看護師1年目の到達目標は?クリニカルラダーと研修スケジュールから設定する

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看護師1年目は職場と仕事を理解していく時期です。職場によって到達すべきクリニカルラダーや研修プログラムなどが設けられ、看護師として必要な知識や技術を修得していきます。今回は1年目の研修内容、一般的なスケジュールと到達目標について解説します。

看護師の入職1年目は仕事を理解するうえで大事な時期

入職1年目は自分が働く施設や部署について全体を把握しつつ、施設の一員として携わる心構えを身に着ける期間になります。特に入職してすぐに行われる研修は、基礎的な知識や技術の習得だけでなく、学生から社会人への意識づけ、社会人としての自覚を持たせる目的もあります。もしかするとキャリアのなかでも一番成長する時期かもしれません。今後看護師として働くうえで基盤となる研修スケジュールを把握し、研修の目標として掲げられるクリニカルラダーについてしっかり理解して1年目を乗り切りましょう。

看護師のクリニカルラダーから入職1年目の目標を理解しよう

看護師のクリニカルラダーとは?

クリニカルラダーとは、看護師の核となる実践能力を5つのレベルにわけた能力開発・評価システムの1つです。多くの施設で採用されており、クリニカルラダーを活用することで、看護師は能力段階を確認しながら自己研さんや人材育成を目指すことが可能になります。なかでも日本看護協会が開発した「クリニカルラダー」が代表的です。このラダーでは主に3点を目的としています。

①看護実践の場や看護師の背景に関わらず、全ての看護師に共通する看護実践能力の指標の開発と支援

②看護実践能力の適切な評価による担保および保証

③患者や利用者等への安全で安心な看護ケアの提供


参考:看護師のクリニカルラダーの開発について(日本看護協会)


参考:看護師のクリニカルラダーの開発について(日本看護協会)

安全安心な看護ケアを提供するために必要な知識やスキルといった、看護師としての能力を評価するための指標のひとつとしてクリニカルラダーを活用することで、看護師個人や施設の看護実践能力を客観的に評価しやすくなります。
また、さまざまな看護現場で働き、教育指導、経験を積んだとしても、ある一定の知識やスキルが身につくように、指標となるようになっています。

この「クリニカルラダー」をベースに内容やレベルの基準はそれぞれの施設ごとに沿ってアレンジしていることが多いです。施設によっては給与体系、人事考課などと連動しているところもあります。

クリニカルラダーが示す入職1年目の到達目標

「クリニカルラダー」では、1年目でどのようなことが到達目標になっているのでしょうか。1年目の到達目標として、レベルⅠが設定されています。レベルⅠでは、「基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て看護を実践する」ことを到達目標としています。



引用:看護師のクリニカルラダーの開発について(日本看護協会)

この到達目標はあくまで目安で施設によって異なります。まずは自分の働く場所にはクリニカルラダーがあるのか、どのようなラダーとなっているのかを確認しましょう。

入職1年目の看護師を支えるさまざまな教育体制

実際の職場ではどのような教育体制があるのでしょうか。代表的な3つの教育体制を紹介します。

プリセプター制度

プリセプターシップとも呼ばれるプリセプター制度は、少し上の先輩(3~5年目看護師)が一対一で指導してくれる制度です。部署によってその立場や役割には違いがあります。技術指導は教育担当者が行い、メンタルフォローをプリセプターが行う場合や、すべての指導やフォローをプリセプターが担う場合などさまざまです。多くの施設ではこのプリセプター制度を取り入れていますが、最近ではプリセプター制度ではない教育体制も注目されてきています。

チーム支援型

チームで新人看護師を教育指導する制度です。部署内でもいくつかのチームにわかれていて、チームリーダーが責任者としてその日のメンバーでフォローしていきます。プリセプターのように特定の先輩がつくわけではありませんが、先輩それぞれの得意分野の知識やスキルが吸収でき、チームでフォローしていく点が特徴です。

PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)

教育体制とは少し違いますが、PNSは比較的新しい看護提供体制のひとつです。これらを採用している職場では2人ペアとなり、受け持ち患者さんを担当することになります。PNSを採用しているところでは、年間パートナーとしてペアを固定しているところもあり、ペアとなった先輩が指導につきます。新人看護師の能力バランスをみて先輩看護師とパートナーとしてペアになるようになっているため、そのまま指導係になることが多いようです。

入職1年目の看護師の年間スケジュール

入職1年目の研修プログラムは施設の規模や施設環境などによって違いがあります。施設の研修プログラムの一例として、病棟看護師の年間スケジュールをご紹介します。

年間カレンダー
4月 5~7月
研修内容
  • 入職式
  • 入職時オリエンテーション
  • 集合研修
  • 病棟配属、プリセプター指導開始
  • 配属
  • グループ研修、コミュニケーション研修、リフレッシュ研修、BLS研修など
到達目標 看護部や部署の役割、構造を知る、社会人としての接遇を身につけることができる 日勤業務の流れがわかり、受け持ち患者の優先順位を考えて一日の業務を組み立てられる。
基本的な看護技術、疾患について自己学習できる
8~11月 12~3月
研修内容
  • 夜勤開始
  • 日勤独り立ち
  • 患者さんを受け持ち業務をする
  • フィジカルアセスメント、安全管理、倫理的な研修
  • フォローアップ研修
到達目標 入退院の流れ、夜勤業務の流れを理解し、
メンバーとしての基本的行動がとれる
受け持ち患者の看護展開ができる。
緊急時・急変時の看護について理解し、指示を受けて行動できる。
1年目で立てた目標が達成できる。

4月/新採用者オリエンテーション

研修内容

2週間ほど集合研修として座学、採血や静脈注射、吸引などのモデルなどを活用し研修します。また、施設概要、バイタルサイン、安全管理、接遇などを学びます。

その後配属先で現場教育(コロナ禍で集合研修がなくなったところも多く、eラーニングなどを活用しているところも)となります。

プリセプターシップを採用している場合、入職1年目のスタッフにはプリセプターや教育担当者がつき、1年間指導にあたります。先輩のプリセプターと数日間シャドーイングを行い、侵襲の少ないケアなどから少しずつ介入し、軽症の患者さんから少しずつ受け持っていきます。

到達目標

「看護部や部署の役割、構造を知る、社会人としての接遇を身につける」ことが目標となります。看護職員として必要な基本姿勢と態度、看護技術、管理的側面に関してはクリニカルラダーに沿った新人看護師研修におけるそれぞれの到達目標があります。

到達目標を数週間~1か月程度で先輩とお互いに確認し、進捗度をすり合わせします。部署によっては経験しにくい項目もあるため、注意が必要です。例えば小児科の場合、採血や静脈注射などは医師が行うところもあるため、看護師としての看護技術項目がクリアできないこともあります。その場合には、他部署へヘルプにいって経験したり、1年目ではなく3年目までのクリア目標として設定したりするなどの工夫がされています。

5~7月/グループ研修、コミュニケーション研修、リフレッシュ研修、BLS研修など

研修内容

研修や覚えることが多く、精神的な負担も積み重なってくる時期です。さまざまな悩みを話し共有することができるグループ研修、リフレッシュ研修として入職1年目同士の親睦会などを計画しているところもあります。BLS研修として急変時対応などのシミュレーション研修なども早い段階から入ってきます。

到達目標

「日勤業務の流れがわかり、受け持ち患者の優先順位を考えて一日の業務を組み立てられる。基本的な看護技術、疾患について自己学習できる」ようになることが目標になります。

8~11月/日勤独り立ち・夜勤開始

研修内容

ある程度受け持ち患者を持って業務ができるようになる、入退院対応もできるようになると、日勤独り立ちとなり、夜勤が開始されます。夜勤開始時期は部署の特徴によって大きく違いがあります。はやいところではGWあたりから入るところもあれば、入職から半年以上~1年というところもあります。焦らずにひとつひとつクリアしていきましょう。

到達目標

「入退院の流れ、夜勤業務の流れを理解し、メンバーとしての基本的行動がとれる」ことが目標となります。

12~3月/フィジカルアセスメント、安全管理、倫理的な研修

研修内容

基本的な看護技術ができるようになってくると、受け持ちも軽症患者さんから重症患者さんを受け持ち、急変対応などの機会も増えてきます。一人でできる業務が増えることでインシデントもこの時期に増えてきやすいとされています。改めて安全管理やフィジカルアセスメントなどの研修で知識やスキルを深めていきます。

また一年間の振り返りもこの時期に行い、未経験のものや苦手なものなどをカバーしていきます。

1年経ったら教育指導が突然途切れてしまうわけではなく、2~3年目までは教育担当者のもとで指導を受けつつ、看護技術のチェックリストなどを活用していくことも多いです。

到達目標

「受け持ち患者の看護展開ができる。緊急時・急変時の看護について理解し、指示を受けて行動できる。1年目で立てた目標が達成できる」ことが目標とされています。

手術室と外来の年間スケジュール

これまで入職1年目、病棟看護師の一般的な年間スケジュールと到達目標について紹介しましたが、部署が特殊であると進み方も大きく違ってきます。一例として手術室と外来の年間スケジュールをご紹介します。

手術室

研修内容

最初の1~3か月は診療科ごとにわけて簡単で、短い手術から先輩と一緒に見学し入っていきます。器械出しの準備、展開から片付けまで、バルン留置、挿管抜管の介助など少しずつできるようになります。冬時期から夜勤業務も少しずつ入り、2年目になる前後で外回り、整形外科や循環器など長時間の手術にも入るようになっていきます。

到達目標

「手術室の役割を知り、基本的な手術の器械だし業務を行うことができる」ことを目標とします。

外来

研修内容

看護師が複数人いるような処置室や診療科固定で診察介助に入っていきます。最初の1~2か月は物品準備、医療機器の理解を深め、休日対応、予約対応などの事務処理も覚えていきます。急変対応などがありそうな内視鏡室や造影CTMRI、救急外来などは基本的な外来の流れを覚えてから入り始めます。処置室や各診療科の診察室は定期的にローテーションでまわって覚えていきます。

到達目標

「外来の役割を知り、基本的な外来業務が指示を受けてできる」ようになることが目標とされています。

入職1年目の研修に向けて必要な心構え

入職1年目のクリニカルラダーや研修プログラムなどをみると、覚えることがたくさんあり、自分にできるのだろうかと思うかもしれません。毎日が精一杯で周りがみえなくなって、自分の成長を感じにくいかもしれません。しかし、小さなことでも毎日何かしら成長しているはずです。まずは職場の研修スケジュールや目標を理解し、自分自身が頑張っていることを認め、焦らずにひとつずつクリアできるようにしていきましょう。

引用・参考

1)看護師のクリニカルラダーの開発について(日本看護協会)
https://www.nurse.or.jp/nursing/education/jissen/kaihatsu/index.html
2)看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)
https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/fukyukeihatsu/ladder.pdf

白石弓夏
この記事を書いた人
白石弓夏
1986年千葉県生まれ。2008年に看護専門学校卒業、看護師免許取得。10年以上病院やクリニック、施設等で勤務。2017年よりライターとして活動。現在は非常勤として整形外科病棟でも勤務中。2020年11月には9人の看護師にインタビューした著書『 Letters~今を生きる「看護」の話を聞こう~(メディカ出版)』を発売。

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