看護師を辞めて違う仕事に就ける?大学教員から、看護大学の教授職へ転職!注意点やポイント!

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1.ほかの看護系大学設立に伴い職位が上がるため、転職を決意

私は看護師として3年の経験を積んだ後、看護大学の教員になりました。看護師という職業はとても素晴らしい仕事だと思いますが、一方であまりに劣悪な就業環境に辟易し、「教員という立場から、看護師という職業改善を行いたい」という気持ちが強くなり、思い切って転職しました。

それからはや数十年、私は大学編入をしながら教員職を続けてきたのですが、昨年看護系大学設立に伴い、俗に言うヘッドハンティングによって転職をすることになりました。今回は直接声をかけてもらったという、なかなかない貴重な経験となりましたので、その経験について、特定されない程度にお伝えできたらと思います。

2.前の大学を退職してから、新しい大学へ転職するまでの流れ

看護教員の世界は、とても広いようで実際はかなり狭いのが現状です。それが新設の大学となるとなおさらです。今回の転職では、そういった特殊な環境ゆえの様々な苦労をすることになってしまったのです。

STEP1:まずは部下にだけ転職情報を伝達

新設の大学からお声がけいただいたことについて、私はまずこれまで私の研究室で一緒に働いていた教員数名に、このことを伝えました。その上で「私と一緒に新設大学へ行くという人は、私に声をかけて。ここよりも良い条件で行けるから」と伝えました。

教員たちは皆とても良く動いてくれる方々だったため、ぜひ新設の大学でも一緒に働きたいと思っていたのです。しかしこの行為が、面倒くさい事態を招く結果となってしまいました。

STEP2:部下が教授へ転職することをばらしてしまい…

部下へ伝えた翌日、私は教授から呼び出されました。「あなた自身だけでなく、教員まで引き連れていこうとするのはどういうこと?あなた一人の分はかまわないけれど、他の教員まで連れて行くというのはルール違反では?あなたのような常識のない人をスカウトするなんて、その大学は品位がなさすぎる」と言うのです。

しかし私は知っていました。この教授自身も、この大学へ来る際はヘッドハンティングだったことを。また、私は今回の転職に際し、教授職へ就くことがすでに内定していました。そしてヘッドハンティングした大学の規模は今の大学よりも大きいため、今後私がこの教授と対等かそれ以上の待遇になることは誰が見ても明らかでした。

これまで理不尽なことが多かったからこそ、今回のお話によって逆転できるということが、私は本当に嬉しかったんです。「今後も顔を合わせることがあるかと思いますので、よろしくお願いいたします」それだけ伝え、私は教授室を去りました。

STEP3:看護学長と直接面接にて話し合い

看護部教授と話しをした翌日、私は看護学長から直接呼ばれました。「具体的な話をしたい」というのです。ここでも私はこれまでの恩を忘れたのか、というような内容の説得を受けました。

これまで、私の最終学歴が看護学長や看護教授とは違うというだけで、いわれのない差別を受け続けていました。そのため、何を言われても私の転職への意志は代わりませんでした。しかしここからこの転職はもう一悶着してしまうのです。

STEP4:「早く準備を」「絶対に辞めさせない」の板挟みに

転職が決まってからというもの、私は毎週のように新しい大学から連絡を受けました。「開学に向けての準備を進めたいので、一日でも早く来て欲しい」という新規の大学側と「絶対に辞めさせない」という大学の間で板挟みにあってしまったのです。

辞めさせないというのもなかなかのパワハラだと思いますが、最終的に学長が辞表を受理してくださらなかったため、なかなか辞めることができず、私は日々モヤモヤとした日々を過ごすことになってしまいました。双方から「早く来て」「絶対に辞めさせない」という意見を聞き続けた私は、ついに職場へ行くことが怖くなるという事態に陥ってしまったのです。

STEP5:最終的に「学生に迷惑がかかる」という言葉から転職可能に

私がどちらの仕事もできない状態となったことで、これまでの仕事にも少しずつですが影響が出るようになりました。連日学長や部長から呼び出されるため、本来ならば学生に向き合うべき時間まで、それらの話し合いで潰れてしまうようになったのです。

学生からも「あの教員はなかなか課題をチェックしてくれない」とクレームが入るようになったことで、事態は少しずつ、良い方向へ進められるようになりました。「学生に迷惑をかけてはいけない」という基本的な考え方の元、私はついにこれまでの大学を去り、新設大学での開学準備に時間をかけることができるようになりました。

3.転職してみて感じたこと

もともと私が今のように看護大学教授として働けるようになったのも、看護師の資格以外にも資格を取得していたことがきっかけです。最近、社会人から看護師になった方々などが「看護師の資格さえあればどこでも働ける」とお話されていますが、それだけではこれからの時代、職場を選ぶことはできません。

大切なのは、看護師の資格以外の資格やスキルを身につけることです。私は看護師に加えて、看護教諭、大学卒業の資格を得たことで、現在は教授として身体に無理のない範囲での仕事を続けることができています。皆さんもぜひ、看護師以外の資格を取得していただき、どこにでも転職できるスキルを身につけていただけたらと思います。

4.転職してみて「良かったこと・悪かったこと」まとめ

今回の転職を通じて良かったこと、悪かったことは以下のようなことだと思います。

◎良かったこと(1): 人間関係がとても良い

新設された大学の看護学長は、とにかく人間関係をとても重視しています。お互いの考えを気兼ねなく話せるよう、週に1回はランチ会を実施し、率直な意見を出せるような環境作りをしてくださっています。また、私の部下となる教員同士もとても仲が良く、私をのぞいて教員同士で食事に行ったりもしているようです。

このような人間関係がとても良いというのは、以前のように派閥で争いがあったような環境に比べて格段に転職して良くなった点だと思います。

◎良かったこと(2): 職位があがったことで、給料および待遇が良くなった

今回は教授という職位での転職となったため、お給料および待遇は格段によくなりました。これまでは実習期間すべてつきっきりで実習付き添いをしなければいけませんでしたが、今は教授としてすべての実習先を順番に回るだけでOKとなったため、精神的にも身体的にもずいぶんと楽になりました。もちろんその分責任も増えましたが、今はこの職位を楽しむ余裕を持てています。

△悪かったこと:学部長と出身大学が違うことで、正当に評価してもらえてない

これまでの大学では所属する分野の教授と出身大学が違うということで、不当な扱いを受けていました。今は私自身が教授なのでそういったことはありませんが、代わりに学部長とは違う出身大学なので、同じ出身大学の教授と比べてやはり扱いは目に見えて違うと感じています。

その大学は確かに看護系の中ではトップといって良い大学なので、仕方ないと思う点もありますが、出身大学だけで評価する、この悪しき習慣は早くなくなってほしいです。

5.日々看護師としてのスキルを磨いていれば、より良い環境で働くことはできる!

私は看護師として働いていた時からずっと、看護師としてはもちろんのこと、それ以外のスキルおよび資格を磨かなくてはと考えていました。看護教員の資格や大卒の資格を取得したことで、今、こうして教授としてより良い環境で働くことができています。

看護師だけの資格に満足せず、スキルを磨き、さらに資格を取得することで、より良い環境で働けるよう日々頑張っていただけたらと思います。

ナース転職求人を知りたい方

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