統計データから読み解く 看護の未来

就業者数の推移から見える未来

夜勤の負担や超過勤務の多さ、育児との両立に対するサポート不足などから、職場を離れる看護師は後を絶ちません。
看護師不足解消を見込んで、看護協会や各病院が復職支援などの施策を行ってはいるものの、どれも目覚ましい効果をあげているとは言い難く、現場で働く看護師の負担はなかなか軽減されないのが現状のようです。
この記事では、看護協会の統計データをもとに看護職員の就業人数が近年どのように推移しているかを読み解き、そこから導かれる看護の未来を考えていきたいと思います。

注目の看護業界、就業者数は順調に増加中

どこの病院でも看護師が足りない、という世間一般のイメージとは裏腹に、看護に従事する人の数は近年、順調に増加し続けています。
2001年から2010年の9年間で、看護職員の増加分は26万4450人。
この間、2004年には10年以上の臨床経験がある准看護師を対象に、看護師の資格を取るための通信教育の制度がスタートし、さらに多くの看護師を輩出する仕組みが作られました。
また昨今の不況も相成り、国家資格を取得でき、収入も安定している看護師という職業への注目度は徐々に高まっています。
2008年には倍率がわずか1.6倍だったある看護専門学校は、今や倍率5.2倍。
就職氷河期と叫ばれる中、人手不足の看護業界はまさに売り手市場でもあり、今後も看護師を目指す学生の数は増加していくのではないでしょうか。

増加の裏に高い離職率の罠

しかし、問題は高い離職率。
年々減少傾向にあるとはいえ、依然として年間10%前後の看護職員が職場を後にしています。
このまま離職率が改善されなければ、来るべき超高齢化社会に対応できるだけの人員を確保することは困難を極めると言って間違いないでしょう。
その根拠となるのが、2010年に厚生労働省が発表した、「2025年には200万人の看護職員が必要」というデータです。
現在、全国には約147万人の看護職員がいるとされていますが、毎年3万人のペースで増加していくとしても2025年には約180万人と、目標値には到底足りません。
しかも3万人の新人ナースが誕生する傍らで、激務に疲れたベテランナースが相当数辞めていくのです。
世界に類を見ない超高齢化社会、ストレスフルな世の中ゆえの心の病、飽食の時代が生んだ生活習慣病・・・。
医療の充実を求める声が今後ますます高まっていく中で、現場がより危機意識を持ち、人員確保に向けて環境改善に本腰を入れることは急務だと言えます。

「辞めない努力」をさせない体制

全国大学高専教職員組合が2007年に行った調査によると、国立大学病院に勤める看護師のうち、実に44%が、「仕事を辞めたい」と思ったことがあると回答したそうです。
比較的福利厚生などの制度が整い、人員も充実している国立大学病院でさえこの有様では、なかなか人が集まらない中小病院の状況は推して知るべし。
辞めるか、辞めないかの狭間で常に苦しみながら働いている・・・。
看護師に、そんな「辞めない努力」をさせる必要のない体制を整えることが今、求められています。


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