看護師不足に悩む病院が多い中で…
看護師だけど注射や採血、点滴が苦手で怖くて手が震える。注射ができなくてもいい職場はある?
公開日:2021/10/21
最終更新日:2021/10/22
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看護師の仕事の中で注射する場合はどのようなシーンでしょうか?また、注射は苦手、できれば注射をすることを避けたいという看護師向けに、注射をする機会が少ない職場や全く注射をする機会がない職場についても紹介していきます!
目次
目次
1. 注射が苦手な看護師が多い理由は?
注射が苦手な看護師は意外と多いようですが、まずは実際に注射の何が苦手なのかをきちんと把握しましょう。
- 針や血液の恐怖症
- 血管がある感覚がわからない
- 採血、注射の手技がスムーズにできない
- ブランクがあって自信がない
以上のように苦手な理由はさまざまだと思いますが、針や血液の恐怖症以外の理由の場合には、コツさえつかめばすぐに上達する可能性があります。
最初から諦めずに上手な人の注射手技を見て勉強することなども必要になります。
針や血液の恐怖症の場合は容易に対応できないため、専門家に相談してみましょう。
しかし、それでも注射が苦手で、なるべくなら注射をしたくないと思っている人に向けて注意点をご紹介していきます。
2. 看護師が注射をする場面とは?
看護師が行う注射の種類として「採血」「静脈注射、点滴挿入」「皮下・皮内・筋肉注射」などがありますが、主にどのような場面で行うことが多いのでしょうか?
病棟採血の場合、入院時・手術後・退院前・経過観察中での段階で行います。時間帯としては、朝方(朝食前)に行うのが基本なので、夜勤看護師が行うことが多いでしょう。中には負荷試験や状態変化により日中に行うこともあります。
また、点滴挿入や注射類は昼夜関係なく医師の指示があれば行います。途中で点滴が漏れてしまった時に、臨時で刺し換えをすることもあります。
これらのことから、注射のスキルレベルと頻度をランク付けしましたので、参考にしてみてください。
※ランク詳細
<スキルレベル>
超ベテランレベル 血管が分かりづらい人(高齢者や小児など)が7~8割以上 |
|
ベテランレベル 血管が分かりづらい人は半数程度 |
|
中堅レベル 血管が分かりづらい人は半数以下 |
|
若手レベル 血管が分かりやすい人(健康な成人男性など)が半数以上 |
|
新人・ブランク明けレベル 血管が分かりやすい人が7~8割以上 |
<注射頻度>
毎日数十人以上 | |
毎日十人以下程度 | |
毎日ではないが週に何回かは行う | |
数か月に何回かは行う | |
まったく行わない |
3. 看護師の注射のスキルが問われる職場
一般病棟ではある程度の注射スキルが求められることがわかりましたが、病棟の場合には他にもスタッフがいるため、失敗してもフォローしてもらうころができます。
しかし、注射スキルが高くないと働けないところも存在します。注射が苦手と感じている人は、特に注意して職場を選ぶようにしましょう。
1.外来の検査室、採血室、点滴室
スキルレベル | ~ |
---|---|
注射頻度 |
病院によっては外来診察室の他に検査室、採血室、点滴室を設けているところがあります。
検査室・採血室では臨床検査技師が採血を行っている場合もありますが、外来勤務の場合には検査室や採血室、点滴室に配属される可能性もあります。
検査室や採血室では採血がメインで、点滴室では、一時的に点滴処置が必要な人、通院の抗がん剤治療者などへの点滴がメインとなります。
そのため、どこも高い注射スキルが求められることとなります。
2.健診
スキルレベル | ~ (健診の年齢層などによって差がある) |
---|---|
注射頻度 |
健康診断を行うクリニックや単発派遣で健診専門施設の巡回健診で働くなど、働き方はさまざまあります。
主に健診では採血、心電図、血圧などと担当が分かれていることが多いでしょう。
そのため、採血担当につく人は高い採血スキルと、健診経験が豊富な人でないと募集を断られる可能性があります。
中にはスピードの目安として案件内容に「1時間に20~30人採血可能な方」などと記載されているため、採血が得意で、かつスピードも速い人でないと厳しい状況です。
3.一般内科系クリニック
スキルレベル | ~ (健診の年齢層などによって差がある) |
---|---|
注射頻度 | ~ |
内科系クリニックは特に採血の検査や注射が多い職場です。そして、クリニックの規模によっては看護師1人体制というところも少なくないため、注射スキルはある程度、必要とされます。
「臨床経験〇年以上」「採血・注射が得意な人」と募集を出しているところもあります。
看護師一人体制での場合、もし失敗しても、他に代わってくれる人がいないので、最悪な場合は医師に頼むことになってしまいます。
クリニックの医師は診察で忙しいので、注射が苦手だと感じている人は看護師の多いクリニックか、なるべく内科系クリニックは避けるべきでしょう。
4.透析
スキルレベル | ~ |
---|---|
注射頻度 | ~ |
診療科でも病院内の透析室や透析クリニックは少し特殊で、透析前の処置として血管穿刺をしなければなりません。
シャントを作っている人はそこまで難しくはないですが、中には緊急で行うような人もいるため、失敗はできません。
臨床工学技士が穿刺する場合もありますが、看護師が行うことも多いでしょう。
また、1日に決められた人数と時間で透析を行っているため、穿刺の段階で失敗して時間を取られてしまうと、患者にとっても負担が増えてしまいます。
注射スキルがある程度必要とされる現場です。
5.訪問看護(※医療・介護度が低いところを除く)
スキルレベル | ~ (訪問先の患者層による) |
---|---|
注射頻度 | ~ |
訪問看護の場合には、一見医療処置が多いと感じないかもしれません。
しかし、数としては多くなくても、在宅で治療している患者は高齢者が多く、血管が見えにくい、血管が細いなどの注射をしにくい血管であることがほとんどです。
もし失敗しても、まわりに代わってくれる人がいないので、こちらもある程度注射のスキルが必要とされます。
6.美容系
スキルレベル | ~ |
---|---|
注射頻度 | ~ |
美容皮膚科・美容整形などのクリニックや病院の場合ですが、訪れる人は患者さんではなく、お客様です。
治療ではなく自由診療で行う美容系処置が多いため、外見や処置の手技などに厳しいお客様が多いようです。
中でも、採血や注射などで内出血しないよう、かなり神経を使う場面があります。
そのため、ある程度の注射スキルがないと厳しい状況といえます。
4. 機会が少なめの職場
注射の頻度は頻繁ではない職場についてご紹介します。
注射を難しいとは思わないけど、あまり好きではない人や、注射行為自体に少し苦手意識がある人に向いています。
1.部門、診療科別
こちらでは診療科別に見ていきたいと思います。
大学病院等の研修医が点滴を行う病院
スキルレベル | ~ |
---|---|
注射頻度 | ~ |
大学病院などでは点滴挿入は看護師ではなく、研修医が行うと決められているところもあります。
看護師が点滴挿入できるようになるためには、院内の試験を受けて合格しなければいけないなどの資格が必要になります。
このような病院の場合には、採血のスキルは必要ですが、注射はほとんど行わないようです。
小児科
スキルレベル | ~ |
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注射頻度 | ~ |
小児の場合には、血管が細く分かりづらいことなどから、注射などの医療行為は医師が行うところも多くみられます。
中には、経験10数年のベテラン看護師でも、点滴挿入はほとんどやったことがないという人もいます。
しかし、中学生以上の場合や採血は看護師が行うところなど、病院によって決まりはさまざまです。
回復期リハビリ病院
スキルレベル | ~ |
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注射頻度 | ~ |
基本的には治療の必要がなくなった患者さんが転院してくるため、点滴をしている人はほとんどいません。
しかし、定期的に(月1~2回など)採血することや、状態が悪化した際に一時的に点滴治療することもあるので、注射スキルは全く必要ないわけではありません。
精神科
スキルレベル | ~ |
---|---|
注射頻度 | ~ |
精神科でも内科混合のところや超急性期病棟は別ですが、それ以外の開放病棟などでは基本的に点滴をしている患者さんはほとんどいません。
こちらも定期的に(月1~2回など)内服薬の効果などをチェックするために採血をすることはあります。
ICUなどの集中治療室
スキルレベル | ~ |
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注射頻度 | ~ |
ICUなどの集中治療室では採血や点滴ばかりのイメージがあるかもしれませんが、思ったより採血や注射の機会はないようです。
病院によって違いはありますが、ICUの場合には薬剤投与量が多く複雑であるため、一般的な点滴よりもCVやAラインなどが挿入されていることが多いでしょう。
そのため、看護師が対応をすることは少ないようです。抗生剤のみ末梢ラインから挿入することはありますが、数としてはそれほど多くないようです。
手術室
スキルレベル | ~ |
---|---|
注射頻度 | ~ |
こちらも病院によって違いはありますが、病棟や救外で点滴などを入れてくることが多いため、手術室で点滴挿入する場面はほとんどなく、途中で漏れてしまった場合などに限ります。
しかし、失敗しても代わりの看護師が何人もいるわけではないので、ある程度のスキルは必要です。
また、採血も看護師が行うことは少ないです。
検査室などが別にある外来診察室
スキルレベル | ~ |
---|---|
注射頻度 | ~ |
検査室や採血室、処置室が別にあり、診察室に配属されている看護師の場合には注射類を行わなくて済む場合もあります。
医師から採血や注射の指示があっても、指示書を持って検査室などへ誘導するまでが多いからです。
しかし、外来がローテーションシフトの場合、検査室や採血室、処置室に配属される場合もあるので注意が必要です。
2.老人福祉施設(特養など医療・介護度が高い場合)
スキルレベル | ~ |
---|---|
注射頻度 | ~ |
特養などの医療・介護度が高い場合には点滴やCVポートなどを挿入しているケースなどもありますが、医療・介護度が低いところでは、ほとんど注射スキルは必要ありません。老人福祉施設も基本的には治療は行わないからです。
定期的な健康診断を行うときには、連携するクリニックや健診施設の看護師が採血などを行うことが多いでしょう。
主に老人福祉施設で行う注射は、糖尿病のインスリン注射や骨粗しょう症予防などの皮下注射のため、そこまでスキルは必要ありません。
3.医療行為が少ない訪問看護
スキルレベル | ~ |
---|---|
注射頻度 | ~ |
一般の訪問看護の場合には医師の指示で採血や点滴などを行いますが、訪問看護ステーションによっては小児や精神科、リハビリに特化したところ、医療・介護度が低いところもあります。
中でも精神科やリハビリに特化したところは医療行為が少ないため、訪問看護でも注射スキルはそれほど重要視されていないです。
4.看護学校、大学
スキルレベル | ~ |
---|---|
注射頻度 | ~ |
専門学校や大学によって違いはありますが、授業内容で採血や点滴の実習を行うことがあります。その際には先生がお手本として行うため、あまりにも苦手で下手だと学生たちに示しがつきません。
また、学生の健康診断では、学生同士で採血することもあり、そのフォローに入ることもあります。
注射をする頻度は多くありませんが、学生の手本となるため、ある程度の注射スキルは必要でしょう。
5. 注射をする機会はない職場
ここでは注射をする機会はない職場を紹介します。
スキルレベル | |
---|---|
注射頻度 |
1.保健室・医療相談室
企業や学校の保健室や医療相談室では、健康管理がメインとなるのでほとんど医療行為は行いません。あるとしても、アナフィラキシーショックによる緊急時のエピペン使用くらいでしょう。
基本的には看護師のみで医療行為は行いません。
何か必要なことがあれば、病院を受診することを勧めるためです。
定期的に行われる健康診断も連携するクリニックや健診施設の看護師が行うため、診察のフォローにまわることが多いでしょう。
2.保育園
学校や企業の保健室と同様ですが、園児の健康管理がメインとなるので、医療行為は行いません。
保育園によっては、緊急時のエピペンやインスリン注射の使用の可能性があるかもしれませんが、かなり稀なケースです。
3.老人福祉施設、デイサービス
医療・介護度が低い老人福祉施設では、看護師が昼間しかいないところも多いでしょう。
デイサービスも同様にまったく注射を行わないところもあり、医療行為がない利用者のみの施設なども数多く存在します。
4.ツアーナースやイベントナース
単発派遣の仕事で行うことが多い添乗や待機の仕事では、注射などの医療行為はありません。
ツアーナースもイベントナースも基本的には健康管理がメインなので、保健室同様に緊急時のエピペン使用くらいです。
5.訪問入浴
単発派遣などの仕事でもありますが、在宅治療している方や介護が必要な方の自宅で入浴サービスを行うものです。
メインは入浴介助であるため、注射などの医療行為を行うことはありません。
6.企業
医療品・薬品、看護系などの企業で看護師として働く場合には、医療行為を行うことはないでしょう。
企業の看護師といってもさまざまなタイプがあります。
健康相談、コールセンター
健康相談やコールセンターでは、電話やメール、直接訪問型などがありますが、メインは相談業務です。
そのため、医療行為は行いません。
医療メーカーのフィールドナース
フィールドナースは医療メーカーなどの営業やMRなどと同伴して営業をサポートするのが仕事です。
そのため、医療行為は行いません。
治験コーディネーター
治験関連の仕事であっても、基本的にはコーディネーターとしての役割であるため、実際に注射を行うのは連携しているクリニックや病院の看護師になります。
そのため、企業看護師は注射を行うことはありません。
出版社、編集者・ライター
取材をして記事を書いたり、本の制作に携わったりすることがメインの仕事です。
そのため、医療行為は行いません。
6. 注射をしなくてもいい、看護師の活躍場所は意外と多い
これまでご紹介したように、注射をする機会が少ないところや、全くないところも多いことがわかりました。
「看護師=注射をする仕事」というイメージがあるほど、看護師にとって注射スキルは重要ではありますが、それは病院などの一部の職場に限ったことです。
注射が苦手だからといって、看護師の道を諦めるのではなく、違った視点で考えてみることも必要になってきます。
注射をしなくても、看護師として活躍できる場所はたくさんあるので、自分に合った働き方を探してみましょう。
スキルレベル | 注射頻度 | |
---|---|---|
外来の検査室、採血室、点滴室、健診 | ~ | |
一般内科系クリニック、透析 | ~ | ~ |
訪問看護(※医療・介護度が低いところを除く) | ~ | ~ |
美容系 | ~ | ~ |
部門、診療科別 | ||
├ 手術室 | ~ | ~ |
├ 大学病院等の研修医が点滴を行う病院、精神科、ICUなどの集中治療室 | ~ | ~ |
└ 小児科、回復期リハビリ病院、検査室などが別にある外来診察室 | ~ | ~ |
老人福祉施設(特養など医療・介護度が高い場合) | ~ | ~ |
医療行為が少ない訪問看護 | ~ | ~ |
看護学校、大学 | ~ | ~ |
保健室・医療相談室、保育園、老人福祉施設、デイサービス、ツアーナースやイベントナース、訪問入浴、企業(健康相談、コールセンター、医療メーカーのフィールドナース、医療メーカーのフィールドナース、治験コーディネーター、出版社、編集者・ライター) |
- この記事を書いた人:ゆみかおる
-
看護師10年目。小児科、整形外科病棟、保育園などでの経験あり。
現在はフリーランスとしてクリニック、健診、ツアーナース、医療系ライターとして活動中。
家族構成は父母に妹一人。
ナース転職求人を知りたい方
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