男性看護師が年収をアップさせる方法は?将来のキャリアプランを深堀り!
2020年9月15日
近年、徐々にではありますが男性看護師の割合が増えています。将来結婚し、配偶者が結婚や出産で退職した場合、「自分ひとりの収入で家族を養っていけるのか?」と不安になる男性看護師は多いのではないでしょうか。
今回は、そんな男性看護師さんに向けて年収の相場や昇給の実態、将来の年収アップを見込んだキャリアプランについて解説します。
男性看護師の年収の相場は?
看護師の仕事は一般的に「高給与」と言われますが、実際はどうなのでしょうか?
2019年(平成31年)の人事院の調査によると、男性看護師の平均所定内給与は約30万円、賞与などの特別給与が約83万円です。これを年収に換算すると、約443万円が男性看護師の平均的な年収となります。
ひとりで生活するには十分な収入額だと言えますが、家族を養っていくとなるとどうでしょうか?家族数人分の生活費に加え、子どもの教育費・レジャー費用など、独身時代とは比べ物にならないほどお金がかかります。
さらに、給与額には地域差がありますので、居住地によっては相場を下回るケースもあるでしょう。
経験年数が長くなるほど年収はアップするものの、そのスピードは緩やか
次に、男性看護師の給与額を経験年数別に見ていきましょう。専門学校もしくは看護大学を卒業し、22〜23歳で経験年数0年と想定します。結婚・子育て期に入るのが経験年数5〜9年目(27〜32歳位)と仮定します。
その年代の平均所定内給与は約30万円、特別給与は約83万円なので、ちょうど全体平均と同じ約443万円が年収の相場となります。
その後、経験年数を重ねるに従って年収はアップするものの、その上昇スピードは非常に緩やかです(*1下図)。
しかも、全職種の男性における経験年数15年以上の年収が600万円以上*2なのに対し、男性看護師の場合は経験年数が15年を超えても年収は500万円前後です。
これらのデータを見ると、男性看護師が決して「高給取り」とは言えないことがわかります。
※縦軸は支給額(単位:千円)
*1 2019年(平成31年)職種別民間給与実態の調査(人事院)を基に筆者作成
2019年(平成31年)職種別民間給与実態の調査(人事院)表7 職種別、年齢階層別平均支給額
*2 勤続年数別の平均給与(国税庁)より引用
経験年数別の平均給与(国税庁)
昇給は職場の規模・運営母体によって異なる
正職員として働いている場合、ほとんどの職場では1年に一度の「昇給」があります。昇給は「基本給がアップする制度」ですが、この昇給額も職場によってさまざまです。
昇給額は、民間病院で年に1,000〜2,000円程度、国立病院では多いところで年に5,000〜10,000円程度となっており、一般的には民間よりも公立のほうが昇給額は良いと言われています。
やはり、中小病院よりは総合病院や大学病院のような大病院、民間よりは公立のほうが待遇面では安定している傾向にあるようです。
男性看護師の将来性は?メリットや注意点はある?
ここまでの内容で、男性看護師の昇給スピードは緩やかであり、年収も決して高くはないことがわかりました。では、男性看護師の「将来性」を考える上で、メリットや注意点にはどのようなものがあるのでしょうか?
看護師資格があれば全国どこでも働ける!
看護師資格は、生涯使える資格です。一度資格をとってしまえば、途中でキャリアを中断したり、ほかの職業に就いたりしても「また看護師で働きたい」と思ったときに比較的すぐに復職できます。
さらに、場所や待遇にこだわらなければ、日本全国どこへ行っても職探しに困ることはないでしょう。
結婚後、自分か配偶者の地元に戻って子育てをしたり、新居を構えたりといった理由で転居・転職をすることになっても、転居先ですぐに仕事を見つけることができるのは大きなメリットです。
ひとりで暮らすには十分、家族を養うとなると…?
先程の人事院の調査によると、経験年数0年の新人看護師の年収は約300万円ですが、経験年数1年以上になると年収は約400万円に増額します。経験年数5年目以降も、緩やかではありますが年収400〜500万円台まで上昇するため、ひとりで生活にするには十分な給料だと言えるでしょう。
しかし、結婚して家族が増えるとどうでしょうか?配偶者も同じように正職員・フルタイムで働く場合は別として、専業主婦やパート勤務の場合、決して「余裕のある家計」とは言い難い状況です。
そのため、男性看護師に限ったことではありませんが、独身時代から堅実に貯蓄をしておくことや、キャリアアップを目指して資格取得や転職を視野に入れた行動を起こすことが非常に重要となります。
男性看護師が年収アップを目指すにはどうすればいい?
では、男性看護師が年収アップを目指すためには、どのような方法があるのでしょうか?
資格を取ってキャリアアップ
看護師が資格取得を目指す代表的なものに、認定看護師・専門看護師・特定看護師があります。
これらの資格は特定分野の専門性を高め、より高い水準の看護実践が可能になるだけでなく、キャリアアップ・収入アップにつなげることも可能です。
特定看護師の場合は資格手当として数万円、認定看護師・専門看護師も数千円〜1万円程の資格手当が支給される職場もあります。
管理職を目指す
看護の現場では女性管理職の割合が高い状況ではあるものの、職務経験や普段の仕事ぶり、スタッフの信頼などによっては男性でも管理職を目指すことは可能です。
豊富な知識と確かな看護技術はもちろん、日頃からスタッフとコミュニケーションをしっかり取る・面倒に感じる役割にも挑戦してみる・リーダシップやマネジメントについて勉強するなど、コツコツと実績を重ねることが大切です。
また、さまざまな施設や診療科で経験を積み、「ここで管理職を目指したい」という職場があれば、将来は管理職を目指したい旨を上司に伝えておくのも良いでしょう。
男性が活躍しやすい職場に転職する
男性看護師が求められる職場は、多くあります。
たとえば、精神科や障害者病棟などでは、暴れる患者さんや落ち着きのない患者さんの対応に男性看護師が必要とされることがあります。ほかにも、救命救急センターや手術室で意識のない患者さんを移動する際や、治療上やむを得ず抑制しなければならないときに、女性よりも体が大きく力のある男性看護師は重宝されるでしょう。
救急救命センター・手術室・精神科病棟・障害者病棟では、特殊業務手当・危険手当として別途手当が支給されるため、一般病棟よりも月収が高くなる傾向にあります。
基本給の高い職場に転職する
看護師は「高給取り」というイメージを持たれがちですが、その実態は夜勤や残業による手当が大きく影響しています。体力低下や病気などで夜勤ができなくなるリスクや、ワークライフバランスを考えると、夜勤や残業に頼る働き方は見直すべきでしょう。
「諸手当は高いけれど基本給は低い」という職場で働いてる方は、将来のことも考えて基本給の高い職場への転職も視野に入れてはどうでしょうか。基本給は毎月の給料だけでなく、賞与や退職金の基準となるため、長い目で見れば基本給の高い職場ほど収入面では有利になります。
夜勤専従として働く
夜勤専従で働く場合、2交代もしくは3交代をしながら常勤で働くよりも、約半分の勤務日数で高給与を目指せます。
2交代の職場で夜勤専従として月に10回働いた場合、30〜40万円ほどの月収となるイメージです。夜勤手当の高い職場を探せば、年収が一気にアップするのも夢ではありません。
しかし、夜勤専従になることでこれまでとは逆の生活リズムになってしまうため、体調管理には十分注意する必要があります。
男性看護師として自分に合った働き方を見つけよう
看護師は安定した職業ではありますが、高給与かと言われると微妙なところです。一見高給与に見えても、その実態は夜勤や残業手当が大きく影響しており、昇給のスピードも緩やかです。
将来的に結婚や子育てを考えている方は、なるべく早いうちに「資格取得」「管理職への挑戦」「より条件の良い職場への転職」など、キャリアプランについて真剣に考えておくことをおすすめします。
- ■この記事を書いた人:遠藤愛(えんどうあい)
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関東の病院で外科・内科・地域包括ケア病棟、地域連携室に勤務。
その後、介護施設、訪問看護に従事。看護学校での外科看護臨時講師の経験あり。 - Twitter:https://twitter.com/doramama121
- note:https://note.mu/aiendo
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