【看護師のリアル転職体験談 10】総合病院から訪問看護師へ転職した私の場合

1.ゆったりと対象に向き合いたいとの思いから、訪問看護師へ

新卒からこれまで、転職してもずっと病棟看護師として働いていた私。しかし看護師としての経験を重ねれば重ねるほど、ひとつの思いを抱くようになりました。それは、「もっとゆっくりと患者さんと向き合い」という思いです。

患者さんとゆっくりお話したくとも、日々急変や即入の対応に追われ、目を合わせてお話することすらままならない日々。そんな日常に嫌気がさした私は、一大決心をして、それまで慣れ親しんだ病院を離れ、訪問看護師として、新たな一歩を踏み出すことを決めました。

2.前の病院を退職してから、新しい職場に転職するまでの流れ

新たなキャリアアップのために決意した、今回の転職。しかし私が考えていた以上に、その道のりは険しいものとなりました。

STEP1:3月に退職するために、半年前の前年9月に退職願を提出

前の病院では、なぜか退職する場合は半年前に伝えなくてはいけないというルールがありました。多くの先輩たちが、このルールに苦しんでいる様子を見てきたので、退職届を出すこと自体、とても勇気がいることでした。

しかし、勇気を出さなくては、自分の進みたい道へ進むこともできません。師長へ退職願を出すと、師長の顔色がさっと変わりました。そして、「これから少しずつ、話し合いましょう。まずはそこからです」と言われ、受理していただけませんでした。そしてそれから3ヶ月にわたるバトルが開始されることになりました。

STEP2:何度も何度も引き留められ…

退職願を出してから、私は毎週のように師長に呼ばれ、長時間に亘る説得を受けました。「何が不満なのか」「本当は別の理由があるんじゃないか」「妊娠しているのならば、そう言ってほしい」などなど…。

その引き留めは、パワハラともセクハラともとれるようなものでした。しかし、そうやって引き留められれば引き留められるほど、私はより強固に「絶対にやめて、訪問看護師になる」という強い意志をもつようになりました。

そして帰宅後、訪問看護師について少しでも知識を身につけるために、ネットで情報を集めたり、参考書を読んだりして、モチベーションを高めるように努力しました。今振り返ると、この日々は精神的に本当にきつかったです。

STEP3:12月、看護部長との最終面談へ

3ヶ月に亘った師長とのバトルを経て、12月に入ると、私は看護部長と最終面談をすることになりました。看護部長はいわば退職のためのラスボスです。「絶対に、やめる!」そう強い意志を持って部長室に向かうと、部長はこちらが拍子抜けするほど、穏やかに対応してくださいました。

そして、「あなたの年齢で自分のやりたい道が見つかるというのは、ある意味とてもうらやましいわ。これから訪問看護がどんどん伸びていくことが予想されている中、今転職するというのは良い判断だと思います。頑張ってね」と、引き留めどころか、むしろ激励してくださったのです。

あまりの対応の違いに、私は嬉しくて思わず泣き出してしまいました。そして無事に、退職届が受理され、私は3月末に退職することが決まりました。

STEP4:3月末、病院最終日

退職が決まってからの日々は、あっという間でした。ちょうど看護学生時代、お世話になっていた恩師が訪問看護事業を立ち上げることがわかり、そちらへの採用が決まったのが2月のはじめ。

それからは委員会や係など、それまで受け持っていた仕事の引き継ぎ業務に明け暮れ、気がつけばあっという間に3月末の最終出勤日になりました。プリセプターとして指導した後輩から花束をもらったとき、「あぁ、今日で最後なんだな」と感慨深くなりました。そして、たくさんの荷物とともに、私は病院を後にしました。

STEP5:4月1日、看護師として新たな一歩を

退職して数日後、私は訪問看護師として新たな職場で働き始めました。といっても、事業所自体が4月1日にオープンしたため、初日から患者さんの元へ行くということはなく、しばらくは恩師と二人三脚で、営業に行ったり、研修を受けたりの日々が続きました。こうして私は、看護師として新たな一歩を踏み始めました。

3.転職してみて感じたこと

これまで看護師として転職は数回してきましたが、何度経験しても、やっぱり総合病院は入職しやすく、退職しにくい職場だと実感しました。前の職場は半年前に退職の意思を示さないといけないなんて、看護業界以外はありえないことです。

今後は改善していくことを期待していますが、総合病院へ転職するときには、こういった「やめにくい」ということも把握する必要があると感じました。

また、訪問看護も今は募集がとても多い業種です。しかし、労働条件は事業所によって病院以上に差があります。私はたまたま恩師が経営する事業所だったので待遇も良かったのですが、ただ単に訪問看護として見るのではなく、しっかり求人情報の見極めが重要だと感じました。

4.転職してみて「良かったこと・悪かったこと」まとめ

今回の転職を通じて良かったこと、悪かったことは以下のようなことだと思います。

◎良かったこと(1):患者さんと向き合いたいという、自分のやりたい看護ができている

訪問看護へ転職したことで、それまでずっと私がやりたいと思っていた「患者さんと向き合う」という看護ができるようになりました。このやりたい看護ができるというのが、今回の転職において最も良かったと思えることです。

看護師として経験を積む中で、自分のやりたい看護を見つけることができ、それを実際に行うことができている方は、決して多くはないと思います。私の場合は特に幸運でしたが、こうしてやりたい看護ができていることに幸せを感じます。

◎良かったこと(2):他職種連携の重要性を知ることができた

訪問看護師として働くようになって、それまで自分の視野がいかに狭かったかを思い知らされました。そして、他職種との連携の重要性を知ることができました。

これまで私は、失礼ながら介護職は看護職の下等資格だと思っていました。しかし、介護職の方とともにカンファレンスを行うと、介護職の方は看護師以上によく利用者さんのことを把握しており、また的確なアドバイスをくださるのです。

このように、看護師以外の様々な職種の方と関わりを持つようになり、他職種連携の重要性を知ることができて、本当によかったです。

◎良かったこと(3):夜勤がなくなった

病棟看護師をやめたことで、夜勤がなくなったことも良かったです。夜寝て朝起きるという生活を続けることで、長年悩み続けていた肩こりや腰痛から解放されるようになりました。また、精神的にもイライラすることがなくなり、健康的に過ごせるようになりました。

夜勤が自分のからだへどれだけ負荷をかけていたのか、訪問看護師になって痛感しました。

△悪かったこと:お給料はかなり下がった

夜勤がなくなり、健康的な生活を送れるようになった一方で、お給料としてはかなり下がりました。大体月平均5万円ほどの減少です。

私の場合は親と同居していて、生活費がそれほどかからないので今の額でも十分ですが、家庭を持っている方の場合は、かなり厳しい金額なのではないかと思います。

5.自分のやりたいことが見つかったら、諦めずに自分の道を貫くべき!

師長の嫌がらせにもめげず、自分のやりたいことを目指して思いを貫いた結果、私は今、心身ともに充実した日々を送れるようになりました。皆さんも、看護師としてやりたいことが見つかったのならば、どんなに邪魔が入ったとしても、諦めずに自分の道を貫くべきだと心から思います。皆さんも、自分のやりたい看護ができますように!


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