訪問看護師の給料相場。病院と比較すると?

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訪問看護師の給料はどれくらい?

訪問看護は利用者の自宅や入居施設を訪問し、利用者の状態に応じた看護ケアを在宅で提供するサービスです。

利用者さんに対し、1対1の看護が提供できることや、基本的に「日勤のみ」「土日祝日は休み」という勤務体制なので、生活リズムが崩れにくい・仕事とプライベートのメリハリがつけやすいなどのメリットがあります。

しかし、夜勤がない分「病院に比べて給料が低い」というイメージがあるのも事実です。

今回は、訪問看護への転職を考えている方に向けて、訪問看護師の年収や月収の相場についてご紹介します。

訪問看護の給料は安い?給料の相場は地域・年齢によって異なる

訪問看護師の給料は、「病院看護師より低い」というのが定説です。実際に、日本看護協会が以前行った調査・研究によると、訪問看護師の年収は病院看護師に比べて約62万円も低く、月収にすると約4万円、賞与は年間で約13万円も低いという結果が報告されています。

厚生労働省 訪問看護の伸び悩みに関するデータ p.3

しかし、急速に進む高齢化によって医療提供体制が「病院完結型」から「地域完結型」へとシフトする中、在宅療養を支える訪問看護ステーションの需要は高く、事業所数も右肩上がりに増加しています。

今後さらに訪問看護の需要は高まると予想され、診療・介護報酬の上乗せや、訪問看護師の給料アップも期待したいところです。

さて、訪問看護師(常勤)の年収や月収の相場について複数の求人サイトを調べてみると、次のような傾向が見えてきます。

  • 給料の相場は地域差が大きく、関東・関西・東海エリアは給料が高め、中国・九州エリアは低めの傾向がある。全体の相場としては年収350〜400万円代が多い
  • 月収の相場は30万円前後、経験年数の長いベテラン看護師や管理者になると、月収が40〜50万円になることも。
  • 認定看護師・専門看護師などの職能に対する手当や、訪問件数に応じた業績給(歩合制)が基本給に上乗せされる事業所もある。
  • 訪問看護は基本的に夜勤がなく残業も少ないため、病院看護師に比べて年収が低くなるのはある意味当然のことです。

しかし、「夜勤がなく体力的な負担が少ない」「カレンダー通りに休みが取れる」「ほとんど残業がない」などの好条件でありながら、それなりの給料をもらえるのですから、考え方によっては「割のいい仕事」だと言えなくもありません。

実際に、夜勤や残業をして高い給料を得るよりも、無理なく働いてそれなりの給料をもらったほうがいい…と考えて訪問看護に転職する方もいるようです。

収入の多さと私生活の充実、どちらを重視するかにもよりますが、ワークライフバランスを保ちやすい訪問看護の仕事は、「結婚や出産をしても看護の仕事を続けたい」という方には働きやすい職場だと言えるでしょう。

パート勤務の訪問看護師の時給相場は?

次に、パートの時給相場について見てみましょう。

「関東・関西など都市部は高く、そうでないエリアは低め」という傾向は常勤と変わりありません。

関東エリアの時給相場は1,800〜2,000円台で、首都圏になると3,000円という高時給の事業所もあります。

一方で、九州などの地方都市では1,100円前後が相場となっており、都市部に比べてかなりの差があることがわかります。

訪問看護はオンコール(待機当番)や緊急訪問で別途手当あり!

訪問看護師は基本的に夜勤がありません。しかし、24時間体制の事業所で常勤として働く場合、月に数回のオンコール当番が割り当てられます。

オンコール当番とは、利用者や家族からの緊急連絡に備えてする自宅待機する役割です。

専用の携帯電話を持ち、突発的な出来事や状態の変化について相談を受け、状況によっては直接訪問して対応します。

実際は電話口での応対で解決することも多いのですが、そのような場合もオンコール手当は支給されます。

直接訪問して対応した場合は、時間外の緊急訪問として別途手当が支給されます。

これらの手当は事業所によって差があり、オンコール手当は1回あたり1,000〜2,000円代、時間外緊急訪問手当は1回あたり5,000円から多くても10,000円の事業所が多いようです。

事業所によっては実際の実働時間を申告し、時給で換算して支給するところもあります。深夜22時〜翌朝5時までに緊急訪問となった場合は、深夜割増賃金も上乗せされます。

訪問看護は夜勤や残業がほとんどないため、オンコールを積極的に引き受けて収入アップにつなげている方もいます。

訪問看護では事業所の経営状態を意識することも大切

病院で働いていると、管理職でもない限り経営について意識することはほとんどありません。

一方、訪問看護で働いていると、売上につながる利用者数や訪問件数といった経営面を嫌でも意識するようになります。

なぜなら、事業所の売上(サービスの提供によって得た報酬)は、そこで働く職員の収入に影響するからです。

提供する看護サービスが利用者・家族に満足してもらえれば、口コミで「あそこの訪問看護ステーションにはいい看護師さんがいる」「親身になって看護をしてくれる」と評判になり、新規利用者の獲得につながります。

また、主治医やケアマネージャーとのつながりも重要で、「あそこの訪問看護師は信頼できる」と思ってもらえれば、利用者の紹介につながるでしょう。

訪問看護は、自分たちの提供するサービスの良し悪しが事業所の経営に直結し、それが自分たちの収入にも影響するという点で、非常にやりがいのある仕事です。

訪問看護への転職は事業所の経営状態・給与形態をしっかり調べよう

「仕事と生活のメリハリ」「プライベートの充実」を目的に訪問看護に転職する場合でも、事業所の経営状態や給与形態はしっかりと調べておいたほうが良いでしょう。

また、少しでも収入をアップさせたい場合は、1か月あたりのオンコール回数や手当についても確認しておきましょう。仕事のやりがい・給料・私生活のバランスを考えた上で、自分にあった転職先を見つけてください。

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この記事を書いた人
遠藤愛(えんどうあい)
関東の病院で外科・内科・地域包括ケア病棟、地域連携室に勤務。
その後、介護施設、訪問看護に従事。看護学校での外科看護臨時講師の経験あり。

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