滋賀県は、今後、急速な高齢化が見込まれることから、医療や介護の需要増加に対応するため、地域医療構想をもとに、病床機能の分化・連携や地域包括ケアシステムの充実、医療・介護従事者の確保・養成に向けた取り組みを推進しています。
滋賀県では医療機関が担っている医療機能(急性期、回復期、慢性期など)の情報を把握、分析し、必要な医療機能がバランスよく提供される体制が構築されるよう努めています。公立病院では「新公立病院改革ガイドライン」を参考に策定する「新公立病院改革プラン」において役割を明確化し、経営の効率化、再編・ネットワーク化などに取り組んでいます。
例えば、滋賀県立総合病院(滋賀県立旧成人病センター)では病理標本を電子化し、ICT(情報通信技術)を活用して遠隔診断を行う遠隔病理診断ネットワーク事業を推進し、県内の病理診断の充実・強化および質の向上に取り組んでいます。
また、滋賀県の在宅医療の需要は2013年の9,278人/日に対して、2025年は医療機関所在地ベースの場合、13,995人/日(1.51倍)と見込まれています。そのため、新たな在宅医療ニーズに対応できる人材の育成とスキルアップの仕組みの構築も推進しています。
診療所で働く看護師については、地域において患者の在宅療養を医療的視点からサポートしています。介護施設で働く看護師については、利用者の病状観察や急変時の対応を行う等、関係団体とともに実態の把握や必要な研修などを行いながら、更なるスキルアップを図っています。その他にも、効率的かつ質の高い医療提供体制の実現を目指し、さまざまな施策や取り組みを行っています。
出典:滋賀県保健医療計画(地域医療構想を含む)
滋賀県の看護師に対する支援・取り組み
滋賀県の人口10万人あたりの就業看護職員数は、全国平均を上回る状況で推移しています。
しかし、今後は看護師の主な就業場所が病院や診療所だけでなく訪問看護ステーション・介護施設へと多様化が進んでいくことが予測されます。また、医療の高度化・専門化による現状を踏まえて、滋賀県では看護師の安定的な確保と定着、質の向上に関するさまざまな施策を展開しています。
看護学生の県内・県外の新規就職者を確保するため、卒業後に免除対象施設に就業を考えている方に貸与する、「看護職員修学資金等貸与事業」のほか、滋賀県の医療機関等の魅力を伝える広報事業を行っています。また、看護師の確保・定着および離職防止対策の推進として、病院内保育所運営費の助成、ワークライフバランスの推進、相談体制の整備、などによる看護師の勤務環境の改善を促進しています。
次に、医療の高度化・専門化に対応するため、看護師の資質向上に取り組んでいます。
具体的には、新人看護職員研修ガイドラインに沿った新人研修の支援や教育担当者の育成を行っています。また、基礎教育と連携した新人教育を行えるよう、意見交換会等を開催し支援しています。さらに、医療施設から在宅医療へ移行する利用者が増加するといった多様化する医療ニーズに対応できるよう、指定研修機関である「滋賀医科大学」と連携し、特定行為研修制度の周知や情報提供、受講支援を実施しています。このように、在宅医療に関連する専門看護師・認定看護師を育成し、看護師全体の資質向上も図っています。
滋賀県は医療需要が変化する中で、看護師が質の高い看護を提供しながら、生き生きと自分らしく働き続けることができるよう、県全体でさまざまな支援・取り組みを行っているエリアです。
出典:令和4年度滋賀県看護職員修学資金制度