看護師免許の申請方法は?更新ルールから紛失時の再発行の手続きを解説

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看護師国家試験に合格したら、看護師免許証の申請手続きが必要です。手続きに必要な書類や申請方法を間違えると、入職時に支障が出ることもあります。今回は看護師免許証の申請手続きの方法や、更新・再発行のルールについて解説しますので、事前に準備をしましょう。

看護師免許証とは?

看護師免許証とは、看護師国家試験に合格した人が、所定の手続きによって取得できる免許証です。大学や短期大学などで、3年以上の専門教育を受けると、看護師国家試験の受験資格が与えられます。日本で看護師として職務に従事するためには、必ず看護師免許証が必要です。

看護師免許証は、B4サイズ(364mm×257mm)で、一般的な賞状などと同じ大きさです。

看護師免許証の取得方法を解説

看護師免許証を取得するためには、必要書類を準備したうえで、住所地を管轄している保健所へ届け出る必要があります。

看護師免許証申請の手続きに期限はある?

看護師免許証の申請には、期限がありません。しかし、看護師国家試験の合格後、看護師としてすぐに働く予定のある人は、速やかに申請手続きをしましょう1)

看護師国家試験に合格してから、1年以上経って免許申請する場合には「申立書」の提出が必要です。申立書には、「これまでに看護師免許証の登録をしていないこと」と、「看護師の業務に従事して報酬を得ていないこと」を明示しなければなりません2)

看護師免許証申請に必要なもの

看護師免許の申請には、以下の書類が必要です1)

①看護師免許申請書
厚生労働省指定の書式を使用します。

②発行から1ヶ月以内の診断書
厚生労働省指定の書式を使用します。

③住民票の写し、戸籍謄本、戸籍抄本のいずれか1点

上記3点のなかで、本籍が記載されているものを準備します。コピーは使用できないので、6ヶ月以内に発行された原本を使用しましょう。個人番号(マイナンバー)の記載は不要です。

免許証に記載する氏名に、旧姓も載せたい場合や、国家試験の出願後に本籍や氏名が変わった場合には、変更した経過がわかるよう、戸籍謄本または戸籍抄本の提出が必要です。

④9,000円分の収入印紙
登録免許税を納付するために必要なもので、郵便局で購入できます。看護師免許申請書の上部にある「収入印紙欄」に貼付しましょう。

⑤登録済証明書用はがき
登録済証明書とは、看護師免許証の登録申請が済んでいることを証明するものです。
免許証が発行されるまでの間に、就職先などで必要になることがあるため確認しておきましょう。

発行を希望する場合には、保健所にある所定の登録済証明書用はがきで申請します。官製はがきの使用が認められている自治体もありますので、住所地を管轄している役所のホームページなどで確認してから準備すると良いでしょう。

はがきの表面には、確実に受け取れる住所と受取人の氏名を記載して、63円切手を貼付します。速達を希望する場合には、赤字で「速達」と記載して、290円切手を貼付しましょう。はがき裏面には、氏名のみ記載します。
記載した登録済証明書用はがきは、診断書の裏面にクリップで留めておきましょう。

自治体によっては、上記以外にも別途必要なものがあります。厚生労働省のホームページと合わせて、住所地を管轄している役所や保健所のホームページなども確認しておきましょう。

看護師免許証申請書類の提出先

申請に必要な書類が準備できたら、免許申請書、診断書、住民票の写し(または戸籍謄本か戸籍抄本)の順に上から揃えて、免許申請書の右上にある「ホチキス位置」で留めます。

提出先は、住んでいる場所を管轄している保健所(一部の県については県庁)です。

看護師免許証発行までにかかる時間

看護師免許証の発行までには、申請から2〜3ヶ月程度かかります。

看護師免許証が取得できないことはある?

看護師国家試験に合格しても、以下のような場合には看護師免許証を取得できません。

  1. 罰金以上の刑を課された場合
  2. 病気や障害などによって、看護師の業務に従事することが難しいと判断された場合
  3. 麻薬や大麻、あへんなどの中毒者である場合

万が一、看護師免許を取得しないまま看護業務を行なっていた場合には、行政処分の対象となることがあります1)

看護師免許証の更新は必要?

看護師免許証には、原則として更新の必要はありません。また、看護師として職務に従事している間は「業務従事者届」を提出する必要があります。

業務従事者届とは?

看護師として業務に従事している人は、2年に1度「業務従事者届」を提出する義務があります3)。業務従事者届とは、看護師免許証を取得した人が、どこで看護業務にあたっているかを把握するためのものです。届出違反があった場合には、50万円以下の罰金が課せられます4)

勤務している施設が代行して提出する場合もありますが、そうでない場合には就業先のある地域を管轄している保健所へ、自分で届け出る必要があります。

認定看護師・専門看護師の免許は更新が必要

同じ看護師免許証でも、認定看護師や専門看護師の免許証には更新が必要なため注意しましょう。

認定看護師

認定看護師とは、特定の看護分野において、より高度な看護実践を行なったり、看護職に対する指導や相談業務などを行なったりする看護師です。
認定看護師としての活動を続けていくためには、日本看護協会が定める規定を満たした上で、5年ごとに免許の更新をする必要があります。

専門看護師

専門看護師とは、患者や家族だけではなく、所属している施設や地域全体の看護の質を高めるため、専門看護分野の専門性を発揮しながら活動や研究を行なう看護師です。
認定看護師と同様に、日本看護協会が定める規定を満たした上で、5年ごとに専門看護師の免許を更新する必要があります。

看護師免許証を紛失したらどうする?再発行の手続きと必要な書類

看護師免許証を紛失した場合や、破損した場合には再発行の手続きが必要になります。

看護師として就職してからも、免許証が必要になる場面は度々ありますので、速やかに再発行の手続きをしましょう

看護師免許証再発行に必要なものは?

①免許証再交付申請書
厚生労働省指定の書式を使用します。

②住民票の写し、戸籍謄本、戸籍抄本のいずれか1点
本籍が記載されているもので、発行から6ヶ月以内の原本を使用します。個人番号(マイナンバー)の記載は不要です。

③免許証の原本
免許証を紛失した場合には不要です。

④3,100円分の収入印紙
再発行の手数料納付のために必要です。免許証再交付申請書の上部にある「収入印紙欄」に貼付して提出します。
自治体によって、本人確認書類などが追加で必要になる場合があります。再発行の申請をする際には、自治体や保健所のホームページも確認しておきましょう。

看護師免許証再発行の申請先は?

看護師として勤務している人は、就業地を管轄する保健所(一部の県では県庁)で再発行の申請をしましょう。看護師を離職している人などは、住所地を管轄している保健所(一部の県では県庁)に申請します。

再発行の申請書類は、免許証再交付申請書、住民票の写し(または戸籍謄本か戸籍抄本)、免許証の原本(免許証を紛失した場合は不要)の順に上から揃えて、免許証再交付申請書の右上にある「ホチキス位置」で留めて提出します。

看護師免許証に内容変更や届け出が必要なときはどうする?

看護師免許証の内容に変更があった場合には、その旨を届け出る必要があります1)

氏名と本籍を変更したとき

看護師免許証を取得した後に、氏名や本籍地の都道府県が変更になった場合は、看護師免許証を書き換える手続きが必要です。手続きは、氏名や本籍が変わってから30日以内に行いましょう。

内容変更の手続きには、以下のものが必要です。

①籍(名簿)訂正・免許証書換え交付申請書
厚生労働省指定の書式を使用します。氏名や本籍の変更から30日以上経ってから手続きをする場合には、別途「遅延理由書」の記載が必要です。

②変更した事項がわかる戸籍謄本または戸籍抄本
氏名や本籍などを変更したことを証明する書類が必要です。免許証の氏名に旧姓を併記したい場合には、氏名の変更経過がわかるものを準備しましょう。
発行から6ヶ月以内の原本を使用します。

③看護師免許証の原本
保健所で原本照合した看護師免許証の写しを添付して、「籍(名簿)訂正・免許証書換え交付申請書」の〝免許証書換え交付〝の文字を二重線で訂正すれば、看護師免許証の原本は提出不要です。

④1,000円分の収入印紙
登録免許税を納付するために必要です。籍(名簿)訂正・免許証書換え交付申請書の上部にある「収入印紙欄」に貼付しましょう。
書類は上から、籍(名簿)訂正・免許証書換え交付申請書、戸籍謄本または戸籍抄本、免許証の原本の順に揃えて、籍(名簿)訂正・免許証書換え交付申請書の右上にある「ホチキス位置」で留めます。
看護師として就業している場合には就業地を管轄する保健所へ、その他の場合には住所地を管轄する保健所へ申請します。

看護師免許証申請後すぐに働く予定のないとき

看護師免許証を取得しても、すぐに看護師として就業する予定がない場合には、その旨を都道府県のナースセンターへ届け出る必要があります。

ナースセンターとは、看護師への職業紹介や復職支援の研修などを行なっている団体です。日本看護協会が運営しており、すべての都道府県に設置されています。
ナースセンターへ届出をする際には、ナースセンターが運営するインターネットサイト「看護師等の届出サイトとどけるん」を使用します6)。氏名や住所、就業状況のほか、看護師籍の登録番号と登録年月日の入力も必要なため、申請の際には看護師免許証を準備しておきましょう。

離職するとき

看護師を離職するときにも、都道府県のナースセンターへ届け出る必要があります。
これから看護師として入職する人にとって、仕事を辞めるときのことはまだイメージしにくいかもしれません。しかし、毎年新卒採用者の約7〜9%は採用された年に離職しています。「離職するときにはナースセンターに届け出る必要がある」ということは知っておくと良いでしょう。

離職した際にも「看護師等の届出サイトとどけるん」から届け出ることができますが、勤めていた施設が離職者に代わって届出を代行している場合もあります。

看護師免許証申請のルールを理解してスムーズな入職準備を

看護師国家試験に合格したことがわかったら、すぐに看護師免許証の申請手続きをしましょう。申請に必要な書類には、書式や発行日などに細かな指定があります。事前に確認して、間違いのないように準備しましょう。

また、3〜4月は役所や保健所が混み合うため、申請手続きに時間がかかることが予想されます。入職日までに余裕を持って、看護師免許証の申請手続きを済ませておきましょう。

参考

1)健康・医療 資格申請案内(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/shikakushinsei.html

2)医療従事者免許証についてのよくあるご質問(目黒区)
https://www.city.meguro.tokyo.jp/shitsumon/hoken_eisei/iyaku/jumen.html#cmsD2878

3)免許保持者の届出義務について(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/05/s0527-14a.html

4)看護師等免許保持者の届出制度(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/AA10K-0000095486.html

5)保健師免許証、助産師免許証、看護師免許証の再交付申請手続について(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000740133.pdf

6)看護師等の届出サイト とどけるん(日本看護協会)
https://todokerun.nurse-center.net/todokerun/

この記事を書いた人
よしわら かおり
順天堂大学医療看護学部を卒業して看護師資格を取得。同年に都内大学病院の集中治療室に勤務。その後、看護大学や高齢者施設などでの勤務を経て、現在は医療ライターとして健康・医療・介護などに関する記事を執筆している。

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