NICU(新生児集中治療室)勤務は辛い?看護師として働く本音は?必要な資格はある?

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NICUってどんな職場?看護師の仕事内容・役割・やりがいについて

生命の危機的状況にある新生児を治療・ケアするNICU(新生児集中治療室)は、その特殊性・専門性の高さから人気のある転職先のひとつです。
今回は、NICUで働く看護師の役割・仕事内容をテーマに、NICU勤務のメリット・デメリットについても紹介します。NICUに興味のある方・転職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

NICUとは?

NICUは、生命の危険性がとくに高い状態(ハイリスク状態)で生まれた新生児を専門かつ集中的に治療・ケアするところです。

具体的には、早産・低出生体重児・新生児仮死・先天性心疾患・染色体異常などで、赤ちゃんは生後すぐにNICUに運ばれ、専門的な治療を受けることになります。呼吸・循環管理を中心とした高度集中治療を行うため、新生児医療を専門とする医師・看護師が常駐し、夜間もNICU専任の当直医を置くなど24時間体制で治療・ケアにあたっています。

看護師の配置基準も、一般病床の最高基準が7:1であるのに対しNICUでは3:1と、より手厚い配置となっているのが特徴です。また、NICU内には保育器・人工呼吸器・生体情報モニター・輸液ポンプなど複数の医療機器が備えられ、呼吸・循環・体温などの全身管理、薬剤投与の管理が厳密に行われています。

NICU看護師の仕事内容・役割

ハイリスク新生児に対し、24時間体制で高度集中治療を提供するNICUという職場。そこで働く看護師は、どのような仕事をしているのでしょうか?NICU看護師のリアルな仕事内容を見てみましょう。

全身状態の観察・異常の早期発見

ハイリスク状態で生まれてきた赤ちゃんは、生命維持に不可欠な体温調節・呼吸・循環などの機能が不安定です。しかも、自分で「寒い」「苦しい」などの異変を訴えることができないため、わずかな対応の遅れが生命を左右することもあります。

NICU看護師のもっとも重要な役割は、24時間体制で赤ちゃんのバイタルサイン・全身状態の観察を行い、異常の早期発見・早期対応をすることです。生体情報モニターが示す体温・血圧・脈拍・酸素飽和度の数値や、顔色・表情・手足の動き・尿量の変化などを見逃さず、速やかに医師に報告して容態の安定化を図ります。

NICU看護師には、わずかな変化も見逃さない観察力・アセスメント能力・判断力が求められるのです。

医療機器の管理

NICUに入院する赤ちゃんは、保育器や人工呼吸器など様々な医療機器を使用して治療を行います。保育器の温度が適切に保たれているか、人工呼吸器の設定に異常はないかなど、生命維持や治療に必要な医療機器の管理を行うことも重要な仕事のひとつです。

薬剤の投与

NICUに入院する赤ちゃんの多くは低出生体重児です。薬の作用・副作用が現れやすく、赤ちゃん一人ひとりに応じて細やかな処方が出されます。薬剤を使用する際は、用法・用量に間違いはないか、投与速度は指示通りになっているかなど入念なチェックが必要です。

授乳の介助

ハイリスク状態で生まれた赤ちゃんは、自力で母乳・ミルクを飲むことができません。そのため、体重が増えて全身状態が安定するまでは、口や鼻に入れた管を通して授乳することになります。

赤ちゃんの状態が安定してきたら直接授乳も可能です。その際は、直接授乳や哺乳瓶による授乳方法をお母さん・お父さんに指導します。

赤ちゃんの日常的なケア

赤ちゃんの清拭・オムツ交換など、日常的なケアもNICU看護師の仕事です。人工呼吸器や点滴ラインがつながっている赤ちゃんのケアは、細心の注意と繊細な看護技術を必要とします。呼吸や血圧の変化に注意しながら、慎重にケアを行います。

両親のメンタルサポート

ハイリスク状態で生まれた赤ちゃんは、生後すぐにNICUでの治療を開始します。治療のためとはいえ、お母さん・お父さんは赤ちゃんを抱くことができず、「元気に産んであげられなかった」と自責の念を抱く親御さんもいます。

そのような状況の中で、保育器越しに面会をしたり、赤ちゃんの日々の成長を「交換ノート」でやり取りしたりと、健全な親子関係を築けるようにサポートするのもNICU看護師の役割です。中には、懸命の治療の甲斐なく短い命を終えてしまう赤ちゃんもいます。NICU看護師は親御さんの悲嘆に寄り添い、ときには精神的なサポートも行います。

NICU看護師は辛い?やりがいと本音

NICUへの就職・転職を希望している方は、やりがいやスキルアップなどの良い面だけでなく、「NICUならではの大変さ・辛いことも知っておきたい」と考えるのではないでしょうか。NICUで働くやりがいと本音の部分を具体的に見ていきましょう。

NICU看護師のやりがい

ハイリスク状態で生まれた赤ちゃんが徐々に回復し、無事退院の日を迎えられると、これまでの苦労も吹き飛び達成感もひとしおです。また、特殊症例を看護することの多いNICUでは、一般病棟では学ぶことのできない治療・処置・ケアを日常的に経験できます。

必然的に高度な専門知識・看護スキルが身につくため、将来的に新生児看護や小児看護のエキスパートを目指したい方、高度集中治療を学びたい方にとっては絶好の環境といえるでしょう。

ここが大変!NICU看護師の本音

NICUでは、わずかな対応の遅れが赤ちゃんの生命に影響します。そのため、容態の変化を見逃さないよう、常に緊張の糸が張り詰めた状態で働いています。生命を預かる強いプレッシャーと、急変対応や夜勤で勤務が不規則になることもあり、心身ともにハードな職場です。

また、懸命の治療・ケアの甲斐なく、赤ちゃんの死に立ち会うこともあります。生まれたばかりの赤ちゃんが亡くなるという現実と、赤ちゃんを失った親御さんの激しい悲嘆に直面するため、精神的なタフさがなければNICU看護師は務まりません。

NICUで働くのに有利な資格はある?

NICUで働くには、看護師資格さえあれば特別な資格は必要ありません。しかし、将来的にNICU看護のエキスパートを目指すのであれば、新生児集中ケア認定看護師の取得を視野に入れると良いかもしれません。

これからNICUに挑戦したいという方は、小児病棟の経験や助産師資格があると効果的なアピールポイントになるでしょう。

NICUは大変だけれどやりがいのある職場

NICU看護は、重篤な疾患・障害を持つハイリスク新生児を対象とします。生死に関わる厳しい現場ではありますが、ほかの診療科では経験できない特殊症例の看護を学べる場でもあり、看護師としてより高い専門性を身につけられるでしょう。

NICU看護で働きたい方、エキスパートを目指したい方は、就職・転職の候補としてぜひ検討してみてください。

ナース転職求人を知りたい方

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