佐賀県では、高齢化の進展・人口減少に伴い、医療・介護のニーズの変化や増大が見込まれています。また、在宅医療の推進、地域包括ケアシステムの構築にむけて、入院患者の状態や医療提供体制のあり方だけでなく、高齢者の「住まい」を取り巻く環境も変わっていくことを前提とする必要があります。そのため、「人口増加対応型医療提供体制から人口減少対応型医療提供体制への転換」、「病院完結型医療提供体制から地域完結型医療・介護連携提供体制への転換」の2つのビジョンを策定し、さまざまなアプローチを行っています。
佐賀県の医療現場では、医師・看護師等のスタッフの長時間労働や、新規職員採用が困難といった課題を抱えています。そこで勤務環境改善を支援するため、県では2015年10月から医療勤務環境改善支援センターを佐賀県医師会に設置し、研修会や調査・普及活動を行うほか、社会保険労務士と医療経営アドバイザー等と連携して医療機関からの労務管理・経営に対する相談に対応しています。
そのほかにも、看護職員の復職支援を担うナースセンターにおいて、無料の職業紹介事業や再就業支援研修、離職時の届出制度の周知を実施しています。
また、これからの保健・医療・福祉を支えるために、佐賀県診療情報地域連携システム(ピカピカリンク)や、さがんパスネットの利用を促進し、医療機関の情報共有や連携体制の強化を進めるなどさまざまな施策・取り組みも行っています。
出典:第7次佐賀県保健医療計画
佐賀県の看護師に対する支援・取り組み
佐賀県内で就業している看護職員は年々増加していますが、就業場所別にみると医療機関だけでなく、介護施設や訪問看護ステーションでの需要増加が顕著であり、看護職員の職域が広がっています。職域の拡大による看護師需要に対し、養成所等を卒業する新規看護職員だけでは対応が難しくなっている状況です。
このため、看護学生等が利用可能な奨学金・貸付金制度や潜在看護職員の再就業促進、60歳以上の看護師(プチプラナース)の活用等を推進しています。
佐賀県では、看護師等修学資金貸与条例を設けています。保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士または歯科衛生士を養成する学校・養成所の在学者で、将来県内において看護職員等の業務に従事しようとする方に対し、修学資金を貸与することで、県内における看護職員等の充実を推進しています。また、中学生や高校生に対する職場体験を行うなど、看護職の魅力を普及することにも力をいれています。
また、質の高い医療・看護体制を提供するために、働き方改革に向けた取り組みや看護職員の離職防止を促進しています。看護師の復職を進めるために、ナースセンターの周知やマッチング機能を高める必要もあり、さまざまな課題に対する取り組みも行っています。
さらに、地域医療構想の推進に伴う病床の機能転換への対応、特定行為研修を受講しやすい体制づくり、タスクシフティングへの対応等についても検討・施策を進めているようです。
出典:看護師等学生が利用できる奨学金・貸付金制度 佐賀県医師会