をする際は、「オンコール手当が支給されるかどうか」を事前に確認しておいたほうがよいでしょう。

*1参考)平成27年度全国訪問看護事業協会研究事業 訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業報告書 P.54
https://www.zenhokan.or.jp/wp-content/uploads/h27-2.pdf

転職の際は「オンコール勤務の有無」を確認しておこう

時間的・心理的な拘束を伴うオンコール勤務は、慣れるまでは緊張感が強く「つらい」と感じるかもしれません。また、前後の勤務を考えると「体力的に厳しい」と感じる方もいるでしょう。

しかし、オンコール勤務があるからこそ、患者さん・利用者さん・ご家族に24時間絶え間ない医療・看護ケアを提供することができます。
大変な仕事ではありますが、オンコール対応によって喜んでいただける・緊急対応のスキルが身につくなどのメリットもあります。

「どうしてもオンコールを受けられない」という方は、面接の際にあらかじめ伝えておくとよいでしょう。

この記事を書いた人
遠藤愛(えんどうあい)
関東の病院で外科・内科・地域包括ケア病棟、地域連携室に勤務。
その後、介護施設、訪問看護に従事。看護学校での外科看護臨時講師の経験あり。

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