看護師【スペシャリスト】【ジェネラリスト】とは。どちらを目指すか迷ったらどうする?

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看護師として働いていると、どのようなキャリアを選択すべきか考える機会があると思います。そのようなときによく議論されるのが、“スペシャリストとジェネラリストのどちらがよいのか”ということではないでしょうか。自分がどちらに適しているのか、悩む人も多く見受けられます。この記事では、看護師のスペシャリストとジェネラリストについて、定義や選択するためのヒントなどを解説します。

看護師のスペシャリストとは

日本看護協会によると、看護師のスペシャリストとは「一般的に、ある学問分野や知識体系に精通している看護職をいう。特定の専門あるいは看護分野で卓越した実践能力を有し、継続的に研鑽を積み重ね、その職務を果たし、その影響が患者個人に留まらず、他の看護職や医療従事者にも及ぶ存在であり、期待される役割の中で特定分野における専門性を発揮し、成果を出している者である」と定義されています。また、「本会では、資格認定を行っている立場から、専門看護師と認定看護師をスペシャリストと位置付けている」としています。

このことから、スペシャリストの資格といえば専門看護師と認定看護師ですが、特定の分野で卓越した実践能力による成果を出しているのであれば、資格の有無に関わらずスペシャリストだといえることがわかります。また、“患者さんだけではなく他の医療従事者にも大きな影響を与える存在”という部分もポイントになるでしょう。

実際に、専門看護師の役割は実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究の6つであり、卓越した実践で成果を出すのみならず、それを汎用可能な形にして教育に活かすことが求められます。ちなみに認定看護師の役割は実践・指導・相談の3つであり、大幅に増員して現場に占める割合を増やすべきという観点から、ジェネラリストとして位置付ける方がよいのではないかという見解もあります。

看護師のジェネラリストとは

日本看護協会によると、看護師のジェネラリストとは「特定の専門あるいは看護分野にかかわらず、どのような対象者に対しても経験と継続教育によって習得した多くの暗黙知に基づき、その場に応じた知識・技術・能力を発揮できる者をいう」と定義されています。つまり、どこでも誰に対しても、臨機応変に適切な看護実践ができる看護師がジェネラリストだといえるでしょう。

約120万人いる看護師のうち、専門看護師の人数は2479人(2020年4月時点)なので、ほとんどの看護師はすでにジェネラリストとして活動していることになります。看護師のキャリアを考えたとき、スペシャリストの方がわかりやすく、関心が向きやすい環境であるため、ジェネラリストはその対概念として否定的に捉えられる場合もあります。

しかし、スペシャリストが役割を果たすためには、その能力を適切に活用するジェネラリストはなくてはならない存在です。また、在宅医療の必要性が増している現在では、幅広い患者さんの状況に対応できるジェネラリストの需要は、ますます高まっています。

スペシャリストとジェネラリストのどちらを目指すべきか迷ったら

“看護師としてスペシャリストとジェネラリストのどちらを目指すべきか迷っている”という人も多いでしょう。この問いに対する答えは、「特に好き・得意な分野があってそれを追求したいならスペシャリスト、幅広く学びたい・経験したいのであれジェネラリスト」ではないでしょうか。

スペシャリストとして活動するには?必要な資格

スペシャリストは、その分野について継続的に研鑽を重ねる必要があります。また、スペシャリストを名乗るということは、特定の分野で確実に成果を出すことを期待されるということであり、プレッシャーもかかります。そのような負担に勝るほど“その分野が好き”という気持ちを持っていることが、スペシャリストになるために必要な適性です。

スペシャリストには専門領域で継続して勤務していることが条件となります。例えば専門看護師では、資格取得の条件として実務経験が5年以上(うち3年間以上は専門分野)であること・看護系大学院修士課程修了者であることが挙げられています。また、資格取得後も5年ごとに更新審査を受ける必要があります。出産や病気などの場合は更新審査を延長できますが、基本的には資格取得後も絶えず専門分野での活動を継続することになります。

ジェネラリストとして活動するには?必要な資格

一方、ジェネラリストには、様々な分野に関する知識や経験、どのような環境にも適応して適切な看護ができる柔軟性が求められます。幅広い患者特性の経験が必要のため、様々な診療科や施設での勤務・病院以外の場で必要とされる看護など、多様な経験を積んでスキルアップができるとよいでしょう。

スペシャリストもジェネラリストも同じく看護のエキスパート

看護師のスペシャリストとジェネラリストは、特定の専門分野をもつかどうかという違いはありますが、どちらも卓越した看護の専門家です。また、看護師として働く場には、患者さんに直接ケアをする施設以外にも多くの選択肢があります。そのため、看護師としてのキャリアはスペシャリストかジェネラリストかの2択ではなく、多様に広がっています。大切なのは、看護師としてどのように生きていきたいのかを自分に問い掛け、それを実現するための努力を惜しまないことなのではないでしょうか。

この記事を書いた人:美沢藍
看護専門学校卒業後、総合病院で10年間勤務勤務した診療科は心臓血管外科・泌尿器科・整形外科・婦人科・放射線科など。
看護学修士課程への入学を機に退職し、在学中は複数の施設でのアルバイトを経験修士課程修了後、総合病院看護師・看護大学教員として勤務、出産を機に退職。

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