【看護師のリアル転職体験談 4】療養型病院から、介護施設への転職

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1.終末期看護が辛くなり、転職を決意

それまで私が勤めていたのは、療養型の病院でした。そこでは看取りも多く行っており、多いときには1週間に3名もの方をお見送りしたこともあります。仕事とはいえ、短期間に多くの方の死へ立ち会うという現実に、私はだんだん精神的なつらさを感じるようになりました。

「この仕事を続けるのは辛い」そう感じた私は、もう50歳を過ぎていましたが、最後のつもりで転職を決意しました。

2.前の病院を退職してから、新しい施設に転職するまでの流れ

これまで療養型病院に10年以上勤務しており、年齢はすでに50代であることを考えると、とてもじゃないですが再び急性期病院で働けるとは思えませんでした。急性期は無理、でも療養型はきつい。そう考えた時、私に残された職場は介護施設しかありませんでした。

率直に言えば、消去法によって、私は介護施設へ転職することに決めたのです。

STEP1:職場のお局へ、転職する方法を相談

療養型病院には一人だけ、私が尊敬していた人がいました。その人はすでに65歳、つまり定年間近でしたが、バリバリ夜勤もこなすパワフルな方。その方へ「看取りはもう辛いので、いっそのこと施設へ転職しようと思っているんです」と相談しました。

するとその方は「辛いと少しでも思ってしまったのなら、辞めた方がいいわよ。精神的なつらさは、体力のつらさの比じゃないからね。私だって別に平気というわけじゃないけど、それでも看取りに対して一通りのやりがいがを感じるからこそ、ここで長く働いているわけだし」と言ってくださったのです。

その一声に私は「転職するということは間違っていない」という勇気をいただきました。

STEP2:求人サイトへ登録!でも…

尊敬する先輩から勇気をもらった私は、その日のうちに早速看護師の求人サイトへ登録しました。翌日電話にて詳しい条件等を確認したのですが、そのときの担当者の対応がとても気になりました。これまでの転職とは違い、担当者が乗り気ではないというか、積極的に質問をしてこなかったのです。

さりげなく私の感じた内容を伝えると、担当者は「正直、ご年齢とご経験があるため、すぐに就職先は見つけられないと思うんです…。でも、頑張ります」と、とても後ろ向きな回答。この人で大丈夫かな?とも思いましたが、これ以上療養型病院へ勤務するわけにもいかないので、この人にお願いするしかありません。不安を感じつつ、転職活動は続きました。

STEP3:あっさり退職日は決まるのに、転職先探しは難航

前職は、あっさりと退職届も受理していただき、退職日も1ヶ月後に決まりました。それまで抱えていた係や委員会の仕事を後輩たちに振り分け、自分の仕事を整理しながら転職先も探しましたが、なかなか良い条件の仕事は見つかりません。

私が住んでいるのは都市部から離れた郊外なので、車で30分以内の職場を希望していたのですが、なかなか近隣の施設求人はありません。退職日が近づくにつれ、「おいおい、大丈夫か?」と不安を強く感じるようになりました。

STEP4:道を間違えたら、その先に良い条件の看護師求人が!

転職活動が難航していた、ある休日。私は家族を駅へ向かえに行くために、いつものように車を走らせていました。しかしその日に限って道路工事により、いつも使う道は閉鎖中。慌てて裏道を行きましたが、普段使っていない道のせいで気がついたら私は道に迷ってしまいました。

焦りながら、駅への道を模索していたそのとき。建設中の一件の建物がなぜかとても気になりました。あまりに気になるので一度車を降り、その建物を確認すると、なんとそこは新しい介護施設であり、看護師も募集しているとポスターに書いてあるではありませんか!

急いで私はその番号をスマホにメモし、その日のうちに電話にて連絡。とんとん拍子で話は進み、私は自分の力で見事に内定を勝ち取ることができました。

STEP5:無事に退職、そして新しい施設へ

こうして私は、ギリギリになって無事に新しい職場へ転職を決めることができました。後からわかったのですが、その施設の開設に合わせて、これまで看護助手として働いていた仲の良い方も何名か、新しい施設へ介護職員として採用されていました。心強い仲間とともに、私は新しい施設での第一歩を踏み出しました。

3.転職してみて感じたこと

今の職場へ、私は吸い寄せられるように転職しました。しかし実際に働いていると、自分が思っていた条件や環境とは大きく違う職場だったので、正直に言うと「失敗した」と思っています。あのとき、もっと職場の環境は整っているのか、時間をかけて求人情報を調べれば良かったと後悔しています。

実際に、私が転職を決めた後、今の職場の求人情報が、私の登録したサイトにも出ていたそうです。その条件は、私が直接申し込んだ時よりも給与面等、何もかもが良いものであり、損した気分でした。

事務の人曰く「あなたはこの条件でうちを志願してくれたのだから、当然条件もそのままです。しかしこの条件ではあなたしか集まらなかったので、こちらとしても仕方なく、条件を変更するしかなかった」とのこと。

実際に自分の条件を改めて客観的に見てみると、給与も低く、もともと希望していた条件よりも悪かったです。あのとき前職の退職日が近づいていても焦らずに、もっとじっくり選ぶべきだったと感じています。

4.転職してみて「良かったこと・悪かったこと」まとめ

今回の転職を通じて良かったこと、悪かったことは以下のようなことだと思います。

◎良かったこと:通勤時間が短くなった

今回の転職で、唯一良かったといってもいいのが、この通勤時間が短くなったということです。

今の職場は駅から比較的近い場所にあるので、子供たちの送迎もしやすくなりました。それまでは通勤だけで片道1時間でしたし、送迎にも多くの時間を割いていたので、転職後は時間をより有効に使えるようになったと感じています。

△悪かったこと:就業環境が整っていない

感じたことでも少しお話しましたが、とにかく就業環境が悪いです。オープニングスタッフということで、開設までの準備もしましたが、サービス残業は当たり前、看護師なのになぜかオープン初日は一日焼きそばを作り続けるなど、看護師として働く機会も与えられず、疑問だらけの日々を送っています。

また、私以外常勤の看護師がいないため、夜間に利用者さんに何かあれば、いつも私にオンコールをかけてきます。これが本当に辛くて、深夜2時とかでも平気で介護職員が「夕食後の薬(ただの便秘薬)を飲ませるのを忘れてしまったのですが、どうすればいいですか」というような、どうでもいい電話までかけてくるので、ちっとも身体を休めることができません。

こんなオンコール対応なんて、求人項目には一切書かれていませんでしたし、オンコール代が支払われないのも不満です。私の後に採用された非常勤の看護師は子供が小さいとかいう理由だけでオンコール免除ですし、その他にもいろいろとあり得ないことが多すぎて、嫌になります。

5.転職は、直感で選ぶべきではない。必ず時間をかけて、じっくり行うこと

今回の転職は、様々な面で失敗したと感じています。なぜここまで失敗してしまったのか。それはやっぱり、直感で今の仕事を選んでしまったからだと思います。あのとき道を間違えてさえいなければ、こんな職場は知らずに済んだのに。そう思うと、悔しくてなりません。

皆さんはぜひ、私のような失敗をしないために、直感ではなく、募集条件もきちんと確認をし、時間をかけてじっくり転職先を選んでいただけたらと思います。特に年齢が高ければ高いほど、転職先は限られますので、だからこそ自分が納得できる職場を、時間をかけてじっくり探すことをオススメします。

ナース転職求人を知りたい方

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