看護職の種類と仕事内容ついて、色々調べてみた!

一口に「看護師」と言っても、その業務はとても広い範囲に及んでいますよね。看護師の種類も様々ですが、今回は、「看護師」「準看護師」「助産師」「保健師」と「専門看護師」「認定看護師」についての給与水準や今後の国の動きや取り組みを絡めながら、詳しく掘り下げて行きます。准看護師が廃止されるかもしれない未来についてもリサーチ!(先に読みたい方はこちら)現任の看護師さんの中には、「そんなの知ってる!」と思われる方もいるかもしれませんが、意外な事実を知る良い機会かもしれませんよ! 是非ご一読あれ!

1. 看護師と准看護師の違い

ご存知の通り、看護職にはまず、大きく分けて「看護師」と「准看護師」の二つの資格があります。ちなみに看護師を「正看護師」と呼ぶことがありますが、これは正式な名称ではないため、ここでは正看護師→看護師といたしますね。

さて、では改めて、看護師と准看護師の何が違うのか見ていきましょう!

教育課程が違う

「看護師」「准看護師」と資格が分かれているだけあって、まずはその教育課程に違いがあります。厚生労働省に詳しい資料がありますが、ちょっと分かりにくいので、ざっくり下記にまとめてみました!

看護師と准看護師の教育内容・単位数(時間数)・資格取得までの流れの違い
看護師 准看護師
時間 3,000時間 1,890時間
試験 国家試験 知事試験
高卒の場合 下記のいずれか

  • 看護大学4年
  • 看護短大3年
  • 看護師養成所3年
准看護師学校2年
中卒の場合 5年一貫看護師養成課程校 下記のいずれか

  • 高校の衛生看護科3年
  • 定時制なら4年

「看護師」「准看護師」共に中卒でも高校でも目指すことはできますが、それぞれ、前提とされている学力の違いを考慮した教育課程となっています。

資格の発行元が違う

皆さんご存知の通り、看護師は厚生労働省が所管する国家資格です。ちなみに、国家資格というのは日本において国の所管により認定・登録が行われる資格のことです。では、准看護師も厚生労働省所管の国家資格なのでしょうか。

答えはNOです。准看護師の資格は都道府県知事による「知事資格」であり「公的資格」と呼ばれるものです。

看護師 厚生労働省所管の「国家資格」
准看護師 都道府県知事による「知事資格」

「知事資格ということは、認定を受けた自治体でしか活動できないのでは?」と思う人もいるかと思いますが、そんなことはなく、全国どこでも准看護師として働くことができます。

医療行為の権限が違う

ナース専科に准看護師歴14年の方からこんな投稿がありました。

「多分自分が働いている所に准看護師がいないとどんな仕事をしているかわからないと思います。実際友達の彼(大学病院看護師)に『准看護師って仕事何してるの? メッセンジャー的な? 助手的な?』と聞かれた事があります。実際は普通に看護師と何ら仕事内容は変わらないことをしています。リーダーもします。1人夜勤もします。夜間外来もしてきました。本当にやっていたことは変わりないです。」
出典:准看護師は看護師じゃない(愚痴です) | ラウンジ | ナース専科

たしかに、実際の現場では、看護師も准看護師も仕事内容に違いはほとんど無いように思われます。しかし、保健師助産師看護師法の第一章の第五条・第六条では看護師と准看護師について次のように定義されています。

第五条  この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。
第六条  この法律において「准看護師」とは、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする者をいう
出典:保健師助産師看護師法 – 第一章

つまり、医療行為の内容は同じだけど、医療行為にいたる為の権限が違うわけですね。まとめると

看護師 医師の指示なしで医療行為
准看護師 医師・看護師の指示なしで医療行為 ×

ということになります。

また、厚生労働省の「看護師教育及び准看護師教育の基本的考え方」でも次のように明記されています。

(1)看護師
健康の保持増進、疾病予防と治療、リハビリテーション、ターミナルケア等、健康の状態に応じた看護を実践するための基礎的能力を養う。(指導要領)
(2)准看護師
医師、歯科医師、又は看護師の指示のもとに、療養上の世話や診療の補助を、対象者の安楽を配慮し安全に実施することができる能力を養う。(指導要領)
出典:医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会 第9回資料 | 厚生労働省

としっかり明記されています。准看護師の定義自体が、看護師の補佐をする立場とされてしまっているため、あくまでも、指示されてから医療行為ができるということになります。

実際の現場では、「指示らしい指示なんかないよ!」「正看護師と全く変わらないよ!」と感じている准看護師の方も少なくないとおもいます。

余談ですが、看護助手の仕事は患者の食事や入浴の介助や器具の洗浄、備品管理や清掃などと定義され、医療行為は一切含まれません。

給与が違う

資格や仕事に対する権限など、色々なところで違いがある看護師と准看護師。
「給与も、もちろん違うはず!」ということで、こちらもリサーチしてみました!

看護師・准看護師の全国平均給与
常勤月給 パート時給
看護師 246,422円 1,492円
准看護師 221,228円 1,409円

やはり、看護師の方が高いですね。このような状況に納得いかないという准看護師の方もいるのではないでしょうか。しかし、看護師と准看護師で給与の差をつけないところもあるようです。特に介護施設など、在宅分野については、これからの高齢化に向けて看護師数を確保していかなければならないため、資格による給与格差が無い職場が増えている傾向にあります。

看護師と准看護師の今

「ウチの職場には准看護師の人はいないよ」という人も少なくないと思います。たしかに、准看護師の数は年々減りつつあります。

ほとんど同じ仕事をしているのに、給与も待遇も不利になってしまう准看護師。「どうせなるなら看護師!」と思うのは当然ですよね。

ではなぜ、看護師とは違う資格が設けられているのでしょうか。看護師・准看護師の関係や今後について、国がどのように考えているのか、現状を踏まえながら見ていきましょう。

2. 准看護師の歴史と未来

ここまで看護師と准看護師の違いを比べて見ましたが、そもそも准看護師とはどのような背景で生まれ、そしてこれからどうなっていくのかも深掘りしてみたいと思います。

なぜ看護師と准看護師の二つの資格が存在するのか?

看護師の補佐役として位置づけられている准看護師が誕生したのは、昭和26年保健婦助産婦看護婦法改正公布の時で、戦後間もない頃です。当時は女性の高校進学率が37%と現在に比べると非常に低く、看護師の資格を取る条件を満たせない人が大半でした。確かに今と違い当時は「女性に教育はいらない!」「女性は仕事をせず家庭に入るもの」という考えが残っていた時代です。それどころか、「女だてらに働くなんて、お金に困っているに違いない」なんて、陰口をたたかれるようなこともありました。

しかし、戦争で受けた傷や病の後遺症や、団塊の世代が誕生して間もない頃であったため、医療現場では看護職の需要が高まっていました。そこで看護師不足を解消するため、受験資格が比較的緩い准看護師制度を設けたということが背景です。

ただ、すでに戦後から何十年とたっている現代では、ほとんどの女子が高校に進学し、夫婦共働きが当たり前となっています。社会構造も風潮も大きく変わった現代には当時に比べて合致している制度だとは言えない状態です。

看護師・准看護師の数

出典:看護職員の需給に関する基礎資料 | 厚生労働省

出典:看護統計資料室 | 日本看護協会

上記のグラフを見ると、まず平成16年あたりから准看護師の数が減っていることが伺えます。二つ目のグラフでは、看護師は30代までが過半数を占めている一方で、准看護師は30代までが25%に満たない割合と年齢分布が真逆となっています。時代の移り変わりと共に准看護師になる人が年々減り、引退する准看護師が増えていることから結果的に全体の准看護師数が減る結果につながっています。

減少傾向にある准看護師ですが、就業場所についても大きな特徴があります。

就業場所別で看護師と准看護師の割合を見てみると給与格差が少ない介護福祉施設系ではほぼ同数に近い数となり、資格によって就業場所に大きな特徴が見て取れます。

准看護師が廃止されるかも

准看護師の数が減っている背景には、戦後から手付かずだった准看護師制度の見直しが検討されたことによる影響があります。日本看護師協会では現代の医療ニーズに合わせて、准看護師制度について次のような具体的な取り組みを行っています。

  1. 准看護師養成所の新設阻止並びに看護師養成所への転換促進
  2. 安全な看護提供をするための業務範囲に関する課題への対応
  3. 現在就業する准看護師への支援

出典:准看護師制度の課題解決に向けた取組み | 日本看護協会

この中にある、「准看護師養成所の新設阻止並びに看護師養成所への転換促進に」については、すでに改革が進んでいます。准看護師の教育課程を持つ養成所が廃止になったり、統合転換されたりした結果、ほとんどの都道府県では、准看護師養成所の数が1桁、福井県・沖縄県については0となりました。

より質の高い看護が求められている

日本看護師協会が、准看護師制度を廃止し、資格統一を図る理由の1つに、医療の高度化や複雑化の加速が上げられます。

今まで准看護師のニーズは、開業医・クリニックによるものが主でしたが、地域包括ケアシステムの推進により、クリニックなどの地域密着型の病院にも、高度な医療知識や技術などがより求められるようになりました。また、基幹病院などのチーム医療を推進や、高齢化による在宅医療の需要から、どの医療機関でも、自律的に行動できる看護師が求められています。

上記のことから、日本看護師協会は、看護師・准看護師の資格統一について強く意向を示しています。また、看護師・准看護師の資格統一は家庭の事情や時代背景によって、看護師という選択ができなかった准看護師達の望みでもあります。

日本看護師協会は、准看護師に対し、看護師資格取得を支援するなどの取り組みを行っており、実際に、准看護師から看護師への転換を果たした人も増えています。

「都府立医科大学病院に准看護師として43年勤務した瀧眞知子さんは、准看護師制度の廃止、看護制度の一本化を目指す運動を続けていた。看護師は専門職として、質の改善と資質の向上に努める責務があると考えていたからだ。1995 ~ 2000 年度に日本看護協会の西日本全区理事を務めた後、58 歳で 2 年課程通信制に進学。仕事と勉強の両立を果たし、60 歳で看護師国家試験に見事、合格した。」
引用:准看護師制度について | 日本看護協会

看護師と准看護師についてのまとめ

看護師と准看護師は教育課程や給与、医療行為の権限など、様々な違いがありました。歴史的な背景や当時の医療事情により望まれて作られた准看護師でしたが、医療のニーズの変化により、活躍の場は介護福祉施設を主とするようになりました。今後は専門看護師や認定看護師など、リーダーシップを取れる分野に特化した看護師が増えていく傾向にあると言えるでしょう。

3. 助産師

助産師はその名の通り、お産を助ける人です。昔はお産婆さんと呼ばれていましたね。そのお産婆さんを国家資格化したものが、助産師です。ちなみに、助産師の定義は「厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子」と国が定めています。

ここで注目するべきは、「女子」という最後の二文字です。看護師・保健師は男性でもなることができますが、助産師においては、女性しかなることができない女性専用の職業なのです。

男女雇用機会均等法など、仕事において男女の平等が当たり前とされている今ですが、やっぱり妊娠・出産・授乳などは、女性特有のデリケートな問題も発生しやすいので、立ち会ってもらったり、相談に乗ってもらったりする相手は女性の方がいいですよね。そのような現状を優先して、助産師については性別による制限がかけられているのです。

助産師が活躍する職場

病院、診療所、助産所、地域の保健所・保健センターが助産師の主な職場になります。

病院・診療所・助産所では医師と連携しながら、妊婦健診業務、妊婦さんの心と体のケア、安心で安全な出産、授乳・育児生活の支援などが主な仕事となります。

地域の保健所・保健センターなどでは保健師と連携しながら、母親学級のなどの開催や育児支援、育児家庭への訪問などを中心に行っています。また、学校教育における児童への性教育などに携わることもあるようですね。

助産師になるには

助産師はれっきとした国家資格なので、看護師の資格とは別に、国家試験を受けなければなりません。また、国家試験にパスする以外にも様々な条件があります。

助産師の国家試験を受験するためには、看護師の資格を持っていること、または看護師の資格を同時に取得することを前提とし、助産師になるための養成所や学校で1年以上助産に関することを学ぶ必要があります。助産師の国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けると、助産師として働くことができます。 助産師免許の申請時には、助産師国家試験と看護師国家試験の合格証書の写しの提出が求められます。

基本的には、看護師免許と同時取得をする人が多いと思いますが、助産師国家試験は何歳になっても受けることができますので、母性領域を極めたい看護師さんはいつでも挑戦することができます。

助産師の給与

助産師は看護職である看護師・准看護師・保健師・助産師の4種のなかでも一番給与が高いといわれていますが、実際のところどうなのでしょうか

助産師の全国平均給与
常勤月給 パート時給
267,393円 1,717円

出典:助産師の求人・事業所【ナース人材バンク】

前出の看護師の全国平均給与(常勤月給246,422円パート時給1,492円)に比べ、月給で2万円以上、上回っています。助産師は看護師資格の保有が前提あるため、同然といえば当然ですが、単純に計算すると年間で24万円の差が有ることになります。これは大きいですね! 自分自身の妊娠出産などで離れる期間もあるとして、ざっくり30年間働いたとすると、720万円の差になります。

助産師の今

現在、助産師の出向支援事業が進んでいます。周産期医療体制の課題として、助産師の偏在の解消があげられています。救急搬送された妊婦を受け入れる病院が無く、亡くなったというニュースも記憶に新しいと思いますが、実は、今の日本は全ての産婦が安心して出産できる場所が充分にあるとは言いがたい状況です。

そこで、厚生労働省は「助産師出向支援導入事業」を立ち上げ、周産期医療体制の強化を図ろうとしています。「助産師出向支援導入事業」とは、

都道府県内の周産期医療と助産師の就業先の偏在状況を把握した上で、助産師の出向・受入れを実施し、地域における助産師の偏在是正、助産実践能力の強化支援、助産学生の実習施設の確保等を図ることを目的とする
出典:助産師出向支援導入ガイドライン

というもので、実施内容は助産師のキャリアパスとして出向助産師を募り、専任のコーディネーターが出向先と出向元の調整を図りながら、迅速なマッチングを行い、助産師の足りない診療所などの周産期医療の支援をしていくというものになります。

出向コーディネートや助産師のエントリーについては民間や関連する機関の協力と連携を通して行うという方向で検討されています。まだガイドラインが制定された段階であるため、実施までには時間がかかりそうですが、過疎地域の妊婦・産婦さんのために、人肌脱ごうという方は、今から出向助産師を視野に入れたスキルメイクに取り組むのもよいかもしれません。

4. 保健師

看護職の中でも、「(比較的)仕事が楽」とささやかれている保健師。でも、実際にどんな業務をしているか分かっている人は少ないのではないでしょうか。また、保健師の仕事は働く職場によって業務内容も忙しさも変わってくるようです。

保健師の仕事

保健師の仕事は、人々が健康な生活を送れるように保健活動を行うこと。保健センターなどの公的機関で乳幼児健診・母親学級などを実施したり、生活習慣病予防対策や各種検診を行うなど、地域住民の健康づくりが主な仕事です。高齢者などの自宅療養者の家庭を訪問したり、介護予防の取り組みも。企業に勤め、働く人たちの健康相談や健診結果に基づいた保健指導・環境調整も行います
出典:看護職とは | 日本看護協会

上記を見るだけでも、保健師の職場は多種多様ということが分かります。また、保健師の中にも種類があり、働く職場や立場で下記のような呼称が一般的に使われています。

保健所や市役所など 行政保健師
企業内医務室や健康相談室 産業保健師
学校保健室、養護教諭 学校保健師

では、それぞれの保健師の仕事を見てみましょう。

【行政保健師】

行政保健師は、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年齢層の市民国民に対しする保健・福祉サービスをしています。

具体的な業務例だと、新型インフルエンザがはやり始めたら、予防対策案の作成を行い、予防接種の推進や、学校や担当地域における感染予防の教育や指導などを通して、流行を未然に防ぐお仕事や、高齢者の増加や出生率の低下といった人口変動によって発生する問題を推測し、市民国民の生活に支障が出ないよう福祉・医療・保険について検討対策を行います。最近では、精神障害をわずらった方へのケアや、独居のお年寄りへの自宅訪問、介護を必要とする人へのマネジメントなども、増えてきています。

行政保健師は日本で暮らす全ての人が適正な福祉・医療サービスをうけながら、健康的な生活をおくれるように対策していく役割を担っているため、公務員としてはたらいている方が多くいます。

【産業保健師】

産業保健師は、企業内に設けられた保健室や医務室に勤務しているため、その会社で働く人々を対象にした健康管理や維持が主の仕事となります。

具体的に言うと、体調不良を訴える社員に対しての処置や傷の手当が業務の中心であるため、看護師の仕事に近い業務内容といえるでしょう。雇用主は企業であるため民間企業の職員となります。企業の医務室・保健室には医師が常駐していないところがほとんどですが、重症・重病になるケースは少ないため、軽度な処置がほとんどとなります。

【学校保健師】

学校保健師は、学校保険法に基づき、勤め先である学校の職員や学生を対象にした健康管理や維持が主な仕事となります。産業保健師と同様に、体調不良を訴える職員や学生に対する適切な処置や怪我の手当が業務の中心となります。

「それって、要は保健室の先生のことだよね?」と思われる方もいると思いますが、厳密に言うと保健室の先生は、養護教諭という教諭の資格を持つ方を指し、保健師の資格だけでは養護教諭にはなれません。養護教諭の免許を持つと小中高の保健室での勤務が可能です。

保健師の資格を活かしながら学校で働きたいと言う方は短大や大学であれば教員免許が必要でないため、勤務することができます。教員免許は持ってないものの、保健室の先生になりたいという方は、養護教員免許をとるしかないですね。興味のある方は通信過程もあるようなので、チャレンジしてみてはいかがでしょう

【参考】養護教諭の免許資格を取得することのできる大学:文部科学省

保健師の給与

保健師の全国平均給与
常勤月給 パート時給
234,654円 1,544円

出典:保健師の求人・事業所【ナース人材バンク】

保健師も、看護師の資格保有が前提なのに、看護師よりも平均給与が下回るという結果となりました。これは一体どうしたことでしょう?

学校保健師・産業保健師は夜勤も無く、残業もほとんど発生しない上、カレンダーどおりに休めるなど、病院の看護師よりも実働時間が少ない傾向になります。そのため、月給で比較すると、看護師より平均給与額が低くなります。

一方で、時給については看護師よりも高くなっています。時給は一時間当たりの金額なので、ここは、資格手当相当分が含まれた金額になっていると考えられますね。

このような状況を考えると、産業保健師・学校保健師に限っては、病院勤務よりも楽と感じる看護師が多いのも頷けます。

また、上記の平均給与を算出した母数のほとんどは、産業保健師・学校保健師のものになります。

行政保健師は公務員であるため、公務員の給与規定に準じた給与となるため、民間の人材紹介会社の求人データを元にした平均給与の対象に含まれていないため、このような結果となっています。

それでは、行政保健師の場合はどうでしょう? 次の項目では、行政保健師の現状を検証してみたいと思います。

行政保健師の今

「保健師の仕事は楽」という人もいますが、行政保健師に関しては、実際の仕事を正しくイメージできている人はごくわずかではないでしょうか。確かに、看護保健師・産業保健師は夜勤も患者の急変も無く、楽に感じるかもしれません。でも、保健師のほとんどが行政保健師をして働いています。

上記でも、説明させていただいたとおり行政保健師は公務員として働いているため、時代の流れによって実務内容も変化するという特徴があります。また、地域包括ケアセンターや保健所などでは単独、もしくは少数配置であるため、研修や教育の体制が整っているとは言いがたく、自分の仕事を進めるための情報や知識の確保の方法が確立していません。

そのため、配属先では、個々の保健師が今までの経験や知識を頼りに、手探り状態で仕事をしなければならないという場合も多いようです。

現在、保健師が関わっている事業は、平成23 年12 現在103 種類。
さらに、最近の地域包括ケアシステムの推進により、本来、国の仕事である業務が、市区町の保健師に落ちてきている状況です。そのため、事務処理の量が多く、保健師本来の仕事が充分に行えていないというジレンマをかかえている行政保健師も少なくありません。

出典:地域保健で働く保健師の活動の現状と今後の課題 – 国際医療福祉大学

そのような保健師の現状を改善すべく、日本看護協会は「保健師の活動基盤に関する基礎調査」を行った上で、厚生労働省に対し健師や地域保健施策等に関する要望書を提出しました。

保健師の活動基盤に関する基礎調査結果
課題
  • “誰がどのような組織で、保健業務を実施するか”が検討されていない
  • 保健事業の全容が掌握されていない
  • かつての保健師の現任教育体制は崩壊し、専門職としての人材育成が行われていない
対策・今後の方向性
  1. (国に)保健事業の掌握や事業の下ろし方、体制(保健師増員含む)の検討を求める
  2. 市町村保健活動における最適規模・体制の検討を行う
  3. 保健業務の効率化・最適化をはかる方法を開発する
    • 保健師活動の類型化と保健事業の再整備
    • 統括保健師の機能を発揮した事業遂行のあり方
  4. 広域的な人材育成体制を構築する
    • 統括保健師・リーダー保健師の計画的な育成

出典:厚生労働省

今後、ますます、保健師が果たすべき役割が増えていくと推察されるため、保健師が本来担うべき業務をしっかり遂行できるようにするためには、充分な人材としっかりとした教育体制が不可欠といえます。なかでも、保健師の統括を行う行政保健師は管理者研修など定期的な研修を受けずに統括業務を行っている人も多いため、日本看護師協会では、保健師の系統的な現任教育を行うことを目的とした、統括保健師人材育成プログラムを作成しました。中堅保健師の実践力の向上や、新任保健師に対する教育指導力を育成するための研修を増やし、リーダー格の保健師に対し受講を呼びかけていく方針です。

行政保健師の仕事は拡大していますが、その名の通り、行政側として国民の心身の健康を守るための対策や事業を立ち上げることができる立場でもあります。日本の保健・福祉のあり方の根幹に携わる専門職なので、他の保健師や看護師ともちがったやりがいがあります。日本の保健事業をよりよいものに変えたいと思うならば、行政保健師への道を目指してもいいかもしれませんね。

5. 認定看護師・専門看護師

最近、看護師のキャリアアップといえば、認定看護師・専門看護師をイメージする人が多いのではないでしょうか。ご存知の通り、認定看護師・専門看護師は日本看護協会が「国民への質の高い医療の提供を目的に」運営している資格制度です。どちらも特定された医療分野について高い専門性をもって保健福祉医療に貢献する人材を育成することを目的としています。

専門・認定看護師の役割

専門看護師と認定看護師は、それぞれどんな役割を持っているのでしょう? 日本看護協会には下記のように書かれています。

【認定看護師の役割】
認定看護師は特定の看護分野において、以下の3つの役割を果たします。
  1. 個人、家族及び集団に対して、熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践する。(実践)
  2. 看護実践を通して看護職に対し指導を行う。(指導)
  3. 看護職に対しコンサルテーションを行う。(相談)
【専門看護師の役割】
専門看護師は、専門看護分野において以下の6つの役割を果たします。
  1. 個人、家族及び集団に対して卓越した看護を実践する。(実践)
  2. 看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う。(相談)
  3. 必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う。(調整)
  4. 個人、家族及び集団の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決をはかる。(倫理調整)
  5. 看護者に対しケアを向上させるため教育的役割を果たす。(教育)
  6. 専門知識及び技術の向上並びに開発をはかるために実践の場における研究活動を行う。(研究)

参考:資格認定制度 | 日本看護協会 ? 専門看護師

認定看護師は、特定の医療分野における「実践」「指導」「相談」の役割があるのに対し、専門看護師は「実践」「相談」「教育」「調整」「倫理調整」「研究」の6つの役割があります。専門看護師の方がより狭い分野で深い知識得て、周囲を引っ張る必要があります。

認定看護師・専門看護師になるには

認定看護師・専門看護師は日本看護協会の資格制度であるため、認定看護師の場合は、半年以上学校に通った上で、専門看護師は、大学院で学んだ上で、資格試験に合格する必要があります。

【認定看護師の受験資格】
  • 日本国の看護師免許を有すること
  • 看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上あること(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)
  • 認定看護師教育機関(課程)修了(6か月・615時間以上)
【専門看護師の受験資格】
  • 看護系大学院修士課程修了者で日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計26単位または38単位)を取得していること
  • 実務研修が通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野の実務研修であること

どちらも、学校に通うため通常の看護業務を両立するには、相当の努力が必要になります。配偶者や子供がいるなら、家族の協力と理解は必須となります。

専門・認定看護師の給与

血のにじむような努力で勉強し、難しいといわれる試験に合格したのだから、「さぞかし、専門・認定看護師の給与はいいに違いない!」と、普通は思いますよね? だけど、実態はそうでもないようです。

専門看護師・認定看護師の基本給の評価

引用:2012年病院勤務の看護職の賃金に関する調査 報告書

上記のように専門・認定看護師に特定の手当を用意していない病院がほとんどということが分かります。専門・認定看護師になると、業務量も増え、求められるレベルも高くなるというのに、「割に合わない!」という感じですよね。

実は、専門・認定看護師は「保健医療福祉の向上にむけた人材育成」という目的が先行して創設された制度なので、資格取得基準はきまっているものの、専任・認定看護師の待遇については、後手に回っているという状況なのです。しかし、専門・認定看護師は、看護業界全体の総意として特定分野に特化した専門家を求めているという状況に応えているわけですから、この先、ずっと待遇が改善されないということはありません。

専門・認定看護師の未来

実は、今、どこの病院も専門・認定看護師を欲しがっているという状況です。その理由は、2016年度の診療報酬改定で認定看護師・専門看護師の配置に対して認知症ケア加算1、排尿自立指導料などが新設されており、診療加算を狙って認定看護師・専門看護師の獲得を狙っている事業所が多くあります。これまでの流れからも2018年の診療報酬改定時に何かしらの変更が加わるのではと予想もされており、育成まで含めた長期的な始点に立った病院・施設が恩恵を受けるのではないか、と言われています。

そのため病院などでは認定看護師・専門看護師の争奪戦が加熱しています。そして、専任・認定看護師に来てもらうには、やっぱり、待遇面でのメリットを見せなければなりません。この流れにより、専任・認定看護師の手当や給与アップに結びつきつつあります。

6. おわりに

今回は、看護職の資格の種類について、色々な側面から掘り下げて見ました。現任の看護職の人でも、意外と「しらなかった!」という情報もあったのではないでしょうか? これから先はまさに医療制度の改革などが活発化することによって、これまでの形が見直されています。従来よりも早いペースで変化が訪れるため、先を見越した上での行動をすることが自分自身の人生を作る上で重要になってくるといえるでしょう。

もしどういった方向性に進んでいいのかわからない、教育制度がいいところに転職したいとお考えの方はぜひナース人材バンクのキャリアパートナーへご相談ください!

(ライター:シャーク)


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