熊本県では、高齢化の進展・人口減少に伴い、急激な医療・介護のニーズの変化や増大が見込まれています。そこで、病床機能の分化及び連携、在宅医療等の充実、医療・介護従事者の養成・確保等の方向性に沿って、地域包括ケアシステムの構築を推進しています。
地域における医療提供体制を維持し、地域包括ケアシステムの構築を加速するため、医療機関の役割分担の促進や、入院機能、かかりつけ医機能、在宅医療を担う医療機関や介護施設等の連携を強化しています。
例えば、ICT(情報通信技術)を活用し、県内の医療機関をはじめ、薬局、訪問看護ステーション、介護サービス施設・事業所など関係機関をネットワークでつなぐ「くまもとメディカルネットワーク」を平成27年12月から運用しています。参加する患者や利用者の診療・調剤・介護に必要な情報を共有し、より質の高い医療や介護を受けることができます。
また、これからの保健・医療・福祉を支える看護職員を育成するため、地域における関係機関で連携し、看護職員の継続教育や現任教育体制を推進しています。具体的には、専門性の高い看護師確保に向けた、専門看護師、認定看護師の育成支援や、特定行為研修の受講体制の整備です。さらに、将来の看護職員の需給ギャップ解消を目的とした離職時の届出制度の普及やナースセンターでの就労相談体制の強化、潜在看護職員や定年退職後の看護職員の再就業支援などを行っています。
このように熊本県では、地域包括ケアシステムの構築や専門性の高い看護職員を育成するためにさまざまな施策を行っています。
出典: 第7次熊本県保健医療計画
2022年12月現在
熊本県の看護師に対する支援・取り組み
熊本県の就業看護職員数は増加傾向にありますが、病院病床100床当たりの看護職員数では地域格差がみられています。医療施設に従事する看護師の約5割が熊本市に集中しており、熊本市以外の地域では人材の確保が難しいといった、医療の地域偏在が問題となっています。
また、平成28年に起きた熊本地震の影響による離職や、子育て・介護をしながら働き続けられる勤務環境の整備等が課題となっている熊本県ではさまざまな看護師支援を行っています。
看護学生の県内就労の増加を図るため、地域における医療やそれに伴う看護の魅力の発信を積極的に行うとともに、看護師等修学資金貸与制度等を通じ、看護職員の確保が厳しい地域や中小規模の病院等への就労を促進しています。また、就労後の離職防止と定着を図るため、病院等における新人看護職員研修体制を整備しています。
さらに、看護職員のワークライフバランスの推進と勤務環境の改善にも取り組んでいます。熊本県看護協会や熊本労働局等の関係機関と連携し、多様な就労ニーズに応じた働き方を推進しています。それとともに、院内保育所の運営等の支援や医療勤務環境改善支援センター等の活動を通じた勤務環境改善計画の策定など、子育てや介護をしながらも働きやすい環境の整備に取り組んでいます。
このように、熊本県では看護職員が質の高い看護を提供しながら、活き活きと自分らしく働き続けることができるよう、さまざまな支援・取り組みを行っています。
出典:熊本県看護師等修学資金貸与について