看護師は残業が多い? 残業を減らすために出来る事!

看護師は残業が多い仕事というイメージが強いかも知れませんが、実際はどうなのでしょうか?

働く病院や施設、所属部署により業務の細かな内容が違うため、一概に看護師=残業が多い仕事とは言えない部分も多いかと思いますが、残業を減らすために様々な取り組みをしている病院や施設も増えてきています。

看護師の残業について、また残業を減らすために、どのようなことが出来るのかなどについてまとめていきます。

1. 看護師はなぜ残業が多い?

看護師は残業が多い仕事なのか? その答えはズバリ「YES」です。
しかし、これは看護師として働く全ての人に当てはまるものではありません。それは看護師が働く労働環境により違いがあるからです。

看護師は総合病院や介護福祉施設、個人医院やクリニック、保育園や行政、企業や保健施設など、その資格を活かして働ける場所も様々です。正規職員として働くだけでなく、短時間勤務など働き方も様々なのです。そのため、一概に残業が多いと言えない場合もあるのです。

【看護師の残業の実態】

日本医療労働組合連合会が2013年に実施した「看護職員の労働実態調査」によると、看護師の約9割が時間外労働を行なっており、時間外労働を20時間以上している看護師が20.7%、30時間以上が8.4%、50時間以上が1.7%となっています。さらに看護師の過労死ラインと言われる60時間以上の時間外労働は0.8%と報告されています。

この調査は32,372人の看護師からの有効回答が得られている調査であり、0.8%とは実に253人が過労死ラインを超える時間外労働を強いられているという事になります。

【残業が発生する原因】

では、なぜこれほどまでに看護師の残業は多くなってしまうのでしょうか。

これには様々な原因が挙げられます。
まず慢性的な人員不足、時間外で開催される会議や研修会などが残業の原因として考えられています。また看護師の業務は患者さんの状態により、その日の予定は大きく変わってしまいます。入院となる患者さんや、外来を受診する患者さんが多くなれば、業務量は大きく変化してしまうのです。

救急指定病院で入院が多い病院、手術件数が多い病院、重症患者の多い病院などでは業務量も多くなってしまい、残業も多くなる傾向にあります。
業務量をこなすだけの十分な人員が確保されていれば、時間内に業務を終わらせることが出来ますが、人員が十分に確保出来ているという病院や施設は、ごく一部であり、ほとんどが人員不足に苦しんでいる現状なのです。

【残業が減らない環境】

過酷な残業を少なくするには、人員の確保が重要な対策になりますが、ここにも残業の負の連鎖が関係しています。看護師は残業が多い職業、だから選ぶ病院や施設は残業の少ない所が良い! という看護師さんは少なくありません。

時間外が少ない病院や施設は、人員が十分に確保出来ている場合が多く、そんな病院や施設への入職を希望する看護師さんが増えれば増えるほど、人員不足の病院や施設にはいつまで経っても看護師さんが集まらず、結果残業を減らす事も難しくなってしまうのです。これが残業の負の連鎖です。

実際に就職や転職を考えて病院や施設を探す場合、残業時間を重視する人は増えています。残業の平均時間を聞けば、その病院や施設の業務量に対しての人員配置の状況をイメージすることができ、人員の確保状況をイメージすることが出来ます。残業を減らすために人員確保が必要、しかし残業の少ない施設は魅力的な職場として人員が集中してしまうのです。

残業は働く看護師さんの負担になるばかりでなく、魅力ある職場としてのひとつの基準にもなっており、残業を減らす事は魅力ある職場作りにもつながります。そのため多くの病院や施設は残業を減らすために様々な取組をしています。

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2. 残業を減らす? 「ワークライフバランス」ってなに?

看護師さんの残業や過酷な労働環境を改善するために、「ワークライフバランス」を重視する取組みが行われている施設が増えています。これは日本看護協会でも推進されているものであり、看護師以外の様々な企業でも「ワークライフバランス」は重視されるようになってきています。

【ワークライフバランスとは】

「ワークライフバランス」とは仕事と生活の調和を意味する言葉であり、「仕事」と育児や介護、趣味や学習、休養、地域活動などの「仕事以外の生活」との調和を取り、その両方を充実させる働き方、生き方の事です。仕事と仕事以外の生活両方を調和させる事により、両者間に好ましい相乗効果を高めようというのが「ワークライフバランス」の目的です。日本看護協会では「看護職のワークライフバランス推進ガイドブック」を作成し、積極的にワークライフバランスに取り組んでいます。

【ワークライフバランスと夜勤】

看護師さんのワークライフバランスを考える上で、夜勤は大きなポイントになります。正規職員の条件として、夜勤をすることが必須となる施設も少なくありません。17時以降の8時間?16時間の勤務となります。夜勤は基本給とは別に夜勤手当が支給されるため、看護師さんの収入をアップさせる手段ではありますが、決して楽な仕事ではありません。

夜勤などの不規則な勤務体系や長時間の残業の日々の中で、時間を確保することは難しいのではないかと考える人も多いのではないでしょうか。しかし看護師の仕事は残業や夜勤を含む過酷な労働環境が当たり前という、これまでの常識を改善する取り組みが、ワークライフバランスへの取り組みなのです。

【ワークライフバランスと勤務体系の変化】

残業を減らす取り組みもワークライフバランスの大きな取り組みのひとつです。また休日の確保、有給休暇の取得率向上など、仕事以外の時間の確保も大切です。さらには働く看護師さんの希望に沿った様々な勤務体系にて、看護師の雇用を行なっている病院や施設も増えて来ています。
日勤だけの勤務で土日祝日は休み、9時から15時までの短時間勤務、夜勤の回数や曜日を選べる、夜勤専従など看護師さんは自分のライフスタイルに合わせた労働時間で無理なく働くことができる時代になって来ているのです。

【雇用体系の多様化によるメリット】

このような様々な雇用体系を採用しても結果残業は減らないのでは?と思うかも知れませんが、実は大きな効果が期待出来るのです。いくら残業を減らすと言っても、仕事を残して帰ることは出来ません。そんな中で様々な勤務体系であっても、マンパワーを確保する事により、業務量を分散し、残業を減らす効果が期待出来るのです。
また、自分のライフスタイルに合わせた雇用体系が選択できると、無理なく働くことができるため、仕事と仕事以外の時間の調和を取りやすくなるでしょう。

【ワークライフバランスによる恩恵】

さらにワークライフバランスに取り組んでいる職場は魅力的な職場というイメージが持たれ、人が集まる職場にもなります。人が集まれば、人員不足も解消され、結果的に残業が減ったという効果も期待出来るのです。残業を減らし、働きやすい職場を作るためにも、ワークライフバランスは大きな効果が期待出来る取組みと言えるでしょう。

具体的な取り組みについて興味がある方はこちらの記事もチェック↓

3. 看護師個人で残業を減らす対策

看護師さんの仕事は、いくらその日のスケジュール管理を綿密に行なっていても、急な対応を求められることが多く、スケジュール通りに進まないことも少なくありません。人が少ない職場だから、残業は当たり前という考えではなく、まずは看護師ひとりひとりが残業を減らすという意識を持つことが大切です。
いくら人員が充足していても、ダラダラと仕事をしていては、残業を減らすことは出来ません。勤務時間内に業務を終えることは当然の事です。ひとりひとりが残業を減らすという意識を持ち業務にあたれば、職場全体が残業を減らすという雰囲気にもなります。

【残業を減らすために大事なコト】

実はこの職場の雰囲気作りは残業を減らすためにとても重要です。無理に業務を急ぐ必要はありませんが、業務効率を考え、時間管理を徹底し業務を行えば、残業を減らす事につながります。職場のひとりひとりが意識すれば、個人、または組織としての業務効率もアップします。時間に余裕があれば、一緒に働くメンバーのフォローも出来ます。

【残業を減らすための第一歩として】

まずはなぜ残業が多いのかという事について、個人で、また職場で考えてみることから始めてみるのも良いでしょう。問題の共通認識ができれば、きっと残業を減らすために必要な、雰囲気作りにもつながります。仕事と仕事以外の時間の調和を実現し、より良い看護を展開する事にもつながります。残業を減らすということを、看護師個人でも考え、対策を検討していかなければならないのです。

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4. 看護部、施設で残業を減らす対策

残業は看護師個人への負担になるだけでなく、看護部や病院、施設など、組織全体の負担にもなります。患者さんあっての仕事ですから、どうしても避けられない残業もありますが、経営面においても残業代は大きな負担となってしまう場合もあります。

【残業を減らすまえに】

まずは残業の状況を把握し、なぜ残業となるのか、その原因を分析することが必要です。適正な人員配置は出来ているか、業務効率をアップする取り組みはされているか、改善できる業務はないかなど、問題点が明確になればそれに対する具体的な対策の立案と実施が必要となります。
多くの場合が人員不足を問題にあげる看護部や施設が多いでしょう。残業が多く、忙しいというイメージの病院では、人は集まりにくいです。

【職場環境を整えることのメリット】

ここでもやはりワークライフバランスが大きな役割を持っています。組織として実施可能な事には積極的に取り組み、まずは今現在働いている看護師さんや職員が魅力ある職場であると思えるような職場環境を整えることが必要です。
様々な雇用形態で看護師さんを採用することも有効ですが、福利厚生や子育て支援、教育や研修制度、介護や育児のための休暇制度、ライフサポートなど、組織として実践できるワークライフバランスに取り組んでみましょう。もちろん、残業を減らすという取り組みを組織として行うことも大切です。今働く人にとって魅力的な職場環境を整えることは、結果として人を集めることのできる組織となるのです。

【情報発信をすることの重要性】

またこれらの取り組みを情報発信することも大切です。看護師さんが就職を考える時に、まず病院や施設の情報源とするのがホームページやウェブ上の情報です。今の時代、ホームページは情報収集の最初のポイントです。ホームページの雰囲気=病院の雰囲気となってしまうことも少なくありません。自施設で取り組むワークライフバランスについて、また残業を減らす取り組みなどについて、情報発信することも、有効な手段です。

現在働く看護師さんのためにも、またこれから働く看護師さんのためにも、さらには組織、病院、施設のためにも、より良い職場環境を目指し、ワークライフバランスに取り組み、その内容を情報発信することが大切なのです。魅力ある職場を目指すということは、そこで働く看護師さんのメリットだけでなく、組織としても大きなメリットになるのです。

5. まとめ

看護師さんは残業の多い職業というイメージは、まだまだ完全に打ち消すことは出来ませんが、少しずつ改善の方向に進んでいることは間違いありません。長時間の残業に疲れた看護師さんでは、より良い看護を実践することは出来ません。患者さんのためにも、看護師さんのためにも、病院や施設のためにも、残業を減らしワークライフバランスを充実させることが大切なのです。

【よりよい看護を提供するために】

看護師さんの仕事は過酷な仕事というイメージもあります。確かに看護師さんの仕事は、患者さんの命と向き合う仕事です。簡単な仕事ではありません。しかし大変な仕事の中でも、自分自身のライフスタイルを大切にして、仕事と仕事以外の時間の両方を調和、充実させている看護師さんもたくさんいます。そんな看護師さんが働きやすい、魅力ある職場環境を作ることが、残業を減らすだけでなく、より良い看護を実践するためにも必要なのです。

しかし、組織だけがどれだけ取り組んでも、現場で働く看護師さんが取り組まなければ環境は変化しません。残業や過酷な労働条件に悩む看護師さんひとりひとりが職場環境の改善や向上を求め、組織全体で取り組んで行くことが大切です。

【原因を突き止め、改善していこう】

残業が多いという事には、必ず何か原因があります。その原因を改善するために、具体的な対策を検討し、実施することが大切です。ただ残業を減らしましょう!という漠然とした取り組みでは、残業は絶対に減りません。残業を減らすために何が必要となるのかを明確にし、対策を検討しなければなりません。そして実施した対策をしっかりと評価し、効果がなければ再度対策を検討し、実施するということも大切です。

魅力ある職場環境を目指して取り組むことは、より良い看護を提供する事に必ずつながります。あなたがもし看護を受けるのであれば、残業で疲れきった看護師さんとワークライフバランスの充実している看護師さん、どちらに看護して欲しいですか?残業を減らすことは、患者さんにとっても大切なことなのです。

この記事を書いた人:永島直俊
看護師として17年臨床勤務。
看護管理、院内感染、医療安全、救命救急、手術室、病棟看護経験あり。
管理職(看護部長の経験あり)として、各種管理、病院経営、職員教育の実戦経験あり。
現在はフリーランスとして医療関連、看護関連の執筆、記事監修などをおこないながら、次なる目標を求めて自己研鑽中。

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