看護師の足のむくみの原因と解消法。予防策も解説

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勤務の終わりには足が重くてだるい、帰り道は靴がきつい…看護師にとって足のむくみは、職業病ともいえるほどよくある症状なのではないでしょうか。ですが、仕方のないことだと諦めてケアしないでいると、勤務年数が長くなるほど悪化していく可能性があります。今回は、看護師の足がむくみやすい理由と対処法について考えます。

看護師の足はなぜこんなにむくむのか?

看護師の足がむくみやすい理由には以下のようなものがあり、長時間で多忙な業務による影響が大きいと考えられます。

足を下垂している時間が長い

看護師は2交代勤務など長時間のシフトで働いています。また、時間外勤務が多く、多忙なために休憩時間が十分に取れないこともあります。これが長時間足を下垂することにつながり、むくみが起きやすくなるのです。ちなみに、立位でも坐位でも足を下垂していることには変わりがないため、同じようにむくみます。

運動不足で下腿の筋力が落ちている

看護師は激務ですが、多くの場合仕事上の運動量はあまり多くありません。そのため、仕事以外で運動習慣をもつことが良いとされていますが、多忙で不規則な勤務をしているとなかなか難しいでしょう。運動不足で下腿の筋力が低下すると、静脈還流を促す筋ポンプ作用がうまく働かなくなるために、足がむくみやすくなります。

睡眠時間が短い

看護師では、慢性的な睡眠不足になっている人が多いといわれています。睡眠は、臥床することで静脈還流を促進する・腎血流量の増加や寝汗によって水分代謝を調節するなどの理由で、むくみの改善に働きます。そのため、十分な睡眠がとれないことは、むくみやすさにつながるのです。

過労やストレスによって血流が悪くなっている

看護師につきものの過労やストレスは、交感神経の興奮による血管収縮につながり、全身の血流を悪くすることがあります。それに伴って静脈やリンパの還流も滞り、足のむくみが起こりやすくなります。

むくみには予防と解消の両方からアプローチを

むくみを放置すると、血管が圧迫されて血流が妨げられ、よりむくみやすくなるという悪循環が起こります。そのため、予防するための習慣をつけることと早目に解消することが大切です。

下腿の筋力アップを図る

下腿の筋肉を鍛えることで、静脈還流を促進するための筋ポンプ作用を強化しましょう。簡単にできる下腿の筋トレとして、壁や手すりにつかまって立位を安定させた状態または膝が90度程度曲がる高さの椅子に腰かけた状態で、ゆっくりと踵を上下させる運動があります。また、できるだけ階段を使い、その時には階段から踵を浮かせるようにして、ふくらはぎを意識しながら上ることも効果的です。

弾性ストッキングを着用する

筋ポンプ作用をサポートするために、着圧の高い弾性ストッキングを着用することも、むくみの予防に効果的です。履き口の締め付けが強すぎると、血流を妨げてしまうので、体に合ったサイズのものを選ぶことが大切です。

毎日入浴をする

全身の血流を改善してくれる入浴は、むくみ予防のために毎日取り入れたい習慣です。そのときには、40℃前後のお湯をたっぷりと入れた浴槽に浸かるのがおすすめです。ぬるめのお湯では副交感神経が優位になるため血管が拡張してリラックスでき、お湯の量が多いと水圧が高くなることで静脈還流が促進されるためです。

勤務中には適宜歩行&下肢の運動をする

足を動かさないでいると筋ポンプ作用が働かないため、適宜歩行するようにしましょう。前述したように踵を上げ下げするだけでなく、足首や膝の屈伸をする・足首をぐるぐる回すなどの運動でも血流が改善します。また可能であれば、短時間でも足を挙上できるとむくみが軽くなります。

リンパ還流を促すマッサージを行う

静脈に加えてリンパの還流を促すことで、むくみの改善が期待できます。リンパマッサージでは、強い力を加える必要はなく、皮膚を優しくさするように行います。まずは、リンパ液の流れ先を開放するために、腹部を時計回りにさすり、鼠径と膝窩を押さえて回します。その後、足・足首から下腿・膝から大腿というように、末梢から中枢に向かってマッサージをしましょう。

睡眠時間をしっかりと確保する

臥床することで静脈還流を促進し、腎血流量の増加や寝汗によって水分代謝を調節するため、また過労を防ぐ目的でも、十分な睡眠時間を確保しましょう。病的ではないむくみは、一晩眠ると消失する場合がほとんどです。また睡眠不足は、むくみだけではなく肥満や高血圧・糖尿病・うつ病などのリスクを高めます。健康を維持するために、多忙な毎日の中でも睡眠の優先順位を上げてほしいと思います。

むくみを解消してフットワークの軽い看護師生活を

たかがむくみ、されどむくみ。足が重いと動くのが面倒に感じてしまいますよね。仕事中もオフタイムも軽やかに動くためには、日常的なケアでむくみの予防と早めの改善に努めるのがおすすめです。特に、加齢によって下腿の筋力が低下するとよりむくみやすくなるため、年々むくみがひどくなるという状況が起こりえます。ぜひ、早いうちからむくみ対策を始めてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人
美沢藍
看護専門学校卒業後、総合病院で10年間勤務勤務した診療科は心臓血管外科・泌尿器科・整形外科・婦人科・放射線科など。
看護学修士課程への入学を機に退職し、在学中は複数の施設でのアルバイトを経験修士課程修了後、総合病院看護師・看護大学教員として勤務、出産を機に退職。

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