看護師不足の実態!現場の悲鳴は届いているのか?看護師の人材確保対策とは?

ほんとに人が足りない。辞めてく人はいるのに入ってくる人がいない。休みは減るし、少ないスタッフでの業務。残業の日々。

彼とは遠距離な為、彼の所にいき、結婚したいと考えてるのですが、看護師不足のために退職できないんです。

うちの病院では、かなり深刻です! 特に私の病棟では、ひどいときは60対2になります(泣)まともな看護もできるはずもなく、でもどこの病棟も人手不足なので、文句は言えません…(–;)

ナース歴29年、今まで看護師の数が充実してる病院、施設に巡り会ったことがない。でも文句をいいながらでもそこにいる以上『やるっきゃない』のが現実。

看護師不足のため新人教育がなく普通に受け持ちをしています。点滴のルートの繋ぎ方や肺の聴診など何一つ分からず何が正しいかも分からないまま、とりあえず目の前にある処置やケアをこなし、申し送りは夜勤の先輩のコメントをまるまる送っているような状態です。

皆さん、想像以上に過酷な労働環境を強いられているようです。「看護師が足りない」と騒ぎ立て続けているが、これが看護師不足と直面している現場の声なんです!

なぜ「看護師不足」の事態が起きているのか? なぜ看護師は増えないのか? これから看護師たちの仕事はどうなるのか?

このままでは先行きが不安ですよね。実際、看護師不足を解消するためにどのような動きがあるのかを緊急リサーチ! 各機関や病院施設などがどう考えているのかを紹介します。これを見て、何か変化のきっかけになればと思います。

1.看護師不足の実態を数字でみてみよう

それでは実際に、看護師の不足とはどれくらいなんでしょう? 厚生労働省が発表した第7次看護師需給見通しのデータが下のとおりです。

(推計方法)
需給数の見通し: 都道府県が病院等に対して調査を行い(病院等は、看護の質の向上や勤務環境の改善等の要因に関し実現可能と判断した人数を回答)、その集計結果を基に積み上げ
供給数の見通し: 再就業者数の現状等を踏まえつつ、政策効果も加味して各都道府県が推計し積み上げ、厚生労働省がとりまとめ、算定の考え方は、年当初就業者数+新卒就業者数+再就職者数-退職等による減少数

(出典:厚生労働省 第七次看護職員需給見通しについて)

需要の見通しに対し、供給の見通しが常に下回っています。年々看護師数は増えているものの、実際に現場が必要とする看護師の数は追いついていかない状況のようです。今のところ、不足慢性化状態が続く見込み。

しかし、都道府県別で見た場合、看護師の不足状況に差がありました。

(出典:厚生労働省 看護職員の需給に関する基礎資料)

人口10万人に対しての看護師数を比較してみると、中国・四国・九州地方は全国平均を上回る数の確保ができているのに対し、関西より東が全国平均に達していない状況でした。特に首都圏となる東京・埼玉・千葉・神奈川ではかなり不足しているのがわかります。

人口もかなり多く、病院の数も多いため不足の状態になってしまいます。働くエリアによって、看護師不足により危機的な労働環境のところと、ゆとりある看護が提供できているところの地域格差があることがわかります。

2.看護師不足となっている理由って何?

それではなぜ看護師不足が起きているのでしょうか?

(出典:厚生労働省 看護職員の現状と推移)

こちらのグラフを見てみると、看護職員の就業者数は右肩あがりで年々増加しているのがわかります! 看護師の数が減っていることによる不足ではなさそうです。

このデータを見る限りだと看護師が年々増え、充足していきそうに見えます。それではなぜ、「不足」「不足」と言われる事態が起こっているのでしょうか? 下記にその要因と思えるデータがあります。

(出典:平成24年版 高齢社会白書(全体版))

年々、65歳以上の高齢者が増加傾向にあり、さらには平均寿命ものび続けています。健康なお年寄りばかりなら特に問題ないのですが、実際は、そういう人ばかりではありません。高齢者が増え、平均寿命も延びることで、病気のリスクや、医療や介護を必要とする時間が多くなります。すると、医療・介護を提供する人の数も比例して多く必要となります。看護師の需要数に対し供給数が追いつかない状態が、果てしなく続いていくことが安易に予想できます。

厚生労働省では、看護師の離職者数について年間約16万人と推定しており、現在では約70万人の潜在看護師が存在しています。この数字だけみても、離職する看護師の多さにびっくりしていまします。この潜在看護師が少しでも現場に復帰をすることができれば看護師不足も少しは解消されると思われます。一度辞めた看護師たちは、なぜ復職しないのでしょうか? そこには復職しない事態を及ぼしている、奥深い理由がありそうです。

3.どうして看護職を辞めてしまうの?

実際に辞めた人はどのような理由で辞めていったのでしょうか? まずは、厚生労働省が調査した退職理由から見てみましょう。

(出典:厚生労働省 看護職員就業状況等実態調査)

出産・育児が理由での退職が一番多く、次いで「その他」、結婚と続いています。やはりライフイベント時による退職が多いことがわかります。もうひとつ、ナース専科独自で退職理由についてアンケートをとったものがあります。これを見てみると少し内容が異なっていました。

(出典:ナース専科)

退職理由の1位は、人間関係(いじめ、パワハラ含む)となりました。厚生労働省が把握している退職理由と少し異なる結果となりました。しかも、トップ10のうち、8つが職場環境が原因での退職でした。これこそがナースの「本音」の部分です。

全てが嫌で、とにかく辞めたかった

待遇の不満、残業代不払い、経営者への不満などが相まって…

働く上で職場の環境というものは、とても重要になってきます。この働く環境の改善こそが、看護師の離職を防ぐ一番の特効薬になり、不足からの脱却に繋がりそうです。

4.2025年問題で働く環境はどうなるの?

世間では「2025年問題」とよく耳にするようになりました。「2025年問題」で看護職を取り巻く環境はどのように変わるのでしょうか?

2025年問題とは戦後生まれのベビーブーム世代の人たち、団塊世代とも言われている人たちが75歳の後期高齢者になる年。少子高齢化も進み国民の4人に1人以上が65歳以上となります。これによって、医療費や社会保障費等の急増が懸念される問題のことです。

高齢者が増えることで、医療を受ける人、介護を必要とする人も、劇的に増えることが予想されます。そうなると、病院のベッド数を増やしたり、病院の数自体を増やさなければいけない、さらに介護の世界でも同じように、施設数の増加は求められるようになります。

医療・介護を受ける側の増加に伴い、提供する人員も必然的に増加しないといけません。厚生労働省は2025年には196万人~206万人の看護師が必要になると予想しています。

看護師は年々増え続けてはいますが、2015年時点で163万人。年平均で3万人ずつ増加傾向にあるため、あと10年で30万人の増加を見込み193万人。なんと約3万人~13万人ほど不足の状態が考えられています。

現状の不足状況は、厚生労働省が出すデータの中では、需要数と就業者数の差はおよそ2万人程度。現時点でも看護師が足りていないとして、一人にかかる負担が増え退職理由の原因となっているにも関わらず、それを食い止めるどころか、2025年にはさらに不足数も増え3万人~10万人が足りない状態。これは恐ろしい事態が目に見えています。この緊急事態に備え、各機関が対策を考え動き出しています。

5.どうする看護師不足問題!?

看護師不足問題に対して、指をくわてみているだけではないようです。各団体の方針をまとめてみました。

厚生労働省「離職防止・復職支援等の総合的な対策を実施」

1. 看護職員の復職支援の強化(看護師等人材確保促進法改正 2015年10月1日施行)
  • 看護師等免許保持者について一定の情報の届出制度を創設し、離職者の把握を徹底。
  • 都道府県ナースセンターが、離職後も一定のつながりを確保し、ライフサイクル等を踏まえて適切なタイミングで復職研修等の必要な支援を実施。
2. 勤務環境の改善を通じた定着・離職防止(医療法改正 2014年年10月1日施行)
  • 看護職員を含めた医療従事者全体の勤務環境を改善するため、医療機関による自主的な勤務環境改善の取組を促進し、都道府県医療勤務環境改善支援センターが医療機関の取組みを支援。
  • ワークライフバランス等にも配慮した取組みを促進し、看護職員の定着・離職防止を推進

(出典:厚生労働省 看護職員の需給に関する基礎資料)

日本看護協会

1. 働いている看護職の定着促進
  • ワークライフバランス推進事業(人員配置の推進、多様な勤務形態や短時間正職員制度など)
  • 長時間労働や夜勤時間・夜勤回数を是正、労働時間管理や夜勤体制の改善
  • 夜勤に従事する看護職の確保や処遇の改善、中堅看護職員の負担の軽減に取組
  • 労働のリスク(夜勤・交代制勤務・腰痛・病原体や医薬品への暴露・メンタルヘルス・ハラスメントなど)から看護職を守るための労働安全衛生の取組みを推進
  • 看護職のモチベーションを維持する環境を構築するため、看護に関する新たな資格を取得することと、職業・生活の調和の推進
    (管理者をはじめ、特定領域において高い専門性を持つ専門看護師・認定看護師・特定行為研修を終了した看護師について、役割に見合った適切な処遇の補償を推進。将来的には、在宅領域や施設に勤務する看護職のキャリアパスを構築し、看護職のクリニカルラダーに応じた役割付与と適切な処遇および役割に見合った報酬の補償を目指す)
2. 社会人や男性の看護領域への参入促進
3. 潜在看護師職員の再就業支援研修の拡充や、ナースセンターの活用をはかり再就業を促進
4. 定年退職後の看護職に対し再就業支援を行う

厚生労働省や日本看護協会は、実際働いている看護師たちの労働環境を整えるように様々な取り組みを行っています。潜在看護師に向けては、復職についてのサポート体制の整備に力を入れているようです。

各病院や施設などでは、実際に積極的に労働環境改善等の取り組みを行い、退職者が減少、育休取得者からの全員が復職するなど、人材確保にの成果を上げているところもあります。

実例として、働く上で重要となってくる勤務時間について、「短時間正職員制度」「勤務ステップシステム」「希望者を期限付きで夜勤専従勤務」などを取り入れ、多様な勤務形態の選択肢を与えました。勤務時間を選べることによって、育児や介護などで限られた時間しか働けない方が、辞めなくてもよくなり、「退職者が減少」「看護師確保」に成功したとのことです。

また、出産などのライフイベント時の離職を阻止するためなどに、「産休・育休取得から復職までスムーズな対応を支援」したり、「小学校就学前の保育料の支援」などを行っている施設もあります。これによって、産前産後休暇・育児休業取得者のほぼ全員が復職に成功したところもあります。

他に、業務についても以下のような取り組みが行われている施設もあります。

看護補助者の活用
→ 負担軽減
職種間でのコミュニケーション
→ 業務分担の整理
看護部教育課が新人教育
→ 新人の離職防止、中堅看護師の業務負担減に貢献
緊急事態に対応する職員を明確化
→ 時間外労働を削減

各医療施設は、働いている人に耳を傾け、勤務時間の多様化や、定着したくなるような職場作りを実践し、お互いが歩み寄ってよりよい職場環境を作ることにより人材確保、離職防止を成功させているように思います。

6.働きやすい環境への実感度は?

看護師不足の事態に、看護師確保に向けた様々な取り組みを積極的に行い、良い方向に動き出しているところが出てきています。国としても、「すべての女性が輝く社会づくり」を推進し取り組みをおこなっています。

それでは実際、女性が多い看護職の方は働きやすい環境になってきていると感じているのでしょうか?

日本はこれから女性にとって働きやすい環境になっていく?(出典:ナース専科)

感じていない

子育てと高齢者の介護をサポートしてくれる制度や施設が少なすぎる

女性が働きやすい、というより、女性も働かざるをえないという感じがします

施設勤務です。女性上司の無意識のパワハラが・・・女性の敵ははやり女性かも

どちらとも言えない

働きやすいというより、働かなくてはならない環境だからどうでしょうね~

序しえの社会進出や活躍がいくら目立っても、まだまだこの国は保守的だから

子どもが生まれたら、保育園を探すのに苦労するし・・・(T_T)

感じている

女性も手に職を持つ方が増えて、自立度が高くなり主夫が増えたように感じる

希望も含まれてます

少しではありますが、女性が働きやすい環境になっていると感じている方がいらっしゃいます。しかし、まだまだ働きやすい環境を感じている人は少ないようです。
出産・育児・介護の負担が、女性に大きくかかってくる傾向から、職場環境以外の整備を国には、早急に進めてもらいたいものです。

7.まとめ

看護師不足は2025年問題も踏まえ、今後更なる深刻化が予想されています。年々看護師就業者は増えているものの、離職者が多いのも事実。この「離職者を食い止めること!」「離職したものを復帰させること!」が重要と考え、各団体や病院・施設など、様々な取り組みを行い、職場の環境が改善されつつはあります。しかし、まだまだ時間がかかりそうです。

今、働いているところの環境はどうですか? 満足していますか? 不満がある! とこたえた方は、何かを変える道を選ぶことも解決策につながることと思います。

まずは職場に一声あげてみるのもいいと思います! その一言で職場の環境が変われば、変えていくことができたなら、辛い状況が打破できるかもしれません。

「そんなことできない」「もう耐えられない」という方は、働く環境を変えることも選択肢に入れてみてください。きれいごとではありません。自分の働く環境は自分で選び、作っていくことが働きやすい環境を手に入れる近道になることでしょう。

一度離職したものの、復職を検討している人や、検討しているものの二の足を踏んでいる方はぜひ一度キャリアパートナーへご相談ください。復職支援に力を入れている事業所や、理解のある施設など、施設のことを知っているからこそお伝えできることがあります。

いい職場に人気が集まることで、その病院や施設を見習って労働環境を改善する気運が高まることへと繋がるかもしれません。そのような時代の流れが生まれれば、これから看護師になる未来の後輩にとっても明るい未来になるに違いありません。

(ライター:絵津子)


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