救急指定病院とは?一次救急・二次救急・三次救急病院(医療機関)の違いは?処置や看護、医療体制は?

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一次救急・二次救急・三次救急の特徴は?救急医療体制のしくみを解説!

求人情報を見ていると、「救急指定病院」「三次救急」などの表記を目にすることがあります。「救急医療を提供する病院なんだな」ということはわかっても、それが具体的にどのような病院を指すのかは曖昧になっていないでしょうか?この機会に、救急指定病院とは何か、一次救急・二次救急・三次救急にはどのような違いがあるのか整理しておきましょう。

救急指定病院と救急医療体制の仕組み

通常の診療時間外に患者を受け入れ、応急処置や治療を行う医療機関のことを「救急病院」と呼びます。では、救急病院とそれ以外の病院の違いはどのようなことでしょうか?

救急病院は、消防法に基づいて都道府県知事が告示・指定する医療機関であり、「救急指定病院」「救急告示病院」とも呼ばれています。救急病院の告示・指定を受けるには都道府県知事への届出・許可が必要であり、その要件は次のようになっています。

一 救急医療について相当の知識及び経験を有する医師が常時診療に従事していること。
二 エツクス線装置、心電計、輸血及び輸液のための設備その他救急医療を行うために必要な施設及び設備を有すること。
三 救急隊による傷病者の搬送に容易な場所に所在し、かつ、傷病者の搬入に適した構造設備を有すること。
四 救急医療を要する傷病者のための専用病床又は当該傷病者のために優先的に使用される病床を有すること。

*1引用)救急病院等を定める省令(電子政府の総合窓口 e-Gov)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=339M50000100008

つまり、「人員・設備ともに救急医療体制が整っていますよ」と都道府県知事のお墨付きをもらっているのが「救急病院」ということですね。

また、各都道府県の救急医療体制は、医療計画に基づいて一次救急・二次救急・三次救急の3段階に医療機関を分類しています。このような区分けすることで、重症度や緊急性に応じた効率的な医療提供が可能になるのです。

次に、一次救急・二次救急・三次救急の医療機関にはどのような役割があるのか具体的に見ていきましょう。

【一次救急】軽症患者の外来診療を行う

自力で来院できる軽症患者や、入院の必要性がなく外来で対応できる患者の診療を外来で行います。地域の在宅当番医や、市が運営する休日・夜間救急診療所が一次救急に相当します。

【二次救急】入院・手術が必要な重症患者に対応

地域の救急患者の初期診療と、重症患者への入院治療・手術などを行うのが二次救急です。脳卒中・急性心筋梗塞などの救急患者に対しては、自施設で可能な範囲で高度専門医療を提供し、必要に応じて三次救急医療機関に紹介する役割を担っています。

二次救急の医療機関では、24時間365日体制で救急患者を受け入れる必要があるため、その地域の複数の救急病院と輪番制で当番を担当しています。

【三次救急】もっともハイレベルな救命救急医療を提供

二次救急では対応できない重篤患者や特殊疾患患者を受け入れ、より高度な救命救急医療を行うのが三次救急です。三次救急医療機関である救命救急センターや高度救命救急センターは、地域の救急患者を最終的に受け入れる、いわば「最後の砦」です。そのため、生命の危機にある重篤患者をいつでも受け入れられるように、救急医療を専門とする医師・看護師などの医療従事者が24時間体制で働いています。

救命救急センターの中でも、さらに高度な医療提供を行うのが高度救命救急センターで、ここでは広範囲熱傷・急性中毒などの特殊疾患患者にも対応しています。また、ドクターヘリによる救急患者の受け入れが行われている医療機関もあります。

現在、救命救急センターは全国に289ヶ所、そのうち高度救命救急センターは41ヶ所で、ドクターヘリを運行している医療機関は52ヶ所となっています(いずれも平成30年の時点で)。*2

*2参考)救急医療体制の現状と課題について(厚生労働省)p.9
https://www.mhlw.go.jp/content/10802000/000328610.pdf

「三次救急で働きたい!」と思ったら

医療ドラマの影響もあり、「救命救急センターやフライトナースに憧れる」という方は多いのではないでしょうか?三次救急はその他の医療機関に比べると施設数が少なく、転職するには狭き門と言えます。さらに、より高度で専門的な知識と看護スキルはもちろん、医師と対等に渡り合える気力・体力などが求められるでしょう。

救命救急センターで働くために必要な資格はとくにありませんが、あらゆる疾患の重症患者に対応するため、豊富な臨床経験や認定資格(救急看護・集中ケア認定看護師など)を持っていると転職の際に有利かもしれません。

転職先の救急医療体制は?自分の適性に合った職場を選ぼう

「救命やICUでバリバリはたらきたい!」「患者さんとゆっくり関われる看護がしたい」など、理想の働き方や目指す看護師像は人それぞれです。「落ち着いた環境でじっくり看護がしたい」という方が三次救急で働いた場合、理想と現実のギャップに苦しむことになるかもしれません。自身の性格や適性に合った職場を選ぶことは、長く働き続けるための秘訣と言えるでしょう。

実際の現場は就職してみないとわからない部分も多いのですが、求人情報を見る際に「救急医療体制はどのようになっている?」とチェックしたり、可能であれば救急患者の年間受け入れ件数を確認したりすると、その医療機関のキャパシティや多忙度を推測することができます。また、一次・二次・三次救急それぞれに役割があり、支え合ってこその救急医療体制です。「三次救急だから優れている」ということではありませんので、救急医療体制はあくまでも参考程度に、自身の適性に合った職場を探すようにしましょう。

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