マニュアルがないから難しい! 看護師として患者にどう対応すべき?

多くの医療機関にはマニュアルというものがあります。そのマニュアルに従えば、新人看護師でも比較的簡単に看護ケアができる! というので、新人のうちはマニュアルがあると、ホッとしたりします。

看護のレベルを一定の水準まで上げるためには、マニュアルを利用することはとても有効な方法だと考えられています。しかし、患者さんとのコミュニケーションの取りかたについてまで、マニュアルを作成するわけにはいきません。

だからこそ、患者さんとの対応に悩む看護師がたくさん存在するのです。ここでは、新人看護師が陥りやすい患者さんとのコミュニケーションの悩みについて、暴言話が長くて困るセクハラなどよくある切り口から私なりに編み出した対処法をご紹介します。

1. 看護師に暴言を吐く患者さんへの対応

「暴言を吐く」と言っても、その内容はさまざまです。

  • 予後不良の病で入院をし、不安が強く、些細な出来事に喚き散らすケース
  • 病気の症状や薬の副作用に対して暴言を吐くケース
  • 飲酒がひどく救急で来院し、「殺すぞ」「ぶん殴ってやろうか」など犯罪にあたるような暴言を吐くケース
  • 時間通りに対応してもらえずイライラして暴言を吐くケース

患者の置かれている状況や、働いている職場によっていろいろなケースが存在します。まずは、どうして暴言を吐いているのか、その理由について冷静に見極める必要があると考えられます。

不安が強い患者さんへの対応

まず、患者が何に対して不安を抱えているのか、また、なぜ混乱をしているのかを明確にしなければいけません。

がんなどの予後不良の病気が告知されたケースでは、注意を払う必要があります。説明が不十分で不安を掻き立てていることもありますし、自分で先走って不安になっていることもあります。

具体的に何に不安になっているのかに耳を傾けると、落ち着きを取り戻すことが多く、対策を立てることも可能です。まずは、患者さんの気持ちを理解しようという姿勢が大切になります。

病気の症状や薬の副作用による場合

認知症など脳に障害を起こすと、自分をコントロールできなくなり、暴言や暴力などの行動に出ることがあります。病気が原因ということはわかっていますが、ケアを行う側としては困惑することも少なくありません。

特に暴力がある患者の場合には自分の身もきちんと守るように注意することも大切です。その上で、できるだけ患者のペースを崩さないように気を配る必要があります。脳の障害によって状況を理解できないので、こちらの都合や理屈は通用しないと考えるのが無難です。

自宅での様子がどのようであったか、どのような状況で機嫌が悪くなるかなど、家族の人にはできる限り協力してもらい、情報を共有しましょう。また、認知症の患者には話しかける言葉の内容よりも、声のトーンや顔の印象、手振り身振りといった、視覚や聴覚の情報が大切です。ゆっくりとした優しい言葉かけと笑顔を忘れないようにします。

機嫌を損ねてしまった場合は、無理にケアを行なおうとはしないで、少し時間をあけてから接すると上手くいくことがあります。薬の影響がないかどうかなどにも注意をしておくべきでしょう。

明らかに患者側に落ち度があるケース

救急外来などに勤務をしていると、飲酒やケンカ、薬などで興奮をして病院に訪れることもあります。患者本人ではなく、付き添いの家族などが暴言を吐くケースも考えられます。明らかに患者側が悪いという状況である際は、毅然とした態度で接することが大切です。

度を過ぎている場合には、病院で対応ができないこともあり、警察を呼ぶケースもあるでしょう。病院によって、警察を呼ぶ際のマニュアルを作成しているところもあるでしょうから、しっかり確認をしておく必要があるでしょう。

時間通りに事が運ばずにイライラしているケース

病院は予定通りに事が運ばないことが少なくありません。予約外による診察になると、待ち時間が長くなるケースも多々あります。そうすると、患者や家族、付き添いの人がイライラして暴言を吐くこともあります。暴言ではなくても、クレームをつけられることがあります。

患者側も、仕方がないことは分かっているのでしょうが、何時間も待たされると、いい気分であるはずがありません。このような時に、クレームを受けるのが事務職員や看護師です。上手に対応しなければ、正式な形で病院にクレームを出されて、最初にクレームの処理をした者が非難を受ける可能性も考えられます。

まずは、イライラしている原因を知り、患者の立場に立って考えてみることが大切です。長い時間待たされたのであれば、文句の一つも言いたくなります。病院側の代表として謝罪を行い、理由を説明すると、トラブルになりにくいでしょう。

病院側が、急患があったのだから仕方がない、という態度では火に油を注ぐだけです。待ち時間が長くなると予測できる際には、余裕があれば事前に説明ができると良いでしょう。

看護師として働いていると、待ち時間に限らず、クレームを受ける機会があるかもしれません。まずは、患者がなぜ怒っているかをきちんと聞く姿勢が大切です。その上で、患者が不快な思いをしたことに対してお詫びを行い、事実関係を確認してから、改めて報告をするという姿勢でいるとよいでしょう。

クレームの内容によっては、上司にきちんと報告をし、上司を交えて事実確認を行った方が良いこともあります。どうするべきか、迷うときには自己判断をしないで、先輩看護師に相談しましょう。

2. 看護師に対して話が長い患者さんへの対応

話の長い患者さんへの対応についても、よくある悩みの一つです。特定の患者の部屋に行くとなかなか話を切り上げられず、他の患者さんが気になりつつも、部屋を出るタイミングがつかめないことはよくあります。

その間に、他の患者からのナースコールを先輩看護師が対処して、嫌味を言われることもあるかもしれません。患者の長話も、どうして話が長くなるのか判断をする必要がありますし、長い話の内容が重要かどうかも対応が分かれる判断材料の一つになってきます。

患者の話を聞くことの大切さ

まずは、患者とのコミュニケーションはいろいろな情報を得るためにはとても大切であることを、看護師として忘れてはいけません。患者とのコミュニケーションの中に治療や看護ケアを行う上で重要な情報が隠れていることがあるからです。

患者とのコミュニケーションで大事なことは、よく話を聞くということです。患者の話に耳を傾けるということで、決して話を遮らないように注意をしなければいけません。言いたい事が言えないとスッキリせず、聴いてもらったという気持ちにもなれないものです。

聴いているというサインとして、相づちを入れたり、うなずいたりするのが効果的だといわれています。患者さんが話す内容を簡単にリピートするのも良いでしょう。

特に重要な話でない時、どうやって話を切り上げる?

患者の話を傾聴することは大事ですが、中にはどう考えても重要ではない話をダラダラと続けられて困ることもあります。

多くの患者さんは看護師が忙しいということを理解していて、気を遣ってくれます。話が長い人も看護師が忙しいということは理解できているでしょうから、切りのいいところで、「他の患者さんの様子を見に行かなければいけないので…」と切り上げても理解をしてもらえるはずです。

ただし、ただ切り上げるのではなく「続きは次に教えてください」と、続きを聞きたいという姿勢を示すと印象が良くなるでしょう。できれば、自分もメモを残すなどして、次回に本当に話の続きを尋ねると喜ばれるものです。

話の切りの良いところで、患者さんの話を簡単にまとめ、相手を褒めて終了するのも方法です。例えば、自分の仕事の話を長々と話しているのであれば、「…なのですね。さすがは〇〇さん、仕事ができるのですね。」などといって、切り上げても良いでしょう。

なかなか上手くいかないという人は、時間になった時に看護師仲間に呼びに来てもらうか、事前にタイマーをかけておくとよいでしょう。申し訳ないという態度を示せば、不快に思う患者は意外に少ないものですよ。

話は大事だけど、他の患者さんに呼ばれた時

逆に、大事な話をしている最中に、別の患者に呼ばれることがあります。そのような時には事情を説明して、一旦部屋から離れなければなりません。

ただし、当たり前のように患者さんの部屋から退出するのではなく、申し訳ない…という気持ちをしっかり表に出しましょう。余裕があれば、「〇時ごろには時間ができると思うので、またお話を聴かせてもらってもよろしいですか?」と、続きの話をしたい意思表示をしておくと、理解をしてもらえるでしょう。

3. 患者さんからのセクハラへの対応

セクハラとはセクシャルハラスメントの略語で、性的な嫌がらせのことをいいます。少々のことなら許してもらえるといった甘い考えや、飲酒によって判断が鈍ることから、患者やその家族から被害を受ける看護師がいます。どのように対処すればよいかみていきましょう。

セクハラ行為を受けやすい看護師

セクハラをする人は誰にでも行うわけではありません。自分のしていることは、良くないことだと理解しているからです。セクハラの被害を受けやすい人とは次のような人です。

  • セクハラをしても声をあげなさそう
  • 抵抗しないで、我慢しそう

電車で痴漢によく合うという人は要注意です。電車で痴漢行為を行っても声をあげないだろう、抵抗しないだろうと思う人をターゲットにしているからです。

セクハラ行為はNG

まず、ここをきちんと理解しておきます。どのような理由があってもセクハラを行うことは許されません。相手が何をいおうと、セクハラを受けた自分ではなく、「セクハラ行為を行う相手が悪い」ということを頭に入れておきます。

被害にあった時の対応

一般企業では上司にセクハラを受ける女性社員がいたり、最近では被害者は必ずしも女性ではないこともあります。看護師の世界でも医師や他の医療従事者から被害を受けるケースがないわけではありません。しかし、やはり多いのは患者やその家族からのセクハラ行為のようです。

セクハラの加害者が上司である場合、仕事上の問題もありますし、相談する相手なども含めて慎重に対応する必要があります。しかし、看護師として、患者やその家族から被害を受けた場合には、すぐに声をあげた方が良いでしょう。

一人で対処をしようとしないで、できるだけ、上司を巻き込んで、自分は「決して泣き寝入りはしない!」という態度で接する必要があります。夜勤などで責任者がいない場合には、同僚や先輩看護師にきちんと報告します。度が過ぎていると感じた場合には、当直の看護師長に報告してもいいでしょう。

とにかく、相手はあなたが我慢をして声をあげないと考えてターゲットにしているのですから、我慢はしないし、報告もします! という態度を示しておくことです。一度、我慢するところを見せてしまうと、行為がエスカレートすることもあります。どのような些細なセクハラも毅然とした態度で接しましょう。

4. どうしても患者さんとの対応が怖い

一度経験した嫌なことがきっかけで、患者と接するのが怖くなる看護師もいるかもしれません。びっくりするような勢いで怒鳴られたり、犯罪まがいのセクハラにあったりすると、無理もありません。

どうしても、次が怖くて職場に戻る勇気がないという時には、異動願いを提出する方向で上司と相談することをおすすめします。上司が必ずしも協力的な人だとは限りませんから、そのような場合には、転職を考えるのも一つです。

例えば、手術室ならば患者さんとの対応は病棟に比べて少なくなります。手術直前に暴れたり怒鳴ったりすることは、あまり考えにくいですよね。セクハラに悩む場合には、患者のほとんどが女性である美容クリニックがおすすめです。男性職員も少ないので、そこで落ち着くまで働くのも一つの方法です。

5. きちんと話を聞き、説明をしよう

多くの患者は看護師の忙しさを理解してくれていますし、忙しいときには説明を行うと待ってくれるものです。病気や事情があって、精神的に不安定な状況にある患者には、状況に応じて上手に対応することが大切です。

そのためには、看護師も相手の状況を理解しようとする態度が必要になります。中には、明らかに患者側に落ち度のある暴言やセクハラなども残念ながら存在します。そのような言動に対しては、我慢をするのではなく、毅然とした態度を見せて、できるだけ動揺しないで、冷静に対応していくことが大切です。

どうしても、辛い時には看護師を辞めるのではなく、職場を変えることをおすすめします。きっと自分に合った職場が見つかるはずです。

この記事を書いた人:マーシー
日本でナースとして働き、長年の夢であったオーストラリア移住を夫婦で果たす。
オーストラリアで3人の子供を出産し、今はライターとして、健康記事や美容記事を中心に執筆活動中。

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