
「転職時の自己PRがうまく書けない」「実際の例文を知りたい」
このような疑問や悩みを抱えている看護師もいるでしょう。>
自己PRは「結論→エピソード→自分を採用して得られるメリット」の型に沿って書くと説得力が生まれます。ただし、志望動機と混同したりアピール要素がまとまっていなかったりすると、採用担当者の印象に残りにくくなってしまうケースも。
そこで本記事では「看護師の自己PR」について解説します。自己PR作成のコツをつかみ、転職を成功させたい方はぜひ参考にしてください。
採用担当者が自己PRを求める理由は、応募者の人柄や仕事への姿勢などを確認するためです。採用側は、応募者のスキルだけではなく「この人と一緒に働けるのか」「方針に合っているのか」などの視点でもチェックしています。能力が優れていても、志望先の方針と大きくズレた考えを持っている人では、業務の円滑な遂行は難しいでしょう。
また、職歴や資格の情報だけでは、応募者の内面はわかりません。この不足を補うために自己PRが求められるのです。したがって、自己PRを作成する際は、内面のアピールに重点を置くことがポイントです。
説得力のある自己PRを作成するポイントは、自己分析と執筆作業を分けることです。本章では、採用担当者の印象に残りやすい自己PRの作成方法を、4つのSTEPで解説します。
まずは、自己PRに使える要素を整理します。学生時代、前職、現職などを振り返り、自分の長所や強み、実務経験を書き出しましょう。具体的には、次のものが挙げられます。
【長所・強みの例】
【実務経験の例】
なかなか長所や強みが思いつかない人は、自己分析が不足している可能性があります。その場合は、これまでの人生を「自分史」としてまとめたり、第三者の意見を求めたりするとよいでしょう。
志望先の方針や求めている人物像などを調べ、自分の強みと照らし合わせてみましょう。そして、志望先が求める人材であることをアピールできる自分の強みを選択します。
たとえば、急性期病院を志望するのであれば、冷静さや決断力が重視されるでしょう。このように、自己PRを作成する際は「自分をどう表現するか」だけでなく「相手にどう受け取られるか」も考えなければなりません。
なお、志望先の情報を収集する方法は、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:転職先の情報収集のやり方
アピール要素が決まったら、裏付けとなるエピソードを選びます。説得力が増すだけでなく、内容に個性が生まれ、採用担当者の印象に残りやすくなるでしょう。たとえば、冷静さをアピールするなら「患者の容態が急変したときに、冷静に指示を出し、適切な処置ができた」などが考えられます。
最後に、STEP3までの内容を文章にまとめます。文章は、冒頭にアピール内容を明示し、次にエピソードを挿入することで主張の説得力が高まります。また最後に、自分を採用することで得られるメリットや志望先の理念などと絡めて執筆すると、好印象につながるでしょう。
文章にまとめる際は、次の2点が重要です。
1点目は簡潔さ。自分をアピールしようとするあまり、内容を詳細に書きすぎるケースもあるでしょう。
その結果、文章の要点がわかりにくくなるおそれがあります。伝えたいことを絞り、短い文章で伝えるよう努めましょう。
2点目は、具体性です。曖昧な表現は使わず、具体的な数字などを記述するのがポイントです。
たとえば「長く勤務した」ではなく「○年間勤務した」などの表現を使ってみましょう。
評価されやすい文章の例を知ることで、完成形のイメージが湧きやすくなります。本章では、看護師転職で使える自己PRの例文を、長所や経験別にご紹介します。
向上心や傾聴力など、自分の内面をアピールする例文です。主観的な内容になりやすいため、具体的な実績や第三者からの評価など、客観性を担保する内容を盛り込むことがポイントです。
私の強みは、高い向上心です。専門学生時代から日誌をつけており、週に1度のペースで「問題や悩みを洗い出し、改善する」といった作業を続けています。
また、休日は書籍や論文を通じて最新の知識を身につけ、日々の業務や看護ケアに反映させています。最近では、がん看護に関する研修を受け、より適切なケアを提供するための知識を習得しました。
最先端の医療技術を取り入れている貴院においても、向上心を武器に精進し、ゆくゆくは後輩を指導、育成する立場としても貢献したく考えております。
私の強みは体力です。中学、高校と陸上部に所属し、今でも休日のランニングを継続していることから、体力に人一倍の自信があります。
実際に、前職で夜勤が続いた時期や、車いすやベッドへの移乗介助などの業務が集中した時期でも、問題なく業務を全うできました。さらに入職してから5年間、体調を崩したことはなく、毎年皆勤賞をいただいております。こうした理由もあって、患者様から「○さんを見ていると毎日元気をもらえる!」と言われることもありました。
今後も体力の維持と体調管理を徹底し「安心感や頼もしさを抱かせる看護師」として精進してまいります。
私の強みは傾聴力です。患者様の不安や悩みを自然に聞き出せるよう、会話の仕方も工夫しています。
傾聴力に関連して印象に残っているのが、2年前に担当した患者様からの一言です。その女性は足を骨折して入院していましたが、毎日食事を残しておりスタッフの間でも心配する声があがっていました。そこで、時間をかけて話を伺うと「病院食が口に合わなかったけれど、あなた達に失礼だから言い出せなかった」と打ち明けてくださいました。そのあと私が医師に相談し、献立を変更してもらったところ、食欲が回復。退院時に「話しやすい相手がいてくれて本当に助かった」とお言葉をいただきました。
貴院においても、患者様の心の声を引き出せる看護師として貢献していきたいと考えております。
私の強みは、思いついたことを実行する行動力です。前職では業務改善委員会を立ち上げ、委員長としてさまざまな改善策を検討・実施しました。具体的には、カルテ書式の見直しや一部の事務処理の電子化などに取り組み、業務の効率化につながったと自負しています。
また、研修会の内容を動画に収め、専用ページでいつでも閲覧できるようにするなど、医療サービスの質の改善にも努めました。こうした取り組みは上司からも評価していただいております。
貴院でも行動力を武器に、よりよい医療への貢献に全力をつくす所存です。
私の強みは、短い時間で信頼関係を構築できるコミュニケーション力です。現在勤めているクリニックでは受付も担当しており、多くの患者様とお話しする機会があります。会話できる時間は数十秒ほどですが、事務的な内容以外の話もするように心がけています。
その結果、今では多くの患者様から名前を覚えていただき、病気に関する不安や疑問を相談されることも少なくありません。
貴院の病棟でもコミュニケーション力を駆使し、患者様からの信頼につなげていきたいと考えています。
私の強みは協調性です。前職でチームリーダーを務めた際には、チーム全体の意見を取り入れ、よりよい方法を模索しながら業務を進めることを常に心がけました。
ときには、メンバー全員から1対1で意見を聞き、それぞれが納得して働ける環境の構築に努めたこともありました。こうした取り組みの結果、チームは常に良好な雰囲気を保っており、連携作業の円滑化にも寄与したと考えています。
貴院においても協調性を大切にし、一緒に働きやすいと思われるような看護師を目指します。
私の強みは、責任感の強さです。与えられた職務はもちろん、自分で決めたタスクにも手を抜きません。
たとえば、患者様からどのような質問をされても答えられるよう、治療方法に関する疑問点はすべて解消することを徹底しています。そのうえで、知識がない方でもスムーズに理解できるよう、可能な限りわかりやすい言葉に変換し、不安なく治療に臨んでいただける環境づくりを心がけています。この取り組みを欠かすことなく継続した結果、今ではチームリーダーとして業務に励んでおります。
今後も責任感を強くもち、患者様の満足度を高められるよう貢献していきたいと考えています。
看護師の経験やスキルを題材とする場合には、ほかの応募者との差別化が大切です。たとえば、療養型病院の応募には、療養型病院での勤務経験をアピールする内容が集中しやすいと考えられます。題材がほかの応募者と被って埋もれないよう、印象に残りやすいエピソードを選びましょう。
循環器内科病院で5年間勤務し、患者様に寄り添った生活指導を心がけました。循環器疾患で入院する患者様のなかには、高血圧症や服薬管理不足など生活環境に問題がある方もいます。
そこで、再入院率が高い患者様に対しては、1日のスケジュールを聞きとり、退院後も無理なく継続できるよう、運動のタイミングや献立案などの具体的なプランを小冊子で渡す取り組みを始めました。その結果、再入院率が10%低下し、退院後も通院されていた患者様から「○さんのおかげで挫折することなく続けられている」と言葉をかけてもらったこともあります。
貴院でもこの経験を活かし、患者様一人ひとりの生活に目を向けた看護を提供したいと考えております。
療養型病院での勤務では、看護業務に加えて介護業務に多く携わりました。そのため、ADLや食事における介助などの経験にも長けております。
その際に心がけていたのが、患者様の不安をできる限り取り除くことです。排せつ介助や喀痰吸引などが必要な患者様のなかには、看護師に対して申し訳なさを抱いている方も少なくありません。そのため、日ごろから声がけをして患者様との信頼関係の構築に努めたり、話し方や表情を工夫したりして、患者様を安心させられるよう心がけました。
ほかの看護師への指導も担当した経験がございますので、貴院でもお力になれると考えております。
クリニックで7年間勤務し、業務を効率的に遂行するスキルが身につきました。
私が勤めていたクリニックには看護師は2人しかおらず、備品管理、清掃、受付、電話対応など、さまざまな業務を担当していました。入職当時は膨大な業務に追われていましたが、どうすれば効率化できるかを常に考えた結果、約半年で平均残業時間を30分短縮した経験があります。さらに、患者様の対応に充てられる時間が増えたことで、コミュニケーションの機会が生まれ、患者様との信頼関係の構築にもつながりました。
貴院においても、前職で培ったノウハウを活かし、より高度な医療環境の提供に寄与したいと考えています。
急性期病院での勤務を通じ、周囲の変化をいち早く察知する観察力を養いました。バイタルサインの些細な変化を見逃さず、医師に報告したことで、重篤化を未然に防げたこともあります。また、状態の変化が激しい患者様と接する際は、同僚の看護師のメンタルにも気を配り、必要に応じて休息をとるよう声がけすることなども心がけました。
「早急な対応」や「チームワーク」は貴院も重視されていると伺っています。前職での経験を活かし、貴院の医療サービス向上に貢献していきます。
回復期リハビリテーションに勤めていた際は、患者様のメンタルケアに細心の注意を払いました。
リハビリが長期化すると、自暴自棄になったり気分の落ち込みが見られたりする患者様も少なくありません。しかし、リハビリが遅れると回復に時間がかかり、さらなる自信の消失につながるおそれがあります。このような事態を防ぐため、成功体験の積み重ねを通じて自信を取り戻してもらったり、リハビリ後の楽しみを話題にしたりして、患者様の意欲を引き出すことに注力しました。
その結果、ある患者様に「○さんがいなければ、間違いなく諦めていた」と言われたことは、今でも心に残っています。
自己PRの質を上げるには、今までに作成した文章に問題がないかを確認することも大切です。本章で紹介する6つの失敗例を参考に、自分の書いた自己PRを見直してみましょう。
志望動機と自己PRを混同し、同じ内容を書いてしまっているケースもあるかもしれません。同じ情報を繰り返すと履歴書の内容が薄くなり、アピールしたい点を伝えきれない可能性があります。
志望動機と自己PRは求められる情報が異なるため、それぞれに適した内容を記載することが大切です。以下の比較表を参考にしながら両者の違いを把握し、要点を押さえてアピールポイントをまとめてみましょう。

自己PRの例文として紹介されている文章は、多くの人に当てはまる内容が書かれているケースが一般的です。
そのため、例文を転用すると個性が出ず、採用担当者の心に残りにくい自己PRになってしまうかもしれません。
また、同じ例文をコピー&ペースト(コピペ)している応募者がほかにもいる可能性もあります。本記事でご紹介した例文を参考に、強みや経験を自分の言葉で表現するようにしましょう。
経験の豊富さを伝えようとした結果、職歴を羅列するだけの文章になってしまうケースもあります。自己PRでは、性格や仕事に取り組む姿勢などを伝えることに注力することが大切です。なぜなら、職歴の紹介は職歴欄でカバーできるためです。
「何をしたか」ではなく「どのようにしたか」「何を学んだか」「どう役立てられるか」を中心に記載しましょう。
「○○はできませんが」など、ネガティブな内容はできる限り避けましょう。「この人と働きたい」と思わせるためには、ポジティブな情報に絞ることが大切です。
また、失敗から得た内容を自己PRに落としこむ手法も、看護師の選考ではネガティブな印象を与えるおそれがあります。看護師は命に関わる職業であり、失敗は基本的に許されないためです。
「謙虚さが好印象につながるのでは」と思うかもしれませんが、そうした要素は主に面接で確認されます。「採用担当者もネガティブな情報を求めていない」と割りきり、自分をアピールすることに全力を注ぎましょう。
ただし、嘘を書いたり誇張したりすることは厳禁です。ネガティブな要素に触れざるを得ない場合には、次のような言い換えができないかを検討してみましょう。
自己PR欄に空白が目立つと、熱意が低い印象につながります。かといって、過剰に大きな文字で書いたり不必要な言葉を挿入したりすることはNGです。適切な文字の大きさと必要最低限の言葉で、最低8割は埋めることを心がけましょう。
なお職務経歴書のように、記入欄がなく文字数に制約がない場合は、アピール要素1つにつき150~300文字を目安にするとよいです。
アピール要素を複数記載すると、情報の羅列になりがちで印象に残りにくくなります。一方でアピール要素を1つや2つ程度に絞れば、内容が明瞭になり、応募者の人物像も把握しやすくなります。自己PRは「広く浅く」ではなく「狭く深く」を意識しましょう。
自己PRは面接でも定番の質問です。しかし、書く場合と話す場合とでは注意点が異なります。面接で失敗すると、書類内容の説得力が欠けるおそれがあるため、書類と面接のセットで対策が必要です。
そこで本章では、看護師が面接で自己PRを伝える際の5つのポイントを解説します。
なお、面接のマナーや流れなどは、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:【看護師】面接のマナーや流れ、よくある質問について
自己PRの内容は、職務経歴書などの書類と一致させましょう。書類と面接で異なると、面接官に不信感を与えてしまう可能性があるためです。
そのため面接に臨む際は、書類でアピールした内容を頭に入れておくことが不可欠です。志望先が複数あり、自己PRの内容が異なる場合には、混同しないよう注意しましょう。
書類と同様に「結論→エピソード→採用して得られるメリット」の順で話しましょう。要点が明確になり、多少言葉に詰まったとしても、面接官にアピールしたい内容に説得力が生まれやすくなります。
また、緊張しているとエピソードの説明に必死になり、アピールしたい内容を伝え損ねるおそれがあります。結論を冒頭で示すことは、大事なポイントの伝え忘れを回避するうえでも有効です。
自己PRを述べたあとは、内容に関連した質問をされるケースも多いでしょう。たとえば、自己PRが「冷静さが強みで、患者の急変にも落ち着いて対応できる」なら「具体的に注意するべき点は」「冷静さを維持するために心がけていることは」などの質問が想定されます。
質問にスムーズに答えられれば、エピソードの説得力を高められます。「自分が面接官ならどこを掘りさげるか」という意識で自己PR文を見直し、問答をシミュレーションすることが重要です。
同じ内容でも、明るく話すのとボソボソと話すのとでは、印象が異なります。大きな声で堂々と話すことで、自信が伝わり、説得力につながります。
行動力や決断力など、アクティブな要素でアピールする場合はとくに重要です。
回答時間が長いと、話の要点が伝わりにくくなるおそれがあります。とくに集団面接では、1人当たりの持ち時間がある程度決まっているケースもあります。
看護師は、患者様やその家族と話す機会が多いため、面接の場でもコミュニケーション能力や気遣いの有無などがチェックされます。話の要点は、適切にまとめることを心がけましょう。
自己PRは、応募者の人柄や仕事への姿勢などを確認するための項目です。「この人と一緒に働けるか」「方針に合っているか」などの視点でもチェックされるため、性格や考え方につながる内容が求められます。
自己PR作成のポイントは、自己分析と執筆作業を分けることです。アピール要素とエピソードを決めたうえで「結論→エピソード→採用して得られるメリット」に沿って簡潔に訴えましょう。
また面接においては、今回ご紹介した5点のポイントを意識することで、採用担当者の心に響く自己PRを作成しやすくなります。書類と面接をそれぞれ対策し、志望先への転職を成功させましょう。
自己PRの書き方をはじめ、看護師の転職に関してお悩みの方は、ぜひ「ナース専科 転職」へご相談ください。
ナース専科 転職は「ナース専科」の会社が運営する、看護師さん専門の転職支援サービスです。
ナース専科の歴史は、1980年に創刊した就職情報誌、看護専門誌から始まりました。現在まで約40年、就職・転職支援・看護知識の発信など3つのサービスを展開しています。 今までも、これからも、看護師の皆さんのどんな悩みにも応える存在でありたい。 ナース専科はそう考えています。
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